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第7話

Author: 吉祥天
「この子、もうすぐ……」

海外に行くことがバレる直前、希和が慌てて母を止めた。

「……山、行かないなら早く帰って」

話題を逸らされた一臣は、希和の手を引いて玄関へ向かう。

「行くに決まってんだろ」

彼の背中に、秀子が心配そうに声をかけた。

「一臣くん、希和の火傷はまだ治ってないから、無理させないでね」

「安心して、おばさん。俺と一緒に出かけて、何かあったことなんて一度もないですから」

ふたりが玄関から出て行くと、秀子と文陽は顔を見合わせ、深いため息をついた。

「希和が海外に行くって決めたの、やっぱり一臣くんが彼女を作ったからかもしれないわね」

「まあ、恋愛なんてのはどっちか一方が頑張ってもだめだからな。離れてみりゃ、見えることもあるだろ。希和には、きっともっといい人が現れるよ」

その頃。

家を出るなり、一臣は希和を車の後部座席に押し込んだ。

「助手席なんかに乗せたら、ひよりまたヤキモチ焼くからな」

希和は黙っていたが、視線は助手席の飾りに引き寄せられた。

そこには少女趣味全開な置き物が並べられていた。

一臣は、自分の車を極端に大事にする人間だ。希和にすら飾り付けを許さなかったのに、ひよりには、何をしても怒らないらしい。

こんな光景を見て、自分が落ち込むと希和が思っていたが、不思議なことに、その悲しさは心に浮かんだそばから、霧のようにすぐ消えていった。

一臣がふと思い出したように言った。

「さっき、おばさんが会う機会が減るって言ってたけど、あれ何のこと?」

希和は平然を装いながら、さらりと答える。

「会社の仕事を手伝うことになったから、忙しくなるの」

「ふーん」

一臣は何か言いたげだったが、そのときタイミングよくひよりから電話がかかってきた。

「どこにいるの?あと何分?」

甘ったるい声に気を取られ、希和の話はあっという間に忘れ去られた。

やがて、ひよりを拾った一臣の車は、山へと向かった。

この山は険しさで知られており、一臣が好む「スリル」を味わうため、希和も何度か連れて来られたことがある。

けれど今回、一臣とひよりが一緒に登っている姿を見て、希和は初めて気づいた。

一臣にも優しい一面があったと。

ふたりは手をつなぎ、顔を寄せ合いながらひそひそと話していた。まるでその仲の良さを希和に見せつけるために登山に来たように。

一歩うしろを黙ってついて行く希和は、完全に部外者だった。

途中で、ふと一つの石が希和の目に留まった。

昔、そこにこっそり名前を刻んだことがある。

「一臣」と「希和」。あの頃の恋心を形として残したかったのだ。

ひよりが突然足を止め、小さな花を指さした。

「あれ、ほしいな……」

「待ってろ。俺が摘んでくる」

そう言って一臣は、軽やかに駆け出した。

希和の視線は自然と石に戻っていたが、その動きをひよりは見逃さなかった。

数秒後、ひよりの目が石の文字に気づく。その顔が一瞬で凍りついた。

「ねえ、希和……まさか、わざとここで立ち止まったの?一臣にあの石を見せるために?

……もしさ、私たちが同時に崖から落ちたら、一臣って、どっちを助けると思う?」

その言葉と同時に、希和はぞくりとするような悪意を感じた。

この間誕生日パーティーでの出来事が一気によみがえり、希和はとっさに身を引こうとしたが、間に合わなかった。

背中を強く押される。

次の瞬間、希和の身体が空中に浮き、そして転がり落ちていく。激しい衝撃が全身を駆け抜け、何箇所の傷もできてしまった。

希和の後を追うように、ひよりも転がり落ちた。

だが彼女は、要所をしっかりと庇って転がったらしく、服が乱れた程度でほとんど無傷だった。

二人の悲鳴を聞きつけて戻ってきた一臣だが、目にはひよりしか映っていなかった。血だらけで地面に倒れた希和は、わずか一メートルも離れていない場所にいたのに。

希和はようやく顔をあげると、一臣がひよりを抱きかかえ、その足を心配そうにさすっているのが見えた。

「……一臣……」

霞む意識のなか、かすれた声で彼を呼んだ。

その声に気づいたのか、一臣がふと振り返る。だが、彼の足が止まったのはほんの一瞬だけだった。

「先にひよりを病院に送る。お前はここで待ってろ」

風にかき消されるようなその言葉を最後に、一臣は再び背を向け、そのまま、希和の視界から消えた。
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