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第335話

Penulis: ルーシー
拓海はもう一度玲奈の方を振り返った。

玲奈は人垣の中に立ち、すっかり大道芸の演目に見入っていた。

その様子を確認すると、拓海はそっと占いの老人のもとへ歩み寄る。

短い交渉のあと、彼は財布を取り出し、四万円を渡した。

一方そのころ、大道芸の演目はちょうど幕を閉じていた。

玲奈は振り返り、あたりを見回す。

――だが、拓海の姿がどこにも見えない。

不安が胸をかすめたそのとき、肩を軽く叩かれた。

「......探してたか?」

振り返ると、拓海が片手を広げて立っていた。

その掌から、きらりと光るネックレスが滑り落ちる。

彼は少し首を傾け、柔らかく微笑んだ。

その笑みはどこまでも無邪気で、どこか危ういほど優しかった。

玲奈の胸が一瞬、きゅっと鳴った。

だが次の瞬間、彼女は顔をそらして言う。

「もう遅いわ。

帰りましょう」

拓海は慌てて彼女の手首をつかむ。

「もう少しだけ、見ていこうぜ」

玲奈は掴まれた手を見下ろし、静かに言った。

「......まず、手を離して」

「じゃあ、もう少し付き合ってくれるなら」

玲奈は淡々と頷いた。

「わかったわ」

その言葉
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