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第527話

Author: ルーシー
智也が車を飛ばして映画館へ着いたとき、ちょうど上映が終わったところだった。

館内からは次々とカップルが出てくる。

どの若い恋人たちも手を繋ぎ、甘く親密で、度胸のある連中は外に出てもまだキスをしている。

その光景を見て、智也の頭には勝手な想像が浮かんだ。

――玲奈も拓海と、映画館の中でキスしていたんじゃないか?

上映回からして、二人が観たのはホラー映画のはずだ。

わざわざホラーを選ぶあたり、誘った側は下心があるに決まっている。

智也は道端に立ったまま、考えれば考えるほど腹が立ってきた。

人の流れがようやく落ち着いたころ、智也は玲奈と拓海が並んでロビーから出てくるのを見つけた。

夜風は刺すように冷たい。

拓海は外へ出るなり、自分の上着を玲奈の肩に掛けた。

玲奈が「ありがとう」と言うより早く、智也が苛立ちを露わにして詰め寄った。

冷えた顔。

細めた瞳には危うい光が宿り、視線は刃のように鋭い。

「愛莉が病気で入院してるのに、よく他の男と映画なんか行けるな?」

口を開けば、非難そのものだった。

玲奈は智也を見て、可笑しそうに言い返す。

「愛莉は私のこと、母親だっ
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