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第346話

Author: ルーシー
タクシーに乗り込んだ玲奈は、シートにもたれた途端、疲れ果てて眠りに落ちた。

「お客さん、着きましたよ」

運転手に声をかけられて、ようやく目を開ける。

料金を支払い、玲奈は車を降りて小燕邸の門をくぐった。

いまの時間に春日部邸へ戻れば、家族を起こしてしまう。

だから、玲奈は愛莉が慣れ親しんだこの小燕邸に戻ることにしたのだ。

キッチンに入ると、彼女は手際よく鍋を火にかけ、娘のための朝食づくりを始めた。

やがて味噌汁ができあがる。

玲奈はそれを小さな容器に丁寧に移し、テーブルの上に並べた。

そして「これだけでは足りない」と思い、味噌汁に合うあっさりした副菜をもう一品作ろうと、再びキッチンへ戻った。

......しかし、料理を終えて出てきたとき、テーブルにはすでに雅子が腰を下ろしていた。

雅子の目の前には、玲奈が心を込めて煮た味噌汁の容器が開けられている。

雅子は中を覗き込み、眉をひそめて吐き捨てるように言った。

「こんな少ししか作らないなんて、誰がこれで足りるの?」

玲奈は何も言わなかった。

無言のまま近づくと、容器を雅子の手からすっと奪い取った。

そして、言葉ひとつ発せずにそれを袋に詰めはじめた。

雅子はそれを見て、声を荒げる。

「まったく、家政婦でもこんな仕事はしないわよ!

食べる人のことも考えずに、ちょこっと作っただけで。

それを持って行くつもり?

恥知らずもいいところね!」

そう言いながら、雅子は手を伸ばして奪い返そうとする。

玲奈も引かなかった。

味噌汁の容器をしっかりと握り、互いに譲らぬまま力を込める。

――そして、次の瞬間。

「ガシャン!」

容器が床に落ち、味噌汁が四方八方に飛び散った。

味噌汁が床一面に広がるのを見た瞬間、玲奈の中で何かがぷつりと切れた。

彼女は真っ赤に染まった目で雅子をにらみ、肩を押し返すようにして言い放った。

「......あなた、一体どうしたいの?」

雅子は体勢を崩して後ろへよろめき、そのまま床に尻もちをついた。

すぐさま、彼女の甲高い声が響く。

「玲奈!

あんた、私を殺す気?」

玲奈は何も言わなかった。

ただ、床に散らばった味噌汁を見つめたまま、動けずにいた。

――この味噌汁を作るのに、一時間以上かかった。

娘のために、心を込めて作ったというのに。

その努
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Comments (3)
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智恵子
いくつか読んだ中でもワーストに入る屑っぷりですなぁ 作者さん、早く玲奈ちゃんを自由にしてあげてください
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美桜
ホントこの無神経男、頭から熱々の味噌汁ぶっかけたい!
goodnovel comment avatar
ひろぴろ
クズ智也まじで死んで欲しい。あんたなんか存在意義ないわ!クズ愛人もどき家族共にこの世から消えろ。ゴミ過ぎる。玲奈よ味噌汁身体にぶちまけてやれ!死んでも愛人野郎どもなんかに食わせるか!言うてやれ!
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