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第9話

Auteur: シュンエイ
時間はあっという間に過ぎ、気づけば海外に来て一週間が経っていた。

七日目にしてようやく初稿が仕上がり、ほっとした瞬間、腹が情けなく鳴る。

私はお腹を押さえて鍵をつかみ、外へ出た。

初秋のパリにはすでにひんやりとした空気が混じっている。コーヒーを飲みながら雑誌をめくっていると、次の瞬間、見覚えのある二つの影が視界に入った。

「日和さん……偶然ですね。ここにいたなんて」美月のわざとらしい声を聞いた途端、口の中のサンドイッチが一気にまずくなる。

隣に立つ玲央は、熱のこもった視線で私を見つめていた。まるで私が何か借りを踏み倒したみたいな顔で。

「橘さん。私たち、そんなに親しくないでしょ」

ぶっきらぼうに言い捨て、バッグを手に取って立ち上がる。

「白石、私にコンペで負けるのが怖いんでしょ?だって玲央くんだって、私に取られたじゃない。今回も同じよ」

「美月、やめろ」

黙っていた玲央が、低くたしなめた。

私は振り返らず、淡々と言う。

「脳を診てくれるお医者さん、知ってる。必要なら紹介してあげるわ」

――要するに、これ以上相手にする価値もないってこと。

それだけ言い捨てて、私は大股で店を出た。

背後で金切り声のような罵声が飛んでも、振り向かない。……あれ、本気でどこかおかしいんじゃない?

数日後、レッドクラウン国際デザインコンペは予定どおり開催された。

幾度もの厳しい審査を経て、私と美月の図面がそろって決勝に残る。

そして最終選考。審査員たちの票は次々と私に集まり、美月に入ったのは、たった一票だけだった。

それなのに美月は、焦るどころか、薄く奇妙な笑みさえ浮かべていた。

胸の奥がざわりと波立ち、私は一気に警戒を強める。

次の瞬間、美月は審査員席に一枚の原稿を差し出し、はっきりとした声で言い放った。

「白石日和さんの今回の作品は、盗用の疑いがあります。この方には、優勝する資格がありません!」

その一言で、会場中がざわめきに包まれた。

そして――彼女が差し出した原稿を見た瞬間、私はようやくその狙いを悟った。

鋭い視線が、客席にいる玲央へと吸い寄せられる。

今回の課題は、私が過去に手がけた設計案を土台にして発展させたものだ。その土台を見た人間がいるとすれば、玲央しかいない。

客席の玲央がふいに立ち上がる。口を開きかけては閉じ、何か言お
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