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エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜
エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜
Author: 水沼早紀

第 1 話

Author: 水沼早紀
last update Last Updated: 2025-01-25 22:01:43

それは、ある夏のかなり暑い日の出来事だった。

いつものように大学へ行くため、わたしは電車に乗っていた。 時間は朝8時15分、満員電車の通勤ラッシュの時間帯だった。

その日は友達と遊びに行く約束もしていたため、いつもよりも薄手の格好をしていた。

そう満員電車だから、乗れるわけもなく、通学時間40分ずっとたちっぱなしだった。

そして電車に乗り始めて10分後くらいだった。

゛それに゛気付いたのは。 わたしのお尻に、サワサワと何か違和感があった。 ……これってもしかして。

―――え、痴漢?

その予感は、的中した。 だけどこんな満員の電車の中で、声も出せる訳もなくて……。

できることならいっそのこと、今すぐその手を掴んで「この人、痴漢です!」って口にしたい。

だけど、こんな状況で、口に出来る訳がない。 そう思った時だった。

「ゔっ……!?」

「すみませ。この人、痴漢です!」

「……えっ?」

急にその手が離れて、違和感が無くなった。 振り返って後ろを見ると……。

痴漢していたおじさんの右手を掴んでいたのは、背の高いスラッと人だった。

……わっ、イケメン。

そして駅に着いた途端、彼はおじさんの手を掴んだまま電車から引きずり降ろして、駅員さんに引き渡した。……た、助かった。

本当に怖かったし、声が出せないって辛いんだなと、改めて思ってしまった。 こういう時、ちゃんと言える人だったら良かったのにって……思ってしまった。

わたしも急いで電車を降りて、助けてくれたあの人の所へと走った。

「あっ、あの……!」

「ああ、大丈夫?」

「は、はい!あの……助けてくださって、ありがとうございました」

「いや、別に」

その人は本当にイケメンな人だった。……会社員さんかな?

「本当に、なんてお礼をしたらいいか……!」

「気にしないで。何もなくてよかったよ」

その人は、優しく微笑んでそう言った。

「あ、あの…」

「ん?」

「本当に、何かお礼させてもらえませんか?」

「いいって。本当に気にしなくていいから」

「えっ、でも…」

痴漢から助けてくれたのにお礼もしないなんて……礼儀正しくない気がする。

「……どうしてもお礼したい?」

「は、はいっ。このままだと、わたしが申し訳ないので……」

「そう?」

「は、はいっ……その、迷惑でなければ、ですけど……」

だってこんなイケメンな人に助けてもらって、お礼しないわけにはいかない。 せめてお茶でもごちそうしたいくらいだ。

こんな素敵な人に巡り合ったのだって、もしかしたら奇跡かもしれないから。 一瞬でもいいから、近くでその姿を見ていたいとさえ、思ってしまった。

「……わかった。じゃあ、そんなに言うなら」

「えっ、本当ですか?」

「だって、お礼したいんでしょ?」

「はい、ぜひっ!」

どんなものを奢ればいいかな?なんて考えたいたら、思いもよらぬ言葉を告げられた。

「じゃあお礼なら、君のその゙身体゙にしてもらおうかな」

「………へっ?」

い、今なんて……?

ふとその人の顔を見ると。……その人は怪しげに、口角を上げて微笑んでいた。

それがわたしたちの、最初の出会いだった。 そしてその日からわたしの、彼への想いがどんどん強くなるのだった。

いつからかわたしは、彼に恋をして。彼のことだけしか、考えられなくなっていた。

彼は35歳で、わたしは20歳で。15歳も年上の大人な彼に、わたしはどんどん恋をしていくのだった……。
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