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Auteur: 仲原
last update Date de publication: 2026-08-05 21:56:08

「……アハっ」

 それはとても小さなことだった。

「アハハッ」

 でも、そんな風に喜んでくれる人が愛おしくて仕方が無い。

「海亜?」

「ハハハ……」

 ねぇ、どうして。

 思わず外にでてしまいそうな言葉は今の素直な気持ちで。

 どうしてあなたいつもは、私が一番欲しいと思っているものをくれるの?

 どんなに悲観的になっても、簡単に嬉しくなってしまう魔法があるんだと。それに触れることが何よりも嬉しくて仕方が無い。

「ねぇ、昴さん」

 笑ったことで溢れ出た涙。それをゆっくりと掬い取ると今日一番の笑顔でこう告げる。

「そんなに喜んで貰えるなんて、とても嬉しいです」

 ごめんなさい。と、ありがとう。それはどちらも相手に伝えることは無いだろう。だから代わりに、ただ、黙って、大好きな人を抱き締めるてあげる。あなたが居てくれて良かった。そんな思いを込めて。

「何だかよく分からないけど、海亜が喜んでくれたならいっか」

 いつの間にか振り回されてしまっている昴が困ったように頭を掻いてみせるが、海亜の取った行動に対し深く追求する気は無いようだ。

「それじゃあ、着替えたら出掛けようか」

「ええ。お願いします
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  • さよならは、笑顔の後で   99

    「そこは難しい問題じゃない?」 先程まで裏切りだ! 離婚だ! と盛り上がっていたはずの上司は、急に真剣な口調でこう続けた。「どうするかを決断するのはその人自身だけど、一時の感情で決めるのか、状況を確認した上で冷静に判断するのかで結果は変わるでしょう?」 小さく音を立てて転がるグラスの中の氷。それをストローで弄びながら、上司はそっと表情を和らげ小さく溜息を吐く。「何がその人にとって最善なのか。それを知るための方法は探せば出て来たりするじゃない?」 そう言われて海亜は思わず固まってしまう。「そ……う……です…かね?」 明らかに震えてしまう声。本音を悟られないように適当に笑って誤魔化すと、上司は少し黙った後ですっと視線を逸らしながらこう続けた。「もしその人が、まだ旦那さんのことを信じたいって思っているのなら、感情的になって終わらせる前に足掻いてみる事も大事なのかもしれないよね」 そこで訪れる休憩時間の終わり。これ以上はこの話題を話すことなく、職場に戻ると作業に取りかかる。手を動かしながら考えるのは先ほど言われたばかりの言葉で、そのことが妙に気になって仕方が無い。 もしかしたら、彼女は気付いていたのかも知れない。 この話が海亜自身の事を語っているのだと言うことに。 だからこそ、敢えて「考えてみなさい」と言葉を残したのだろう。「今までは、色んな事を誤解してた……のよね……」 この数ヶ月の間に、海亜を取り巻く環境は著しく変化を続けている。それは周りの動きが想定外の動きをしているという部分もあるが、何よりも海亜自身の心が変化してきているという部分が大きい。 幼少期の出来事により内側に閉じこもり、何も見ず、何も聞こうとしなかったせいで大きくなっていく蟠り。それは彼女自身の間違った認識と思い込みがそうさせていたもので、もっと広い視野で見れば全く異なる面を見せていたことに気付けたということはかなり大きい。「もしかしたら、昴さんの件も……」 何か誤解していることがあるのかも知れない。 離婚という言葉を伝えた後から感じる変化。今まで、海亜の世界は昴を中心に回っていたのだが、それ以外の部分に目が向き始めたことで彼との距離が遠くなる。少しばかりの開放感と、彼に対しての未練で揺れる心は、実のところ未だ答えが出せないまま放置されている状態だ。 ただ、許せない

  • さよならは、笑顔の後で   98

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  • さよならは、笑顔の後で   97

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  • さよならは、笑顔の後で   96

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  • さよならは、笑顔の後で   95

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