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第25話

Auteur: 冨貴
南枝は、ふらつきながらも、ようやく立ち上がった。殴られてほとんど口もきけなくなった男を、冷たく見下ろす。

胸の奥にはただ、痛快さだけが残っていた。

しかし、自分を救ったのが舟だったと、そう思うと、気持ちはすぐに複雑なものへと変わる。

正直なところ。

彼の情けなんてこれっぽっちも、受け取りたくなかった。

そのとき背後から突然、温かな体温がふわりと近づいた。

由宴が南枝を、強く抱きしめる。

声が震えていた。

「……南枝、大丈夫か。全部、俺のせいだ。さっき、スマホを見ていなくて、危険に気づけなかった……」

そう言いながら、由宴は、南枝の体を、何度も、上から下へと確認し――傷がないか、必死に確かめる。

ようやく無事だと分かり、深く、息をついた。

舟は、二人が寄り添っているその姿を見て、目が一気に暗く沈む。

怒りが込み上げ、すぐさま由宴のもとへ歩み寄ると、その胸倉をぐいっと掴み上げた。

「……守れもしないくせに、どうして、彼女のそばにいるんだ」

由宴は今回は確かに自分に非があると分かっていた。

長い睫毛がほんのわずかに震えたけど、反論はしなかった。

それを見た南枝
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