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第843話

Author: ラクオン
電話を切られた後、雅義は車の中に座ったまま、長い間身動き一つしなかった。

その顔色はますます険しくなっていった。

彼はこれまでの人生で、こんな風に電話を切られたことなど一度もなかった。

近藤家の長男、三浦家の娘婿、近藤グループの後継者。

これらの身分が重なり合っているおかげで、彼はどこへ行っても必ず一目置かれる存在だった。

しかし、先ほどの竜也の口調は、まるで道を塞ぐ野良犬を追い払うようなものと何ら変わりなかった。

さらに重要なのは、お祖父様への申し開きがいよいよ立たなくなったということだ。

「潮見市の支社へ戻れ」彼はようやく口を開いたが、その声は微かに掠れていた。

江崎は返事をし、車をスタートさせた。

バックミラー越しに見ると、雅義はシートに寄りかかって目を閉じ、眉間に深い皺を寄せていた。

「社長、それではこの後は……」

「まずは戻る」

この後どうすべきか、雅義自身にもまだ考えがまとまっていなかった。

竜也の最後のあの言葉は、脅しではない。

単なる通知だ。

江崎はバックミラーから素早く彼を一瞥し、何か言いたげにしたが、結局それ以上は口を開かなかった。

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