로그인「おーい!新!早く行こうぜ!1回は行ってみたかったんだよなぁ、"桜ヶ丘祭"!」「...オレ昨日バイト遅かったから寝てたいんだけど...」「まぁまぁ、新君。せっかくの青春を謳歌しないでどうするんだ?」「...ハァ...。2人揃って...。10時に桜ヶ丘で待ち合わせだったろ?」新が自室で寝ていると、高校で知り合い仲良くなった田辺と巻が突撃してきた。今、家に居るのは新と妹の唯だけだったので唯が2人を家に上げたのだろう。「だって新、行ってもいいって言ったじゃねぇか。」「だからって朝イチから来るバカがどこにいるんだよ!」「ここに居るよー♩2人もー♩」「ハァ...」新は深くため息をつくと、ベッドから起き上がり私服へと着替える。「なんだかんだ言って、新ってオレ達の言うこと聞いてくれるよな。」「イヤーン♡愛されてるー♡」「うるせぇ!キモイわ!」新は仕度を整え終えると、2人を連れ1階へと降り、リビングに居る唯に声をかける。「唯ー、オレちょっと出てくっから、出かけるなら鍵かけてけよー。」「お兄でかけるんだ。田辺君、巻君。お兄のことお願いね。」「任せて唯ちゃん!」「任されるのはオレの方だよ...」そうして新達3人は桜ヶ丘へと向かった。いつもより道に人が多いのは、やはり桜ヶ丘祭に行く人が多いからだろう。「オレ学園祭とか初めてでテンションあがるー!」「ここらの中学は学園祭とか無いもんな。」田辺と巻はハイテンションで、寝起きの新はそのテンションについていけずにいた。そうこうしているうちに、桜ヶ丘へとたどり着いた。すると2人は目を輝かせ、新が「おい」と声をかけようとしたが、新の声が届く前に2人揃って校舎の中へと消えていってしまった。「...アイツら...!!」新に一緒に行きたいと言っていたわりに、2人共新を置き去りにしていった。新は頭を抱えて一瞬しゃがみ込んだが、来てしまったものはしょうがない。そう思い1人で校内を散策することにした。しばらく歩いていると、前方の方からなにやら揉めている様子が見えた。1人は20代っぽい男。もう1人はピンクのゴスロリを着た女子生徒だった。どうやらナンパのようだ。女子生徒が困って動けないでいるようだから、頭を突っ込みたくはなかったが、誰も助けてはくれないようだったので、出張ることにした。「未成年ナンパしてんじゃねぇよ。
13時を回る頃、若葉はクラス委員長に客引きへと行くように命じられた。衣装係の女子と共に着替え教室へと入り、準備段階から予定していたピンクのゴスロリ衣装へと着替える。着替えが終わり軽くメイク直しをしていると、先に客引きをしていた執事コスの男子生徒が入ってきた。「おつー。おう、桜ちゃんの出番ですか。マジ可愛いな(笑)この格好だとお姫様みたいでええやん!」「...今日だけはありがとうと言っておく。」「ホントは嬉しいくせにぃ。そだ、1枚写真撮ろーぜ!」「1枚につき1万な。」「高ぇ(笑)」男子生徒はそう言うとメイクをしていた女子生徒にスマホを渡し、2人のツーショットを撮ると、男子生徒は「サンキュー」と言い撮った写真を見た。「おぉ...これはヤバイな...。確かにこれなら高く売れそう...。」「売るな...。」「あ!桜ちゃん、ネームプレート付け忘れてるよ!」「ありがと。」若葉は女子生徒からネームプレートを受け取ると、腰のエプロン部分に取り付けた。「ホラ、グラスボード寄越せ。」「1人で大丈夫か?」「女子じゃないんだし大丈夫だって。客寄せパンダするだけだし。」若葉はそう言うと、クラスボードを受け取り着替え教室を後にする。1人でいいとは言ったものの、女装をして1人で校内を歩くのに少し抵抗を感じてきてしまった。「やっぱり、ついてきてもらえばよかったかな...。」若葉は小さくポツリと呟くと、首をフルフルと振り、頬をパンと叩いて気合いを入れ直した。「弱気にならない!よし、行くか!」気分を入れ替え、いざ行こうとすると、肩をポンと叩かれ「ねぇねぇ」と声をかけられた。「キミこのクラスの子?可愛いねぇ。名前は?あ、桜ちゃんて言うの?オレ実はツレとはぐれちゃってさァ。良ければ案内してくんない?」見たところ20代前半くらいの男性で、肩を叩いたまま肩を抱き顔を近づけてくる。若葉は気持ち悪く感じ力を入れて手を退けようとするが、思ったよりも強く抱かれているためビクともしない。「黙りしないで、お話ししようよー。」若葉は耐えられないと目をギュッと瞑った瞬間、肩が軽くなるのを感じ、そろりと目を開けた。「未成年ナンパしてんじゃねぇよ。クズが。」
時刻は午前10時。学園祭"桜ヶ丘祭"の開始時刻である。桜ヶ丘高校の校舎には、老若男女様々な人々が集まってきている。校舎に入るとそこら中から生徒達の呼び声が溢れかえる。そんな中、早くも1-3は注目の的となっていた。1-3はコスプレ喫茶。男女様々なコスプレで接客をしている中、やはり人々の視線を引き付けたのはメイドのコスプレをした若葉であった。「いらっしゃいませ、お客様。ご注文はいかがなさいますか?」若葉が柔らかい笑みを浮かべ接客すると、女性も男性も顔を赤らめる。そして大半のお客はこう言うのだ。「あの!写真一緒にお願いできますか?!」普段の若葉であれば「こんな黒歴史、写真に残したくない!」と言うところであるが、今は"桜ちゃん"である。お客の要望には喜んで応える。「えぇ。私でよければ喜んで。」若葉がにこやかに応えると、女性客は「キャー!」と大はしゃぎをし、男性客はニヤニヤとしながら写真を撮る。男性客のニヤつきに対しては若干引きながらも「これも集客のため」と思いながら堪えるのであった。そうこうしているうちに1時間が経過した。「桜ちゃん!そろそろ次の衣装に着替えてー!」「ハーイ!」若葉はお客が飽きないように1時間ごとに衣装替えをする事になっている。これはリピーター狙いの策略でもある。そうして、衣装替えした若葉が次に着ているのは、水色を基調としたチェックのセーラー服。髪型はロングのストレートになっていて、清楚なイメージとなっている。着替えとメイク直しを手伝ってくれた女子からはキラキラした目を向けられた。「良いよ...!良いよ桜ちゃん!シンプルすぎるかなぁって思ったけど、全然イケる!」「ホント?変じゃない?」若葉はその場でくるりと回ると、女子達は「メッチャ良い!」「可愛すぎる!」と興奮した面持ちであったため、若葉はホッとして、「それじゃ、接客に戻るね」と声をかけて着替え教室からクラスの教室へと戻った。教室へと入ると周囲からは「キャー!」だの「うおぉ!」だのと声が上がった。若葉はサービスをするかのように「皆さんいらっしゃいませ!桜です!」と言うとウィンクをした。すると教室からはハートが溢れかえるかのようにお客もキャストも桜ちゃんにメロメロになっていた。そんな様子を見ていたクラス委員長は「フッフッフ...」と低く笑い、「やはり私の見立てに狂いは無かった!!」と
天気は快晴。見事なまでの学園祭日和。そんな天気とは裏腹で、若葉のテンションはどんよりと曇っていた。「...とうとう来てしまった...。せめて雨でも降って来客数減ってくれればよかったのに...。」若葉が誰にも気づかれないように本当に小さく呟いたのだが、地獄耳のクラス委員長がその呟きを聞き逃すハズがなく。「なんてことを言うの佐倉君!学園祭と言えば晴れと決まっているものよ!そして、この学園祭に来たお客さんを1-3に集客するのよ!そ・の・た・め・に!桜ちゃん!よろしくね!」「...ハァ...」クラス委員長の言葉をかわきりに、クラス中から「桜ちゃんよろしくね!」「期待してるぜ!桜ちゃん!」と声が上がるのであった。「それじゃあ、それぞれ準備に取り掛かりましょう。佐倉君、ちゃんとコンタクト持ってきてくれた?」「...ハイ。持ってきました。」「よし!じゃあハメてね!その後にメイクするから。衣装、メイク係の皆!佐倉君任せるね!」「りょーかい!佐倉君!メッチャ可愛くするからね♡」若葉はクラス委員長から衣装、メイク係の女子へと引き渡された。これはもう腹を括るしかない。こうなったら、来客した客全員惚れさせる勢いでやってやる。頑張れ若葉。負けるな若葉。そう若葉が小さく燃えていると、クラスの皆が「とうとうやる気になってくれた!」と喜んだ。「皆、オレ頑張るから。気負わちゃわないように今日一日は皆も"桜ちゃん"って呼んで。」「佐倉君...いえ、桜ちゃん...!ありがとう!アナタを立派な女の子にしてみせるわ...!!」クラス委員長は感極まって、フルフルと震えている。他のクラスメイト達も「オレ達も気合い入れて美味いもん作るからな!」「私達もコス頑張るからね!」と盛り上がった。クラスの思いが一致団結した後、皆自分達の持ち場へと散っていった。「桜ちゃん、最初の衣装はどうする?やっぱり無難にメイド服からとかどうかな?ウィッグはロングのツインテールで!」「うん。良いと思う。オレって途中、客引きとして校内回るんだよね?」「そうね。その時はこのピンクのゴスロリとか良いと思うんだけど...ウィッグはウェーブで!」衣装担当の女子がおずおずとゴスロリ衣装を若葉に見せてきた。「コレなら派手目で華やかだし、人目を引きやすいから客引きにはピッタリかもね。コレで行こうか。」若葉がそう応え
どこを見ても男、男、男。男子校とはむさ苦しく悲しい場所である。マンガの様に美人な若い女性教師が居るわけでもない。そんな中で3年間過ごすというのは、青春を送る若者には酷な話しである。授業中も落ち着きなく騒がしい中、新は回ってきたマンガの最新巻を読んでいた。すると、高校に上がってから仲良くなった斉藤が声をかけてきた。「新ぁー、お前、今月末の土曜ヒマか?」「土曜か...。なんも無いけど何?合コンでも開いてくれるん?」斉藤はこの辺りの高校に顔が広いため、よく合コンを開いたりしているのである。「いやいや。今回は合コンじゃなくて(笑)オレの中学の親友が桜ヶ丘に通ってんだけどさ。その日学園祭らしくって。新一緒にいかね?」「...桜ヶ丘か...」新が遠い目をしながらポツリと呟く。斉藤はそんな新をハッと見やると、「もしかして...」と言葉を紡いだ。「新、お前...桜ヶ丘に元カノでもいんのか?!」「ちゃうわ!!...オレの幼馴染みも桜ヶ丘に通ってんだよ。...まぁ、中2の途中から交流無くなったケド。」「...ふぅーん?なんかアヤシイけど、それって女?男?」「...男だけど。」新が"男"と応えると、斉藤は「なぁーんだ」と言い、後頭部で手を組みながらつまらなそうに新を見やった。「オレはてっきり幼馴染みという名の元カノかと思って期待したのによー。なんだ、男かよー。つまんねぇー。」「...お前なぁ...」新は斉藤に呆れていると、頭の中で幼馴染み..."若葉"を思い浮かべる。先程言った通り、中2のあの日から交流がパタリとやんでしまって、今となっては幼馴染みと言っていいのかわからない程である。自分から若葉を遠ざけてしまったため、今更若葉に合わせる顔がないのだ。新がそう思いだんまりを決め込んでいると、斉藤は「別にいいじゃん?」と声をかけてきた。「オレ達はお客として、学園祭を楽しみに行くだけだし。その"幼馴染みさん"に会いに行く訳じゃねぇんだからさ。気楽に行こうぜ?もしかしたら、ワンチャン可愛い女子といい出会いがあるかもしれねぇし?」「...まぁ、そうだな。いいぜ、いっても。」新がそう応えると、斉藤は「そうこなくっちゃ!」と言いながら背中をバシバシと叩き、「じゃあ、土曜10時に桜ヶ丘の校門前で!」と言うと去って行った。「...若葉...。どうしてっかな...」交
出し物が決まった翌日のホームルーム。さっそく若葉は女子達の着せ替え人形と化していた。どこから持って来たのかという程の大量の衣装達。様々なメイド服やゴスロリ、チャイナ服まで。ウィッグもロングを中心にいろんな髪型が揃っていた。「...チョット、まさかコレ全部オレが着るわけ...?」と、着せ替えが始まる前、若葉が恐る恐るクラス委員長に尋ねた。すると、彼女は目をこれでもかと見開き、「何を言っている?」と言わんばかりの表情を浮かべた。「佐倉君。クラス優秀賞は君にかかっていると言っても過言では無いのよ?そのためにはお客様に喜んでもらえるようにいろんな姿を見せる必要があるの。おわかり?」「...わからない。わかりたくない。」クラス委員長は「もう!ワガママ言わない!」と若葉の背中をバシバシと叩く。そうして若葉は彼女達の着せ替え人形となったのであった。しばらくいろんな衣装を着せられていると、ホールキャストのネームプレートを作っていた女子がキャッキャと騒ぎながらこちらに近づいてきた。「佐倉君のネームプレートメッチャ可愛く出来たよ!」「...ちょっと待って。何コレ?」「何って?」若葉の疑問に女子はキョトンとしていた。「オレの名前"佐倉"だよ?...何"桜"って...」「えぇー、可愛くて良いじゃん!"桜ちゃん"!」「おぉ!メッチャ良いじゃん!佐倉、マジで女子にしか見えねぇし、学園祭の間は"桜ちゃん"でいこうぜ!」女子に乗っかって、男子のクラスメイトまでテンション高く近寄ってきた。「それにホラ。廊下見てみ?佐倉...いや、桜ちゃん見たさに他クラスの奴らが見に来てるぜ?」「...え?」そいつに言われて廊下に目をやると、他クラスの女子や男子が若葉のクラスの廊下に集まってきていた。中には「あんな可愛い女子このクラスにいたか?」と言う輩もいた。そんな様子を見てクラス委員長は「ふふふっ」と小さく笑い、「計算通り!!」と声高らかに言った。「言ったでしょ?佐倉君は立派な"客寄せパンダ"になれるのよ!今の状況で立証出来たでしょ?自信持って!"桜ちゃん"!」「...こんなので自信持ちたくないよ...」若葉は今のロングヘアーのメイドさん姿で項垂れた。鏡がある訳ではないので、若葉は自分の姿が見れていない。コンプレックスである女顔が褒められているようだが、嬉しくない。「さて