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九十九の願い事⑱

Auteur: 佐藤紗良
last update Date de publication: 2025-05-16 20:00:44

ただ、この仔狐ーー。

途中の昆虫屋で足を止め、居眠りをする店主の目を盗んでミミズをペロリ。驚愕の店構えに、佐加江はただ呆然としていただけなのに狐の面を付けていたせいで、目を覚ました店主に親狐と勘違いされ、ひたすら頭を下げる始末。

そして、道の両端にある小さな水路へ降り、渇いた喉を潤すように天狐の真似をして美味そうに水を啜っていたかと思うと、泳いでいる鯉に鼻を吸われ「キュゥゥ」と泣き出した。青藍への土産の生肉を放り出して助けたものの、佐加江だけが水路に落っこちてしまった。

道行くあやかしに笑われながら、びしょ濡れのパーカーの裾を絞る。そんな佐加江を知らんぷりした仔狐は、近くにいたろくろ首姐さんの元へ走って、その豊満な胸元へ飛び込んで目を細めていた。

提灯がぶら下がる真っ直ぐな道がどこまでも続き、いくら歩いても同じ風景だった。

まだ、少ししか進んでないかと背後を振り返れば、桐生といた店は見えなくなっていた。空を見上げれば、逢魔が時の色。寒い暑いも感覚がなく、早く
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    「お早い出発ですね」 「……」 駅へ向かうオースチンの中で、佐加江はうつむいて爪をいじっていた。どことなく、しらけた雰囲気に蟇田は黙り込む。 「佐加江。実はですね、私もーー」 青藍は佐加江に耳打ちする。 「え?」 「あまりにも可愛らしくて、やっちまったです」 「……いくつの僕と?」 「出会った頃の佐加江です」 佐加江がシートからズルッと滑った。 「痛い、痛いという割に、尻は普段通り良い具合でしてね」 「ダメダメ、言っちゃダメ!」 青藍の口を両手でふさいだ佐加江は、また赤い顔をしていた。赤くなったり、青くなったりクルクルと佐加江は表情を変える。 「もう、どこまでが現実だったのかわからないよ。夕べはご飯を食べた辺りから記憶がないし」 「本当ですか」 そういえば食事のあと、やけに「コミコミプラン」と言っていたような気がする。鞄の中へしまった通知表のような大国主命の評価表を改めて見た。 「佐加江、そういえば」 佐加江の耳元へ唇を寄せ、「子供は出来る」と大国主命の心強い言葉を伝えた。すると表情がぱあと晴れて、ここへ来た時のような笑顔になった。 「本当に?」 「私の頑張りが少し足りないようです」 そもそも、この評価表にある硬度や濃度をどうやって測ったのか。 「佐加江、身体の不調はありませんか」 「平気だよ」 大国主命が佐加江にとりついて、青藍の性技をチェックしていた可能性はある。 運転席の蟇田を見ると、ルームミラー越しに目が合った。瞳孔がシュッと細くなり、何か言いた

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    「ん……」 振り返ると佐加江がゆっくりと何度か瞬きをして、ぼうっと宙を眺めている。 「ヒィィッ」 「佐加江、どうしました」 「ご、ご、ごめんなさい!!」 目が合った瞬間、佐加江が叫び声をあげて布団にくるまってしまった。 「佐加江、おはようございます」 そばで正座をしていたが、待てど暮らせど返事はない。どうしたというのか。また怖い夢でも見たのかもしれない。 布団越しの佐加江に身を寄せ、背中を摩る。 「寝てしまいましたか」 布団をかき分けると、佐加江が真っ赤な顔をしていた。 「そんな泣きそうな顔をして、どうしたのです」 どうやら、悪夢を見たわけではなさそうだった。 「……やっちゃた」 「何をです」 「青藍。身体、おかしかったりしない?」 「平気ですよ」 「ちっちゃい青藍と、えっちな事たくさんしちゃったよぉ……」 佐加江が両手で顔を隠している。おそらく、さきほど大国主命が言っていたことだろう。 「子供の私はどうでしたか」 「皮を剥いてあげてね、初めてだって言うからあまりにも可愛くて、小さな角をしゃぶったりねーー。そんな願望、僕にはない!保育士として失格だ」 「どのみち、私は佐加江が初めてでしたよ」 ジタバタと暴れる佐加江の動きがピタッと止まった。 「子作りが初めて……って」 「まぐわいは、すべて子作りの為ですからね。子供の私と他には、どのようなことをしたのですか」 「言えない!」 先ほどの紙に、佐加江のことも書

  • あやかし百鬼夜行   番外編「十六夜楼♡コミコミプランでご宿泊」⑧

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  • あやかし百鬼夜行   終章①

    あなたにも こんな人がいないだろうか。 顔は思い出せるけど、名前が出てこない。 あるいは 名前は覚えているけど、どんな顔だったけな。 僕らは いずれ そう言う存在になる。 ♢♢♢ 「佐加江……、佐加江! 助けてください」 夕飯の支度を

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