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第5話

作者: シュンエイ
ソファ席の隅で、玲央が美月を抱き寄せ、深く、執拗にキスしていた。美月は目を細め、男の腰に絡みつくように腕を回している――どれほど夢中か、一目でわかる光景だった。

足に鉛を流し込まれたみたいに、私はその場から動けず、ただ二人を見つめていた。

「そもそもさ、美月が留学しなきゃ、あいつらとっくに結婚してたよな。日和の出番なんてなかっただろ」

別の男が、悠斗と笑いながら言う。

「だよな。日和って気ぃ強すぎ。毎日玲央に噛みついてさ。俺ならとっくに別れてるよ」

悠斗が調子を合わせる。「ほんと。あの二人が付き合ってた頃なんて、そりゃもうラブラブで――」

その先は、耳に入らなかった。

頭の中だけが、じんと鳴っている。二人は……付き合っていた?じゃあ、私のほうが後から入り込んだ存在だったってこと?

これが、悠斗の言うサプライズなの?

ソファ席のドアが内側から開いて、ようやく彼らが私に気づいた。顔色が一斉に変わる。赤くなり、そして青ざめる。

美月は頬をうっすら染め、むしろ私を責めるように言った。「日和さん、盗み見って……趣味悪くない?」

私は口角を少し上げる。「私だって見たくなかったよ。昨日の残り物まで吐きそう」

美月の表情がわずかに歪む。「……どういう意味?」

私はドアをさらに押し開け、ゆっくりと言った。「そのまんま。わからない?あんた、私より年上でしょ。いい歳してああいうノリ、正直キツいわ」

その場の空気が、凍りついた。

私は玲央に視線を向け、言葉を続ける。「元カノとやり直すつもりなら、最初からそう言えばよかったじゃない。私だって、邪魔する趣味なんてないわ。隠れてコソコソして、どの口で私を責めるの?頭がおかしいのは、どっちよ」

玲央の顔が一瞬で白くなり、慌ててこちらへ駆け寄ってくる。

「違う、日和。俺と美月は賭けに負けただけで……さっきのはゲームで――」

その言葉を最後まで聞くことはなかった。私は振り向きざま、思いきり彼の頬を打った。乾いた音が響き、手のひらの付け根まで痺れる。

一人ひとりに視線を走らせるほど、吐き気が込み上げてくる。

「玲央。終わりにしよう。もう、私の人生に関わらないで」

帰り道、玲央につながる連中を片っ端からブロックした。あの輪と、これ以上一ミリも関わりたくない。

こうして、玲央は私の世界から本当に消えた。

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