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第5話

Author: やまかぜ
朝、スーツケースを持って家を出るときには、瑛斗はもういなかった。

よほど急いでいたのだろう。書斎の簡易ベッドも散らかったままだった。

普段から仕事で朝早く出て、夜遅く帰ってくることはあった。そんなときは、たいてい私が片づけていた。

けれど、これからは彼の暮らしに手を出すこともなくなるのだろう。

私は視線を戻し、家を出てタクシーを拾った。

昨夜、友人に頼んで、すぐに入居できる小さな家具付きの部屋を借りてもらっていた。

移動中、LINEで元学級委員に今日の創立記念行事には行かないと伝えようとした。

そのとき、同級生から電話がかかってきた。

昨日カフェで、私をののしった人だった。

電話に出るなり、彼女は頭ごなしに問い詰めてきた。

「あんた、どういうつもり?依由が集まりに誘ってくれたのに、どうして無視するの?」

私はうつむき、こめかみをもんだ。

確かに昨日、依由のメッセージには返事をしなかった。

「行く時間がないの」

「時間がない?後ろめたいだけでしょ!」

彼女は依由のために憤慨しているといった口調で、勢いよくまくし立てた。

「昨日、逃げ出したのはまだいいとして
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