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この想いは風月にあらず
この想いは風月にあらず
Author: 白団子

第1話

Author: 白団子
「結城さん、本当によろしいのですか?催眠が始まれば、あなたは眠りにつき、身体は副人格に支配され、二度と目覚めることはありませんよ」

電話の向こうで、医師が重々しい口調で問いかけた。

「はい、もう決めました」結城南(ゆうき みなみ)は静かに答えた。

電話がまだ繋がったままのとき、玄関から物音がした。開人が帰ってきたのだ。

南は電話を切り、無言でリビングへ向かった。

食卓の上には、手つかずの料理が並んでいる。

ただ、時間が経ちすぎて冷めきっていた。

「南、ごめん。会社の用事でずっと残業してて、誕生日を祝う時間が取れなかった」

島岡開人(しまおか かいと)は申し訳なさそうな顔で言った。

「でもプレゼントは買ってあるんだ。ほら、開けてみて」

そう言って、彼は丁寧にラッピングされた小さなギフトボックスを差し出した。

だが、南はすぐには手を伸ばさなかった。

彼女の視線は、開人のシャツの襟元に落ちた。

真っ白な襟に、鮮やかな紅いリップの跡が、ひどく目を引いた。

南は目頭が熱くなり、心臓を鋭く刺されたような痛みを感じた。

彼女は時々どうしても思ってしまう。

これはわざとなのか?

あれだけ大きなビジネス帝国を隅々まで管理できる男が、家に帰る前に、襟に口紅がついていないか確認しないなんて。

「どうしたの?もしかして......怒ってる?」

南がプレゼントを受け取らないのを見て、開人が優しく宥めるように近づいた。

「会社のことだから仕方なかったんだって。もう怒らないでよ。明日ちゃんと埋め合わせするから」

彼が近づいた瞬間、南の鼻に強烈な香水の匂いが漂った。

TFの「ローズプリック」、俗に「男を落とす香り」とも呼ばれるその香水の匂いだった。

今夜、彼が付き合っていたのは、どうやらセクシーな女だったらしい。

「怒ってないよ」

南はようやく手を伸ばし、彼からギフトを受け取った。

中に入っていたのは、ブルーダイヤが埋め込まれた星空のピアス。

見た目には高級感がある。

だが。

南はファッション雑誌の編集長。

今月発売の最新号で、ちょうどこの「星空」シリーズを特集していた。

これはセット商品で、ネックレス、ブレスレット、リング、そしてピアスの四点がある。

前の三点を買えば、ピアスは「おまけ」でついてくる。

南は何食わぬ顔でギフトボックスの底を指でなぞった。

すると、やはり印刷されていた。

「おまけ」の三文字。

彼女は呆れて笑った。

「開人、私たち結婚して五年になるけど、私がどんな仕事してるか知ってる?」

「もちろん知ってるよ。ファッション雑誌の編集者だろ?」

開人は笑いながら言った。

「君んとこの雑誌、毎号ちゃんと読んでるよ」

南はそれ以上何も言わなかった。

彼は毎号読んでいるはずの雑誌で紹介された「おまけ」を、彼女の誕生日にプレゼントしたのだ。

沈黙が流れる中、不意に開人のスマホが鳴った。

彼はわざと南から離れて、ベランダで電話を取った。

その際、わざとらしく声のトーンを上げて話し始めた。

「もしもし?宮田君?......どうした?」

「なに?入札資料に問題が?あの書類、この前一緒に直したばかりじゃないか......」

白々しい。

南は疲れたように目を閉じた。

演技なんて必要ない。

電話が鳴った瞬間、彼のスマホ画面に表示された文字を彼女は見ていた。

「子猫ちゃん」と、はっきりと。

「宮田君」だの、「入札資料」だの、全部彼女に聞かせるための言い訳。

「子猫ちゃん」と会うための前振りにすぎなかった。

案の定、しばらくして開人がベランダから戻ってきた。

「南、ごめん。会社の連中がまた入札資料をミスってさ、俺、戻らなきゃならない」

「先に寝てて。明日またちゃんとお祝いするから」

そう言って、彼は慌ただしく出て行った。

その直後、南のスマホが振動した。

セクシーなダンスと挑発的な歌詞で人気を博している女性歌手・羽彌(うみ)が、SNSに投稿していた。

写っているのは自分の手元のアップ。そして添えられた文章は。

【プロポーズの指輪、ちゃんと受け取ったよ。今夜は、新婚初夜?】

写真では、彼女の左手の薬指に、あの「星空」シリーズのブルーダイヤのリングが光っていた。

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