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第357話

Author: レイシ大好き
今後また何か問題が起これば、紗雪が再び情けをかけて自分を置いてくれる保証なんて、どこにもない。

伊澄は深く息を吸い込んだ。

考えれば考えるほど、不快感が増していく。

最初に京弥と知り合ったのは自分なのに、どうしてこんな惨めな立場に落ちぶれてしまったのか。

すべては紗雪のせいだ。

彼女が現れなければ、こんなことにはならなかった。

けれど今は、京弥が彼女をかばっている以上、強く出ることもできない。

京弥兄があの女にあそこまで優しくしているのを思い出すたび、胸の奥が嫉妬で煮えたぎる。

けれど現実では、小さな部屋に閉じ込められたまま、外に出ることも許されていない。

京弥と紗雪がいつ出かけるかを待つしかない。

そうすれば、ようやく部屋の外に出られる。

伊澄は深く息を吸い、心の中で自分に言い聞かせた。

耐えるんだ、今は耐えるしかない。

恥を忍んででも、ここに残る。

兄さんが来てくれれば、状況はきっと変わるから。

......

翌日。

紗雪は、ネット上の世論がますます過熱しているのを見て、焦りを覚えていた。

母から与えられた時間はもうあまり残っていない。

このままずるずると引き延ばしていては、収拾がつかなくなるかもしれない。

それにしても、ここまで炎上するなんて......すべての発端は、あの日、辰琉が突然気が狂ったことだった。

もしあの件がなければ、こんなことにはならなかったはずだ。

苛立ちを抑えきれず、紗雪は辰琉にメッセージを送った。

「もうこれ以上、連絡してこないで。私とも一切関係を持たないで」

メッセージを見た辰琉は、目を丸くした。

「紗雪、どうしたんだい、突然......?」

「どうしたって?」

紗雪は冷笑を漏らす。

「ネットを見てみれば?よくもまあ、そんなこと言えるわね」

訳が分からないまま、辰琉はネットを開いてみた。

そして、紗雪が自分を誘惑した、などという投稿を目にした。

「......誰がこんなの投稿を」

最初は事態を飲み込めず、何が起こっているのか理解できなかった。

だが紗雪は冷たく笑って言った。

「それを私に聞くわけ?」

「これ、あなたが一番知ってるべきことなんじゃない?私に聞いてくるなんて、可笑しいすぎるでしょ」

辰琉はさらに混乱した。

「俺が?」

「しらばっくれてるつもり?」

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