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第49話

Auteur: 吉乃婆婆
last update Date de publication: 2026-03-10 06:52:40

果奈と涼禾の応酬に周囲もそれぞれの側に立って意見のぶつかり合いになってしまった。

「デザイナーの意向に沿った商品を準備するのがメーカーの仕事でしよう。」

「ドレスメインのショーならそうでしょうけど、今回は靴とバッグがメインのはずでは?」

「瀬川さんは有名な一流デザイナーなんですよ。彼女のデザインを採用されるのなら彼女の意に沿わないものは変更すべきです。」

「そうですよ。元のデザインが今ひとつだったのでは?今からでも瀬川さんにデザインし直してもらったらどうです?その方がずっと売れるんじゃないかしら。」

「今回の商品は新素材を使用しているのが大きな特徴なんです。素材の特徴を活かした使用場面を想定して作られたデザインです。今回のショーではこの点を踏まえたデザインのドレスを提案すべきでは?」

双方譲らずの混乱状態になってしまった会議室に厳しい表情をした隼翔と健人が入ってきた。気づかず話し続ける一同に対して、隼翔がよく通る厳しい声で、

「これはどういう状況ですか。説明を。」

とひと言言った。一同は驚いて口を閉じ声の方に視線を向けると、いつにも増して冷たく厳しい表情の隼翔と同じく真剣な表情の健人
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    翌日、予定通りの時間に現れた隼翔は、噂通りの長身でスタイルも良く、何よりも顔が素晴らしく整っていた。そして、やはり噂通りの冷淡な表情だった。出迎えたスタッフは緊張した面持ちで対応し、安西とも軽く挨拶をしただけですぐに更衣室へと入っていった。暫くして、涼禾が店に到着した。同じく緊張した表情で出迎えたスタッフは、涼禾を見るなり想像以上の美しさに目を奪われ一層緊張が増していった。しかし、涼禾が隼翔と違い穏やかな笑顔を浮かべながら「皆様、今日はよろしくお願いします。楽しみにしていましたので、試着出来るのがとても嬉しいです。」と丁寧に挨拶をしたので、ほっとして緊張もほぐれ、和やかに案内していった。既に着替え終えた隼翔が、待合室で待っていると、「安藤様の準備ができました。」と声がかかった。隼翔は素早く立ち上がると入り口の方に向かい、涼禾が入ってくるのを待った。間もなくスタッフに手を取られ入って来た涼禾を眩しげに見つめた後、満面の笑顔で手を差し出し涼禾を迎えた。「綺麗だよ、涼禾。パーティーが待ち遠しい。」「ありがとう、隼翔さん。あなたもとても素敵よ。」美しく着飾った美男美女の仲睦まじい様子に、そばで立ち合っていた一同は感嘆のため息を漏らした。特に、来たときとは別人のような隼翔の甘やかな微笑みには女性のみならず一同が見惚れてしまった。一方で、その衣装を自分たちが創り上げるのだという誇らしさに満ちていた。 沢辺もまた、その一人だった。しかし、自身に課せられた役割を思うと、途端にずしりと重いものが心にのしかかった。沢辺は小さい頃からかわいい洋服が大好きだった。「お母さん、今度のお誕生日にはピンクのワンピースが欲しいの。」「いいわよ。今年は仕事も忙しくないし、世界に一つだけのかわいいのを作ってあげる。」彼女の母は服飾メーカーで縫製の仕事をしていた。なので娘のために心を込めて彼女の望む服を縫ってくれた。とはいえ、さほど裕福ではなかったため、高価なドレスなどは手が出ない。せいぜい誕生日やお正月などに着る、少しおしゃれな服を作る程度だった。彼女は成長するにつれ、自分も相手に喜んでもらえるような服が作れるようになりたい、と思うようになった。専門学校で勉強する傍ら、メーカーのデザイン室でアルバイトをして実践的な経験も積んでいった。卒業後、友人と共同で小

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