LOGIN「敬都も一緒にどう?」
昨日愛と期末テストの勉強と持久走大会の練習を一緒にしようと話した俺たちは敬都とさくらさんにも声をかけることにした。 「いいね。僕も勉強は得意じゃないし、走るのも得意じゃないし」 「それは知っている」 「おい、なんかその言い方はむかつくな」 「陰キャだから」 「ぐぐぐ...何も言い返せないのが悔しい」 「まぁ俺も走るのはちょっとはできるけど、学力に関しては敬都と同じぐらいだから今回は学年上位の二人に教えてもらって成績をあげようじゃないか」 「その学年上位の二人に勉強を教えてもらって僕たちは後ろから刺されないかな」 「...常に後ろは警戒しておくことにしよう」 こんな感じで敬都の参加が決まった 次は桜さんだな 「さくら」 「どうしたの愛ちゃん?」 「今ねみっちゃんと中村と一緒に期末テストの勉強と持久走大会の練習を一緒にしようって話をしていたんだけど桜も一緒にやらない」 「楽しそう」 「じゃぁ参加でいい?」 「う~ん。今回は私は不参加でいい?」 まさかの不参加という返事に俺たちは驚いた 球技大会の練習の時のさくらさんをみていたから、こうゆうみんなでするのは真っ先に参加するタイプだと勝手に思っていたから 「そっか。わかった。」 「ごめんね~。お互い頑張ろうね」 「うん」 さくらさんは教室をでていってしまった 「さくらさんは喜んで参加すると思ったな」 「僕もそう思っていた。でも勉強は一人でするほうが集中できるタイプかもしれないし」 「確かにそうゆう人もいるな」 「さくら。。。」 「愛どうしたの?」 「なんかいつものさくらの様子が違うように感じたから」 「そう?いつも通りにみえたけど」 「なんとなくだから違うかもしれないけど。でも気になるからさくらのこと追いかけてみる」 「俺も行こうか?」 「お願い」 敬都は自分がいったところでと遠慮してこなかった 俺と愛は教室をでていった春乃さんのことを追いかけた 「さくら!!」 「愛ちゃん?どうしたの?」 「なんか様子が違ったように感じたから」 「いつも通りだよ」 「ほんとに?」 「ほんと」 「嘘でしょ」 「なんでそう思うの?」 「さくらは気づいてないかもしれないけど、さくらは我慢しているときとか嘘をついているとき髪の毛を触りだすんだよ」 そこに関しては俺は全く気付いていなかった 長い仲だからこそわかることかもしれない さくらさん自身も自分にそんな癖があることに気づいていないようで驚いているみたいだ 「流石愛ちゃん。私が愛ちゃんのことをずっとみてきたように愛ちゃんも私のことをずっとみてきているんだよね」 「そうだよ」 「屋上にいこうか」 この屋上にくるのは春乃さんが俺に愛の練習に付き合ってといってきたとき以来だ 相変わらず人は誰もいない そもそもこの屋上は生徒が入っていいんだろうか 「私ね愛ちゃんと一緒にいて楽しいし、最近は瑞樹と敬都とも仲良くなれてすごく充実した学校生活を送れているんだ」 「私もみっちゃんと付き合うようになって、中村とも話すようになってさくらと二人だけのときよりも楽しくなっているよ」 「でもね、充実しているんだけど周りからの評価は嶋野愛の次なの」 「それは...」 愛も心当たりがあるのだろう。実際さくらさんのスペックは愛がいなければ学年1位を狙えるものがある。可愛い・優しい・明るい。愛とは違った魅力が詰まっているのが春乃さくらという女の子だ。 もし愛と付き合っていなくてさくらさんに告白なんかされてしまったら秒でOKしてしまうのは間違いない。 しかし学年に嶋野愛がいいることと、愛と一緒にいることでさくらさんの印象は2番手となっているのは最近仲良くなった俺でも理解できることだ 「だからね。私は今回愛ちゃんに勝ちに行こうと思う」 「私はさくらと戦いたくないよ」 「そうだよね。愛ちゃんはいつもいろいろな期待を背負って頑張って今の地位があるんだもんね。誰かと戦おうと思ってきたわけじゃなくて。だから今回のことは私の自己満足でしかないんだよ」 「さくら...」 「別に深刻な空気にしたいわけとかじゃないし、愛ちゃんと仲悪くなろうとしているわけじゃないんだよ。ただ、私が愛ちゃんに負けるのが当たり前と私自信が思っていることが嫌なの」 「みっちゃん。さくらがいっていることがわからないよ」 それはそうだろう。愛にとって誰かと戦うという経験はほぼなくて、愛は両親に認められたい気持ちや周りの期待に応えたいと思う気持ちから努力を続けてきた。 それが面と向かって戦おうといわれても理解できないのは仕方がないのかもしれない。 でもさくらさんの気持ちを俺は経験したことがある。 昔、サッカーをしていた時にプロサッカー選手の人が「目指すなら1番以外意味がない」と言っていた言葉を思い出した。 それまで自分より上手な人がいるのは仕方なくて、俺はその人たちには勝てないと思い込んでいた。 しかし勝てないとあきらめてしまった瞬間、その人の成長は止まってしまうのかもしれない。 そのプロサッカー選手の言葉を聞いたときから「勝つためにはどうすればいいか」を考えるようにした。 おそらくさくらさんも愛には負けるのが当たり前と受け入れている自分と向き合うきっかけがあったのかもしれない。 だから俺ができることは見守ることと応援することなんだろう 「俺はさくらさんの気持ちが少しわかるかもしれない」 「みっちゃん!?」 「そんな難しく考える必要ないんじゃないかな。今回の期末テストと持久走大会の時だけ「ライバル」になるだけだよ」 「ライバル???」 「戦うっていう言葉だけを切り取れば仲が悪くなるような感じがするけど、さくらさんの言葉を聞いている感じ、さくらさんは愛と仲たがいを望んでいるわけじゃなくて、愛と正々堂々戦いたいって言っているように聞こえるんだけどさくらんんはどうかな?」 「流石瑞樹だね。話が早い」 「さくらは私とライバルになりたいの?」 「そう!要するにこれは私が愛ちゃんに対する宣戦布告みたいなものだよ」 「...」 「いきなりこんなこといわれて戸惑うだろうけど、これが今の私の気持ちだから」 「わかった。さくらがそんないうなら私はさくらの気持ちに応えるよ」 「流石愛ちゃん」 愛の顔つきがいつもの俺たちと一緒にいるときの顔からクラスにいるときの嶋野愛になっている さくらさんも愛の表情の変化に気づいて身が引き締まったような感じがする 「お互い頑張ろうね」 「うん」「急にきてごめんね。迷惑じゃなかった?」「すごく驚いたけど、愛に会えたから嬉しかったよ」「へへへ。よかった」職場体験も無事に終わり、その日の夜愛といつものように電話をしていた。毎日電話委しているわけじゃないが、電話できるときは話している。いくら学校のみんなが付き合っていることを知っていたとしても、やはり陰キャと才色兼備の愛が一緒にいるのは変に目立つ。だからできるだけ穏便な学校生活を送れるように意識しているから、学校では最低限しか話さないようにしている。その分を夜に補填している感じだ。愛からはもっと学校でも話したいといわれるが、もう少し待ってといっている。ヘタレ彼氏ですいません。「みっちゃんの美容師かっこよかった。美容師どうだった?」「思っていたよりも楽しかったかな。でも山田さんだったから楽しかっただけで、責任感のいる仕事だし自分が知らない大変さなんかがあるんだろうなと思ったよ」「そっか。それは保育士も同じだね。私たちも小さいときは当たり前のように保育園に通って先生にわがままいっていたけど、わがまま言われる側になったらこんなに大変なんだって。あと子供の面倒をみること以外の仕事が多くてびっくりしたかな。みっちゃん知ってる?保育園のお遊戯会や運動会の小道具の準備って先生たちがしているらしいよ。私とさくらも手伝ってきた」「そうなんだ。確かに小学校からは自分たちで準備したけど、保育園の時って準備ってしていなかったかもしれないな。それは先生たち大変だ」「しかも保育士って給料が公務員の中でも安い方で、先生たちが労力に見合っていないって文句言っていた」「生々しいね。でも実際にその現場で働いている人たちにきかないとわからないことってあるよね。俺も山田さんに美容師の話聞いて自分の認識の甘さを思い知った感じ。ネットで調べることはできるけど現場の声は現場で働いている人に聞くのが一番だね」「うんうん。みっちゃんは将来美容師になるの?」「まだわからないかな。でも美容師も選択肢の一つとしてはありかなとは思っているよ」「みっちゃんが美容師になったらかっこいいだろうな」「かっこいいかな?」「かっこいいよ。だって今日のみっちゃんかっこよかったもん」「山田さんよりこっちみていたもんね」「へへへ。それは仕方がない」「どんなお客さんが来たの?」それから谷口さん
「今日は夕方予約入っていないから店閉めてラーメン食べに行こう」「お店閉めていいんですか?」「いいのいいの。予約制でしているから予約が入っていなくて予定があるときは少し早めにしめるのは結構多いから。それに時間の融通を利かせることができるのは自営業の特権だから」個人的に自営業の都合はよくわからないが、山田さんがいいというのだからいいんだろう。確かに予約制じゃないお店の場合いつお客さんがくるかわからないから営業時間まであけておかないと文句を言う人がいるかもしれないが、予約制だったらコントロールはしやすいのだろう。「それでラーメン食べに行く?」「「いきます」」「よかった。最近の若い子ってこうゆう誘い嫌がる子多いらしいから」それは俺もテレビやSNSで見たことがある。上司からのご飯の誘いが苦だと感じる人は多いらしい。でもこんだけよくしてもらっている山田さんの誘いを嫌と思うわけなくて喜んでという気持ちが強かった。まぁこれが嫌いな上司だったら嫌だと思うのは当然だと思うが。。。会社の上下関係も大変だな・・・山田さんが閉店の準備をしている間、俺と敬都も掃除などを手伝った。夕方5時のタイミングでお店を閉めて、近所のラーメン屋に入った「好きなの頼んでいいから。今日は俺の奢り」「いいんですか?」「当たり前だろ。俺から誘ったうえに高校生に手出しさせるなんて美春に殺される」なんでだろう。俺たちにお金を出させたことを普通に報告してすごく怒っている美春さんが想像できてしまった。美春さんごめんなさい「じゃぁお言葉に甘えて」「おう」俺も敬都も定番のラーメン+チャーハンセットを注文した。「2人はよく飯にいったりするのか?」「2人ではあまりないかもしれないですね」思い返してみると敬都と2人のご飯はないかもしれない「2人はないんですが、よく3人か4人で一緒にいます」「もしかして今日の2人かな?」「そうです」「でも3人ってもしかして瑞樹と嶋野さんと敬都ってこと?」「そうです」「敬都お疲れ様」「はい・・・」なんで敬都がお疲れ様と言われているのかはわからなかったがなんとなく俺と愛のことなんだろうは思う「実際に美容室で働いてみてどうだった?」「はい。すごくいい経験になりました。俺は髪の毛をセットするのは好きだったけど誰かの髪の毛をという視点はあ
「なんで2人がきているの?」「私たちの職場は2日目は午前中で終わるってわかっていたからネットで予約しました」「なるほど」「ダメだった?」「ダメじゃないよ」「よかった」「なんだ二人の知り合いか。それにしても二人ともかなり美人だな」「知り合いというかクラスが一緒の同級生です」「左の人は瑞樹の彼女です」「おい瑞樹。お前は実はすごい系の男だったりするのか?」初めてみる人からしたら俺みたいな陰キャにあんな美人の彼女がいたら不自然に思うのは当然だろう「しかも瑞樹の彼女は学校でもクラスでもNo1と言われているぐらいの人です」「おい瑞樹。お前実は惚れさせる能力でももっているんじゃないか」「持ってませんよ。本当にたまたまご縁がありましてお付き合いすることになりました」「お見合いか」「ほんとですよね。たまたまあんな美人と付き合えるはラノベの主人公ぐらいですよ」「さっきから敬都くんの言葉に悪意を感じるのは気のせいかな」「気のせいです」「まぁ冗談はさておき、嶋野さんと春乃さんはカットで予約してもらっていたけど一人ずつでいいかな?」「はい。愛ちゃんからしてもらおう」「うん」愛のカットの時は後ろには俺がつくようになり、敬都はさくらさんと話しているなんか最近あの二人仲良くなっていないかな「愛さん。なんかこっちを見ているのは気のせいかな?」「本当だよ。俺のカットをみてほしいのに」「あっすいません。ついみっちゃんがかっこよくて見つめていました」「あ、そう...」恥ずかしがることなくストレートな物言いに山田さんは言葉がでなくなってしまっている「嶋野さんは瑞樹のことが大好きなんだね」「はい。みっちゃん以外に興味がないぐらい好きです」「うん。ちょっとまってね。おい瑞樹。お前の彼女なんかすごくないか」「はい。何もしていなかったら才色兼備なんですが、裏ではだいぶポンコツなんです」「そっか。了解。瑞樹せっかくだから嶋野さんの髪の毛ドライヤーで乾かしてあげたら」「えっ。できますか?」「大丈夫。だいたいでいいからやってあげな。多分俺がするよりも瑞樹がした方が嶋野さん喜ぶと思うよ」愛の方を見ていると嬉しそうに目がキラキラしているようにみるのは多分気のせい俺がドライヤーで愛の髪を乾かしている間に山田さんはさくらさんをカットするらしい。さくらさん
「職場体験一日目どうだった?」「めちゃくちゃ楽しかったよ。山田さんって美容師さんも優しくて面白い人だったし。愛は保育園どうだった?」「う~ん。やっぱり子供って難しいよね。予想外の動きをするし変なこと言ってくるし、途中いらってくることもあったけど、さくらからなだめられて落ち着いたよ」「それはよかった」「愛の先生姿みてみたいけどな」「それなら今度みっちゃんの先生になってあげる」「それは恥ずかしいな」「みっちゃんの美容室で働いている姿をみてみたい」「それこそ後ろに立っているだけだよ」「いいのいいの」なぜか上機嫌の愛に違和感を覚えながらも、お互いの近況報告を終えてその日は早めに寝た~職場体験2日目~2日目も1日目と同様に朝から二人のお客さんの予約が入っていて、昼から2人のお客さんが同時に入っているらしい。普段はマンツーマンスタイルでやっているから2人同時に予約を入れることはないそうだが、家族や友達でくる場合は2人同時にすることもあるそうだ。だから今日は俺も敬都も2人組が終わるまではいてほしいといわれた。それでも夜までというわけではないから喜んで了承した。朝のお客さんを終えて昼休憩に入ろうとしたタイミングでお店に女性が入ってきて「「いらしゃいませ」」「私はお客さんじゃないからきにしなくていいわよ」「????」「お~。来たか。2人とも昨日話したけど俺の奥さんの山田美春だ」「山田美春です。よろしくお願いします。あなたたちが瑞樹と敬都ね。昨日の夜2人のことをこの人ずっと話していたから覚えちゃった」「はい。松岡瑞樹です」「中村敬都です」「じゃぁ俺は今からお客さんしてくるから美春が買ってきたデザートでも食べて休憩していていいぞ」「「はい」」「2人ともB&Cはどう?楽しんでる?」「山田さんが予想以上に接しやすくて楽しんで体験できています」「僕も人見知りな方なんですが、山田さんは人見知りな僕でも話やすい環境を作ってくれるから助かります」「まぁあの人の長所だからね。今でこそあんな感じだけど最初の方は不安でいっぱいだったんだよ」「今の山田さんみていたらポジティブな印象しかなないので、ネガティブ山田さんを想像できないです」「そりゃそうよね。私たちが結婚したのはこのお店がオープンして1年後だったの。だからオープンした時はまだ付き合ってい
「昼休憩に入ろうか」美容室は病院や整骨院みたいに昼休みがあるわけではなくて、お客さんが途切れた合間などにお昼ご飯を食べるみたいだ、今の時間は13時だが今から1時間ほど間が空いたからお昼ご飯を食べることになった。「山田さんはいつもお弁当なんですか?」山田さんの弁当は色合いもよく野菜と肉がバランスよく入っているものだった「うちは奥さんが毎日作ってくれている愛妻弁当だ。羨ましいだろ」「羨ましいかはわかりませんがいいですね」「瑞樹ノリ悪いな」「すいません」「山田さん一つ質問良いですか?」敬都が山田さんに質問をした「いいぞ」「B&Cってどうゆう意味があるんですか?美容室っていろんな名前があっておしゃれなものから美容師さんの名字をそのまま使っているところとか様々だと思うんですが、山田さんはなんでB&Cってつけたのかなと思って」「別に大した理由はないけど聞いちゃう?」「はい」「B&Cはな....」「.....」山田さんは数秒間をおいた「ブラックコーヒーって意味だ!!」「????」俺と敬都のあまたの中には?しか思い浮かばなかった「ブラックコーヒーですか?」「そう。俺がお店を独立したのは25歳の時で、独立というよりは元々あった美容師を居抜きという方で引き継いだというのが正しいかな。さっき敬都がいったように美容室の名前っておしゃれだし個性的なものが多いだろ?だからいろいろな候補をあげてもしっくりこなくて。でもお店のオープンの日は決めていたから店名は決めないといけなかった。この名前をつけたときはカフェでオープン準備の事務作業をしていたときで。その時にマスターが淹れてくれたコーヒーがめちゃくちゃ美味しくて、なんか頭のモヤが晴れたような気がしたんだ」山田さんは持っていた缶コーヒーを飲んで続けた「ブラックコーヒーって苦いけど美味しいんだ。最初は苦くて飲めなかったけど徐々に飲み続けていけばブラックしか飲めなくなってしまうぐらい美味しく感じるんだ。美容師は外から見たら煌びらかな印象があるけど実際に働いてみると辛いこと苦しいことはたくさんある。それでも続けていけば美容師が一番いいと思える瞬間があると思う。それに経営も人生も簡単じゃない。こんな美容室になりたいというよりはこの名前は自分に対して「お前の道は甘くないぞ」の意味も込めて付けた感じかな。まぁ最初
「一人目のお客さんは谷口さんっていって30代の女性の方で、メニューはカットとカラーだから敬都はカットの後の掃除やカラーの準備の手伝い、瑞樹は飲み物の準備をお願いするから準備してて」「「はい」」山田さんのやり方は事前にやることを教えてくれるスタイルみたいだ。これは俺と敬都みたいな陰キャにとってはすごく助かる。陽キャにあって陰キャにないもの、それは「コミュ力」である。コミュ力が弱いということは急な展開にも弱いということだ。だからお客さんがきて急に飲み物準備してといわれてもすぐに動くことができない。しかし事前に教えてくれれば気持ち面でも準備することができる。おそらく敬都も同じ気持ちだろ。山田さんの話を真剣に聞いている。早速予約の時間に合わせて谷口さんが来店してきた「「いらっしゃいませ」」事前に言われた通り、お客さんが入ってきたら元気に「いらっしゃいませ」という。元気にいえたかはわからないが俺も敬都も無事にいうことができた「えっ新しいスタッフ雇ったの?」谷口さんはいつも通っている美容室で2人の若者に迎えられて驚いている様子だ「違います違います。この子たちは高校生で職場体験で今日から2日間うちで働いてもらうんです」「なるほど。流石に2人も雇う余裕はないか」「本気出せばいけるっすよ」「いつ本気出すか楽しみだね~~」今の会話だけでも山田さんがお客さんによく思われているのが伝わった席に座ると山田さんは谷口さんに要望などを聞いて髪を切りだした。髪の毛を切っているときの山田さんはさっきまでののほほんとした雰囲気から一転してプロの美容師って感じがしてかっこよかった「ねぇ山田君。いつもよりちょっとかっこつけてない?」「なんでいうんですか。高校生の前だからかっこつけていたのに」「だっていつももっとへらへらしているじゃない」思っていたイメージとは違ったみたいだただ、山田さんの手際の良さは流石の一言で話しながらも素早くカットを終えた「あとはカラーが終わってから仕上げのときに切りますね」「はぁい」敬都は山田さんの切った髪の毛を掃除し、俺は谷口さんに飲みたい飲み物をきき飲み物の準備をしている。たった飲み物を聞くだけの簡単作業ですら緊張してしまっている陰キャですいません。山田さんは話しながらも手早くカラーを塗り終えた。俺も卒業したらカラー