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4・見つけた!

Auteur: 泉南佳那
last update Date de publication: 2025-06-13 13:02:13

〈side Takito〉

紗加の家で夜を過ごした日から1週間後。

過去に撮った写真をスタジオの床いっぱいに広げてモデル候補を探すけど、そう簡単には見つからない。

「どう? めぼしい子はいる?」

「うーん、どうもみんな、手垢がついてるっていうか、モデルずれしてるっていうか」

「そうね。昔の女優のように、気高くて気品あふれるモデルが撮りたいって話だもの。まあ、この子たちじゃ無理だわね。たんなるコスプレになっちゃう」

とにかく難航した。

連日のように付きあいのあるプロダクションに打診して、これまでに何人か面接に来てもらったが、なかなかピンとくる子に出会えない。

「やっぱもうちょっと大々的にオーディションするかな」

「オーディションねえ……余計野心的なギラギラした子が集まりそう」

「個人的にはギラギラした子も嫌いじゃないんだけど……イテっ!」

「あなたの好みを聞いてるんじゃないの。真面目にやんなさい」

紗加に鼻を思いっきりひねられた。

この女、Sっ気があるのか、こういう時には容赦なくおれを痛めつけて笑ってやがる。

でもベッドでは、どっちかっていうとMっぽいんだけど……。

執拗なおれの
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  • たとえ、この恋が罪だとしても   エピローグ

    「あ……っ」 「こんなに感じてくれてるんだ……。嬉しいな。でも、そんなに固くならないでリラックスしてごらん」 少し掠れたぞくっとする声でつぶやく。「文乃が行ったことのないとこまで、連れてってあげるから」  それから、指と唇でさんざん弄られて…… もう声を抑えることなどできずに、わたしは快楽の波に翻弄されるまま、あられもない声をあげていた。 頭が真っ白になって、気が遠のいていきそうになったとき、安西さんがわたしのなかに入ってきた。   「……はあっ、あや……の」  彼も抑えきれない欲望に声をあげてわたしを突き上げる。 好きという気持ちが心から溢れだして、わたしの全身に漲っていく。  その想いを注ぎ込みたくて、わたしは自分から彼の唇を求めていた。   「す、き……あなたが……好き」    発火しそうなほどの熱い口づけで、彼はその想いに応えた…… *** ふと目を覚ますと、窓の外が白んでいた。 新聞配達のバイクの音が遠くから聞こえてくる。  その音さえ、まるで祝福の鐘の音のように聞こえる。 隣で眠る安西さんの安らかな寝息も聞こえる。 わたしはそっと、彼の背中に口づけ、また微睡(まどろみ)のなかに引き込まれていった……〈the end〉*お読みいただきありがとうございました😊

  • たとえ、この恋が罪だとしても   エピローグ

     ふわふわと宙に浮き上がっているような覚束なさに全身が支配される。 彼の唇はしばらくそこに留まっていたが、顔をあげて、今度はじっと見つめてくる。「頬が上気して薄紅色に染まってる。ああ、カメラに収めたいぐらい綺麗だ」  そんなことを言いながら、彼の手はわたしの足をさすりあげてくる。「でも……やっぱり誰にも見せたくない」  太腿に置かれていた手に力が加わって、左右にゆっくりと押し開かれた。   「あっ……いや……」  思わず閉じようをすると、さらに強い力で押さえられてしまう「そう? そんな蕩けそうな声出してるのに?」  そして、少し意地悪な口調でそんなことを言われる。  「……だって、恥ずかしい……です。そんなふうにじっと見られたら」   「商売柄かな。いつでも見ていたいんだ。美しいものは特にね」  安西さんはわたしを見つめたまま、内腿に舌を這わせていく。そして言った。「……今度は時間をかけて、たっぷり愛してあげるよ」    彼の舌がわたしのもっとも敏感な部分に触れた。「……!」  これまで味わったことのない快楽の波が襲ってくる。   「い、や……やめ……」  わたしは安西さんの髪をかき乱しながら、執拗なその舌を引き離そうとした。    彼の唇が離れた。  ほっと息をつくと、今度は彼の指がわたしのなかを弄りだす。

  • たとえ、この恋が罪だとしても   エピローグ

     「ありがとう……。嬉しいです。そう言ってもらえると」 そう呟くわたしの髪を耳にかけて、露わになった耳たぶに戯れにそっと歯を立ててきた。 噛まれたと言っても、ほんの軽く触れられた程度だった。 でも、心も身体も敏感になっているわたしは、それだけのことでも思わず声をもらしてしまった。   「あ、うんっ……」 「……その声も好きだよ。そんな声を聞かされたら」 少しかすれた色めいた声で安西さんがつぶやく。「また……欲しくなってきちゃうじゃない」  安西さんの手がわたしの肩に触れ、静かに押し倒される。    彼の舌が首筋をさまよいはじめる。  そっと、舐めあげられたり、ときおり少し強く吸われたり。   そんなことをされると、背中がぞくぞくしてきて、思わず身をよじってしまう。 そんな反応が彼をまた刺激して、今度は指先が胸乳を弄りはじめる。 尖った先端をさすられると、身体の奥深くで得体の知れない何かが蠢きだす。 わたしは思わずびくっと身をこわばらせる。   「こうされると、気持ちいい?」  恥ずかしさに震えながらも、わたしは小さくうなずいた。 安西さんはふっと微笑みをこぼし、「じゃあ、これは?」と言って、  今度は右胸の乳暈を舌でやさしく舐めあげてきた。「……あん」  指とは違う湿った感触に、新たな快楽を掘り起こされて、自分とは思えないような声を出てしまう。

  • たとえ、この恋が罪だとしても   エピローグ

     彼の部屋で、安西さんはありったけの情熱を注ぐかのようにわたしを抱いた。「安西……さん」 獣のようにわたしを貪る彼にこたえて、いつしか、わたしもあらぬ声をあげていた。   「まだ夢みたいだ。文乃とこうしているなんて」 「わたしも……同じこと、考えてました。今」 情事の余韻に浸ってぼんやりしているわたしに安西さんがつぶやいた。 彼の腕がわたしの身体の下に滑り込んできて、そのまま引き寄せられる。  背後から抱きしめられて、肩口にそっとキスされる。 こわれものを扱うように優しく。  そうした態度のすべてがわたしを幸福の極みに連れて行ってくれた。 あのときは、その幸福が怖かった。でも、今は違う。  そのことが心の底から嬉しかった。「なんで保育士になったの?」  わたしの髪をもてあそびながら、安西さんが尋ねる。「歌にかかわる仕事がしたくて。保育士になれば毎日子供たちと思い切り歌えるなと思って、それで通信で資格を取って……」「文乃らしいな。おれ、文乃の歌、好きだよ。とっても美しい澄んだ声をしてるから。子供たちが羨ましいよ」 そんなふうに褒められたのは初めてだ。  他でもない安西さんに言われたことも相まって、嬉しさがふつふつとこみあげてきた。

  • たとえ、この恋が罪だとしても   15・3年後

     そう言うと、今度はこれ以上ないほど真剣な表情に変わった。「会いたかったよ。文乃がどう思ってるかわからないけど、おれは今でも文乃が好きだ。その気持ちは少しも変わっていない」 もう、我慢できなかった。  堰を切ったように涙が頬を伝っていく。    店はほぼ満員だし、店員さんも近くにきそうだし、こんなところで泣いたらおかしいと、自分をいさめるのだけど、どうしても止まりそうになかった。「ご、ごめんなさ……い、お、おかしいですよね……こんなところで」 安西さんは優しい眼差しでわたしを見つめながら、ハンカチを差し出した。 そして、「出ようか」と言った。  それからすばやく立ち上がると、わたしをかばうように肩に手を回して歩き出した。 表に出て、駐車場に向かう途中の壁際で抱きすくめられた。「文乃……会いたかった……おれのあやの……」 そう言って、わたしの顎をすくいあげる。  懐かしい彼の唇の感触がわたしの心に灯りをともしていく。「文乃は? おれを好きでいてくれた? 今も変わらない?」  少し不安げにそう尋ねる彼の顔を、わたしは見あげた。「……変わって……ません。ずっと……ずっと好きでした。ずっと、会いたかった」 唇が重なる。  深く、激しく。 まだ、宵の口だし、誰か通りかかるかもしれない。  そんな考えが、ちらっと頭をよぎったが、それでもかまわない。  そう思った。 名残惜しげに唇を離すと、彼は切羽詰まった声音でささやいた。「もう、死んでも離さないから、覚悟して」  

  • たとえ、この恋が罪だとしても   15・3年後

     あのとき、自分は俊一さんへの罪悪感を少しでも薄れさせることしか、考えていなかった。 安西さんの、わたしを想ってくれる気持ちを軽んじたつもりはまったくなかったけれど、結果的に彼の気持ちを踏みにじってしまった。  結局、わたしは自分のことしか考えてなかった。  ひどいことをした。  安西さんの顔がまともに見られない。俯いたままで、わたしは言った。「ずっと、ずっと、あなたのことはもう忘れなければいけない、と思ってました。安西さんにとってわたしは、もう遠い過去になっているはずだって。 それに、本当に、わたし、安西さんみたいなひとには、ぜんぜんふさわしくないし……」    言葉が終わらないうちに、安西さんの手がわたしの頬に伸びてきて、軽くつねられた。 思わず顔を上げると、目が合った。  慈しみに満ちた表情でわたしを見つめている。 初めて会ったときから、わたしを惹きつけてやまない瞳。 その美しい瞳と見つめ、ようやくふたたび安西さんに会えたことの喜びが、わたしの心を満たしはじめた。「何言ってるんだよ。ふさわしいかどうかなんて、おれが決めることだろう」  そのまま、わたしの髪を優しく撫でながら、続けた。「おれが愛する女は、文乃だけだよ」  そう言ったとたん、安西さんはあわてた顔をして、自分の口を両手で押えた。  急にどうしたのだろうと思っていると……「うわ、やば。まじで歯が浮いてきた」と真面目な顔で言う。  本気であわててる姿が可笑しくて、思わず吹き出してしまった。 そんなわたしを見て、安西さんは嬉しそうに言った。 「やっと、笑ってくれたね。その顔が見たかったんだよ」

  • たとえ、この恋が罪だとしても   3・よぎる不安

    〈side Ayano〉 中学、高校とコーラス部に所属していたわたしは、社会人になってからも私設の合唱団『ムジーカ・アルモニーア』に所属していた。「文乃ちゃん、声の調子良さそうね」発声練習をしていると、リーダーの美紀さんに声をかけられた。「はい、ネットで『大根の蜂蜜漬け』というのを見つけて、作ってみたら喉の調子が良くなって」「へえ」「明日、皆さんにも作ってきますね。はじめてのコンサートですし」「まあ、ありがとう。みんな喜ぶわ。あっ、そうそう、彼氏は観に来てくれるの?」「残念ながら、出張で大阪に行っているので」「あら、そうなの。お会いしてみたかったのに」「また次の機会に連れ

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-17
  • たとえ、この恋が罪だとしても   2・理想のモデルはどこに?

    「首尾はどう?」「ばっちり。もうIDも教えたし」ぱしっと頭をはたかれる。「イテっ」「そっちじゃなくて撮影のほうよ。順調に行けた?」「ああ。里奈ちゃん、なかなか勘のいい子でさ。今日は楽勝だった」「そう。終わったばかりで悪いけど、ちょっと話があるの。事務室に来てくれる?」 そう言って、先に立って歩いていく。 そうするとどうしても魅惑的に左右に揺れるヒップに目が行ってしまうは男の性(さが)だよな。 おれ、会社勤めじゃなくて良かった。 セクハラで、3日で首になりそうだ。********************************「さっきね、ある会社からオファーがあったの」

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-17
  • たとえ、この恋が罪だとしても   6・スタジオで

    いくら表面を飾ってもそれは隠しきれない。でも、あの子は違った。服装は目も当てられないぐらいダサかった。 でも彼女の内面にあるのは、欲望とは無縁の透明で繊細なガラス細工だ。そのガラス細工は鍵のついた箱に大切にしまってあったらしく、俗世間の垢(あか)にまみれずにここまで来たようだ。   玄関のチャイムが鳴り、来客を知らせる。インターホンのカメラ越しに緊張した面持ちの文乃の姿が見えた。「来た、来た」得意げな顔を紗加に向けてから、おれは玄関へ急いだ。〈side Ayano〉来てしまった。今、安西さんのスタジオの呼び鈴を押している。自分にこんな無謀なことをする度胸があったことに

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-20
  • たとえ、この恋が罪だとしても   6・スタジオで

    今はグラビアをメインに仕事しているけれど、もともとアーティスティックな写真を撮っていて、写真学校在学中に大きな賞も受賞している。今注目の若手カメラマン。弱冠27歳。とにかく、すごい人だということがわかった。 本来なら100パーセント出会う確率のない人。 わたしとはまったく接点がないのだから。安西さんが依頼されたという雑誌も、1920年代に創刊されたファッション誌の老舗中の老舗だった。知れば知るほど不可能だ、という気持ちしか湧いてこない。当たり前だ。ただの会社員のわたしにそんな大それたことが務まるわけがない。だから時計を返すだけのつもりだった。 玄関口で渡して、そのまま帰るつ

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-20
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