「今日は夕方予約入っていないから店閉めてラーメン食べに行こう」
「お店閉めていいんですか?」
「いいのいいの。予約制でしているから予約が入っていなくて予定があるときは少し早めにしめるのは結構多いから。それに時間の融通を利かせることができるのは自営業の特権だから」
個人的に自営業の都合はよくわからないが、山田さんがいいというのだからいいんだろう。
確かに予約制じゃないお店の場合いつお客さんがくるかわからないから営業時間まであけておかないと文句を言う人がいるかもしれないが、予約制だったらコントロールはしやすいのだろう。
「それでラーメン食べに行く?」
「「いきます」」
「よかった。最近の若い子ってこうゆう誘い嫌がる子多いらしいから」
それは俺もテレビやSNSで見たことがある。
上司からのご飯の誘いが苦だと感じる人は多いらしい。
でもこんだけよくしてもらっている山田さんの誘いを嫌と思うわけなくて喜んでという気持ちが強かった。
まぁこれが嫌いな上司だったら嫌だと思うのは当然だと思うが。。。
会社の上下関係も大変だな・・・
山田さんが閉店の準備をしている間、俺と敬都も掃除などを手伝った。
夕方5時のタイミングでお店を閉めて、近所のラーメン屋に入った
「好きなの頼んでいいから。今日は俺の奢り」
「いいんですか?」
「当たり前だろ。俺から誘ったうえに高校生に手出しさせるなんて美春に殺される」
なんでだろう。俺たちにお金を出させたことを普通に報告してすごく怒っている美春さんが想像できてしまった。
美春さんごめんなさい
「じゃぁお言葉に甘えて」
「おう」
俺も敬都も定番のラーメン+チャーハンセットを注文した。
「2人はよく飯にいったりするのか?」
「2人ではあまりないかもしれないですね」
思い返してみると敬都と2人のご飯はないかもしれない
「2人はないんですが、よく3人か4人で一緒にいます」
「もしかして今日の2人かな?」
「そうです」
「でも3人ってもしかして瑞樹と嶋野さんと敬都ってこと?」
「そうです」
「敬都お疲れ様」
「はい・・・」
なんで敬都がお疲れ様と言われているのかはわからなかったが
なんとなく俺と愛のことなんだろうは思う
「実際に美容室で働いてみてどうだった?」
「はい。すごくいい経験になりました。俺は髪の毛をセットするのは好きだったけど誰かの髪の毛をという視点はありませんでした。でも今日愛の髪の毛を乾かさせてもらって、愛の喜ぶ顔をみたら美容師っていいなと思ってしまいました。それに山田さんが楽しそうにしている姿も好印象でした」
「僕もいい経験になりました。僕は瑞樹以上にコミュニケーション能力が高くないから不安だったんですが谷口さんや西村さんみたいな普段出会わない人たちと話したりするのは素敵だなと思いました」
「そっか。それならよかった。2人は将来の夢は決まっているのか?」
「俺は具体的にはまだ決まっていないです。でも今回美容師を体験してみて考えていいかなとは思いました」
「僕は美容師にはならないと思いますが、人と接する仕事を探してみようかなと思います」
「今回の体験が二人にとって何かを得られるものだったら俺はそれだけで満足だ。美容師は今の時代あまり勧められない仕事だと思う。なんでかわかるか?」
俺も敬都も首を横に振った
「実際にはどの職業でもいえることだが、美容師は「離職率」が高いといわれているんだ。俺の同期も半分以上今は美容師をしていない。美容師を辞めた後まつ毛エクステやネイルに転職する女の子は多いが男は別の仕事に転職するパターンが多いかもしれないな。だから学校の先生なんかは勧めないという話をよく聞くんだ」
今山田さんが言っていたことはネットで検索した時も出てきた内容だった
山田さんは話を続けた
「でも、2人が感じたように美容師は普段出会うことがない人たちと接する仕事だし、自分の技術次第で喜んでもらえる仕事だと思う。他の仕事よりも大変だしきついこともあるけど達成感は感じれる仕事かなと思う。もう一回言っておくけど大変だしきついけどね。笑」
「将来の夢を考えないといけないっては頭でわかっているんですが実感がわかないのが正直なところですね」
「僕も」
「それはそうだ。今は学生生活を送っている中で将来のことを考えろって言われても実感はわかないさ。それでも決めないといけないのもあるから難しいんだ。嫌だったら転職すればいい話なんだが、美容師みたいな資格を必要とする仕事は専門学校にいくだけでお金のリスクを背負うことになる。せっかく専門学校にまで通ったのにすぐ辞めたら学費がもったいないから」
俺も敬都も山田さんの言葉を真剣に聞いていた
「じゃぁ山田さん目線で俺たちにアドバイスはありますか?」
「アドバイスか。。。さっき考えるのは難しいとはいったけど、みんな考えていないわけじゃないし努力していないわけじゃないと思う。その中でも他の人よりも考えた人や努力した人しか得られないものはあると思う。正解はないけど積み重ねたものはきっと何かになる。何かにならないこともあるけど何かになると思って積み重ねていくことかな。そしたら自分のやりたいことがみえてくればいいなって俺は思う。」
「積み重ね」
「そう。勉強でも運動でも髪の毛のセットでもおしゃれでもなんでもいいんだ。動いていけば気持ちの部分で変わることがあるかもしれないから」
山田さんの言葉は確信をついていると思う。俺も他の人も将来のことに向けて考えていないわけじゃないし、努力していないわけじゃない。でも足りていないのはわかる。すごくモチベーションが高い人なんかは自分よりも考えているし努力しているのがわかる。きっとこの「差」が将来のやりたいことを見つける人と見つけれない人を左右するかもしれない。人生の先輩の話は説得力があるな
「おっちゃんの話はこれぐらいにしよう。瑞樹がもし美容師になるって決めたらまた話そう。敬都はいつでも相談してきていいぞ。恋愛のこととか」
「なんで僕は恋愛なんですか」
「だってお前彼女できなそうだし」
「わからないじゃないですか?」
「わからないさ。だからなんかあったら連絡せろってこと」
「はい」
「瑞樹も連絡せろよ」
「はい」
俺たちは山田さんと連絡先を交換してラーメン屋を後にした。
山田さんは最後まで笑顔で俺たちと接してくれた。
本当に素敵な大人だと思うし、自分が大人になるときはこんな大人になりたいと思った
「山田さん素敵な人だったね」
「俺もあんな大人になりたいな」
「瑞樹はなってそうだけどね」
「いや、俺も陰キャだからな。あんな陽キャみたいな人になれる気がしない」
「それは確かに。。。」
「敬都も恋愛頑張らないとな」
「瑞樹もそれ言うの。なんか恋愛とかよくわからないんだよね」
「わからない」
「うん。だって瑞樹と仲良くなる前まで僕は一人で学校生活を送っていたし、瑞樹と出会うことがなかったら嶋野さんとさくらさんと話すこともなかったと思う。それがこの数か月一気に変わって今の変化だけでも幸せすぎるのに、これ以上のことを考えたら罰が当たりそうだよ」
敬都はこんなことを考えていたんだなと驚いた。
確かに俺も愛とあの日話すまでは基本的に一人で学校生活を送っていたし
数か月前の俺が今の俺をみたら驚きすぎておもしろそうだけど
「それなら俺もそうだよ。愛と付き合って数か月経つけどいまだに外を二人で歩く時の視線は気になるし、愛の私服姿を見た時に「こんなかわいい子の彼氏が俺でいいのかな」って思うし」
「瑞樹もそんなこと考えるんだ」
「俺も陰キャだからな。でも少しづつ今の環境に慣れて、もっと前に進みたくなってくるんだ。進むことによって楽しみが増えたり幸せが二人することもあるのかなって。だから敬都も進みたくなった時に進めばいいんだよ」
「ありがとう」
「それに山田さんが恋愛相談聞いてくれるっていっていたし」
「そうだね。まぁあれは面白い話もってこいとも聞こえたけど」
「ははははは」
「今日は夕方予約入っていないから店閉めてラーメン食べに行こう」「お店閉めていいんですか?」「いいのいいの。予約制でしているから予約が入っていなくて予定があるときは少し早めにしめるのは結構多いから。それに時間の融通を利かせることができるのは自営業の特権だから」個人的に自営業の都合はよくわからないが、山田さんがいいというのだからいいんだろう。確かに予約制じゃないお店の場合いつお客さんがくるかわからないから営業時間まであけておかないと文句を言う人がいるかもしれないが、予約制だったらコントロールはしやすいのだろう。「それでラーメン食べに行く?」「「いきます」」「よかった。最近の若い子ってこうゆう誘い嫌がる子多いらしいから」それは俺もテレビやSNSで見たことがある。上司からのご飯の誘いが苦だと感じる人は多いらしい。でもこんだけよくしてもらっている山田さんの誘いを嫌と思うわけなくて喜んでという気持ちが強かった。まぁこれが嫌いな上司だったら嫌だと思うのは当然だと思うが。。。会社の上下関係も大変だな・・・山田さんが閉店の準備をしている間、俺と敬都も掃除などを手伝った。夕方5時のタイミングでお店を閉めて、近所のラーメン屋に入った「好きなの頼んでいいから。今日は俺の奢り」「いいんですか?」「当たり前だろ。俺から誘ったうえに高校生に手出しさせるなんて美春に殺される」なんでだろう。俺たちにお金を出させたことを普通に報告してすごく怒っている美春さんが想像できてしまった。美春さんごめんなさい「じゃぁお言葉に甘えて」「おう」俺も敬都も定番のラーメン+チャーハンセットを注文した。「2人はよく飯にいったりするのか?」「2人ではあまりないかもしれないですね」思い返してみると敬都と2人のご飯はないかもしれない「2人はないんですが、よく3人か4人で一緒にいます」「もしかして今日の2人かな?」「そうです」「でも3人ってもしかして瑞樹と嶋野さんと敬都ってこと?」「そうです」「敬都お疲れ様」「はい・・・」なんで敬都がお疲れ様と言われているのかはわからなかったがなんとなく俺と愛のことなんだろうは思う「実際に美容室で働いてみてどうだった?」「はい。すごくいい経験になりました。俺は髪の毛をセットするのは好きだったけど誰かの髪の毛をという視点はあ
「なんで2人がきているの?」「私たちの職場は2日目は午前中で終わるってわかっていたからネットで予約しました」「なるほど」「ダメだった?」「ダメじゃないよ」「よかった」「なんだ二人の知り合いか。それにしても二人ともかなり美人だな」「知り合いというかクラスが一緒の同級生です」「左の人は瑞樹の彼女です」「おい瑞樹。お前は実はすごい系の男だったりするのか?」初めてみる人からしたら俺みたいな陰キャにあんな美人の彼女がいたら不自然に思うのは当然だろう「しかも瑞樹の彼女は学校でもクラスでもNo1と言われているぐらいの人です」「おい瑞樹。お前実は惚れさせる能力でももっているんじゃないか」「持ってませんよ。本当にたまたまご縁がありましてお付き合いすることになりました」「お見合いか」「ほんとですよね。たまたまあんな美人と付き合えるはラノベの主人公ぐらいですよ」「さっきから敬都くんの言葉に悪意を感じるのは気のせいかな」「気のせいです」「まぁ冗談はさておき、嶋野さんと春乃さんはカットで予約してもらっていたけど一人ずつでいいかな?」「はい。愛ちゃんからしてもらおう」「うん」愛のカットの時は後ろには俺がつくようになり、敬都はさくらさんと話しているなんか最近あの二人仲良くなっていないかな「愛さん。なんかこっちを見ているのは気のせいかな?」「本当だよ。俺のカットをみてほしいのに」「あっすいません。ついみっちゃんがかっこよくて見つめていました」「あ、そう...」恥ずかしがることなくストレートな物言いに山田さんは言葉がでなくなってしまっている「嶋野さんは瑞樹のことが大好きなんだね」「はい。みっちゃん以外に興味がないぐらい好きです」「うん。ちょっとまってね。おい瑞樹。お前の彼女なんかすごくないか」「はい。何もしていなかったら才色兼備なんですが、裏ではだいぶポンコツなんです」「そっか。了解。瑞樹せっかくだから嶋野さんの髪の毛ドライヤーで乾かしてあげたら」「えっ。できますか?」「大丈夫。だいたいでいいからやってあげな。多分俺がするよりも瑞樹がした方が嶋野さん喜ぶと思うよ」愛の方を見ていると嬉しそうに目がキラキラしているようにみるのは多分気のせい俺がドライヤーで愛の髪を乾かしている間に山田さんはさくらさんをカットするらしい。さくらさん
「職場体験一日目どうだった?」「めちゃくちゃ楽しかったよ。山田さんって美容師さんも優しくて面白い人だったし。愛は保育園どうだった?」「う~ん。やっぱり子供って難しいよね。予想外の動きをするし変なこと言ってくるし、途中いらってくることもあったけど、さくらからなだめられて落ち着いたよ」「それはよかった」「愛の先生姿みてみたいけどな」「それなら今度みっちゃんの先生になってあげる」「それは恥ずかしいな」「みっちゃんの美容室で働いている姿をみてみたい」「それこそ後ろに立っているだけだよ」「いいのいいの」なぜか上機嫌の愛に違和感を覚えながらも、お互いの近況報告を終えてその日は早めに寝た~職場体験2日目~2日目も1日目と同様に朝から二人のお客さんの予約が入っていて、昼から2人のお客さんが同時に入っているらしい。普段はマンツーマンスタイルでやっているから2人同時に予約を入れることはないそうだが、家族や友達でくる場合は2人同時にすることもあるそうだ。だから今日は俺も敬都も2人組が終わるまではいてほしいといわれた。それでも夜までというわけではないから喜んで了承した。朝のお客さんを終えて昼休憩に入ろうとしたタイミングでお店に女性が入ってきて「「いらしゃいませ」」「私はお客さんじゃないからきにしなくていいわよ」「????」「お~。来たか。2人とも昨日話したけど俺の奥さんの山田美春だ」「山田美春です。よろしくお願いします。あなたたちが瑞樹と敬都ね。昨日の夜2人のことをこの人ずっと話していたから覚えちゃった」「はい。松岡瑞樹です」「中村敬都です」「じゃぁ俺は今からお客さんしてくるから美春が買ってきたデザートでも食べて休憩していていいぞ」「「はい」」「2人ともB&Cはどう?楽しんでる?」「山田さんが予想以上に接しやすくて楽しんで体験できています」「僕も人見知りな方なんですが、山田さんは人見知りな僕でも話やすい環境を作ってくれるから助かります」「まぁあの人の長所だからね。今でこそあんな感じだけど最初の方は不安でいっぱいだったんだよ」「今の山田さんみていたらポジティブな印象しかなないので、ネガティブ山田さんを想像できないです」「そりゃそうよね。私たちが結婚したのはこのお店がオープンして1年後だったの。だからオープンした時はまだ付き合ってい
「昼休憩に入ろうか」美容室は病院や整骨院みたいに昼休みがあるわけではなくて、お客さんが途切れた合間などにお昼ご飯を食べるみたいだ、今の時間は13時だが今から1時間ほど間が空いたからお昼ご飯を食べることになった。「山田さんはいつもお弁当なんですか?」山田さんの弁当は色合いもよく野菜と肉がバランスよく入っているものだった「うちは奥さんが毎日作ってくれている愛妻弁当だ。羨ましいだろ」「羨ましいかはわかりませんがいいですね」「瑞樹ノリ悪いな」「すいません」「山田さん一つ質問良いですか?」敬都が山田さんに質問をした「いいぞ」「B&Cってどうゆう意味があるんですか?美容室っていろんな名前があっておしゃれなものから美容師さんの名字をそのまま使っているところとか様々だと思うんですが、山田さんはなんでB&Cってつけたのかなと思って」「別に大した理由はないけど聞いちゃう?」「はい」「B&Cはな....」「.....」山田さんは数秒間をおいた「ブラックコーヒーって意味だ!!」「????」俺と敬都のあまたの中には?しか思い浮かばなかった「ブラックコーヒーですか?」「そう。俺がお店を独立したのは25歳の時で、独立というよりは元々あった美容師を居抜きという方で引き継いだというのが正しいかな。さっき敬都がいったように美容室の名前っておしゃれだし個性的なものが多いだろ?だからいろいろな候補をあげてもしっくりこなくて。でもお店のオープンの日は決めていたから店名は決めないといけなかった。この名前をつけたときはカフェでオープン準備の事務作業をしていたときで。その時にマスターが淹れてくれたコーヒーがめちゃくちゃ美味しくて、なんか頭のモヤが晴れたような気がしたんだ」山田さんは持っていた缶コーヒーを飲んで続けた「ブラックコーヒーって苦いけど美味しいんだ。最初は苦くて飲めなかったけど徐々に飲み続けていけばブラックしか飲めなくなってしまうぐらい美味しく感じるんだ。美容師は外から見たら煌びらかな印象があるけど実際に働いてみると辛いこと苦しいことはたくさんある。それでも続けていけば美容師が一番いいと思える瞬間があると思う。それに経営も人生も簡単じゃない。こんな美容室になりたいというよりはこの名前は自分に対して「お前の道は甘くないぞ」の意味も込めて付けた感じかな。まぁ最初
「一人目のお客さんは谷口さんっていって30代の女性の方で、メニューはカットとカラーだから敬都はカットの後の掃除やカラーの準備の手伝い、瑞樹は飲み物の準備をお願いするから準備してて」「「はい」」山田さんのやり方は事前にやることを教えてくれるスタイルみたいだ。これは俺と敬都みたいな陰キャにとってはすごく助かる。陽キャにあって陰キャにないもの、それは「コミュ力」である。コミュ力が弱いということは急な展開にも弱いということだ。だからお客さんがきて急に飲み物準備してといわれてもすぐに動くことができない。しかし事前に教えてくれれば気持ち面でも準備することができる。おそらく敬都も同じ気持ちだろ。山田さんの話を真剣に聞いている。早速予約の時間に合わせて谷口さんが来店してきた「「いらっしゃいませ」」事前に言われた通り、お客さんが入ってきたら元気に「いらっしゃいませ」という。元気にいえたかはわからないが俺も敬都も無事にいうことができた「えっ新しいスタッフ雇ったの?」谷口さんはいつも通っている美容室で2人の若者に迎えられて驚いている様子だ「違います違います。この子たちは高校生で職場体験で今日から2日間うちで働いてもらうんです」「なるほど。流石に2人も雇う余裕はないか」「本気出せばいけるっすよ」「いつ本気出すか楽しみだね~~」今の会話だけでも山田さんがお客さんによく思われているのが伝わった席に座ると山田さんは谷口さんに要望などを聞いて髪を切りだした。髪の毛を切っているときの山田さんはさっきまでののほほんとした雰囲気から一転してプロの美容師って感じがしてかっこよかった「ねぇ山田君。いつもよりちょっとかっこつけてない?」「なんでいうんですか。高校生の前だからかっこつけていたのに」「だっていつももっとへらへらしているじゃない」思っていたイメージとは違ったみたいだただ、山田さんの手際の良さは流石の一言で話しながらも素早くカットを終えた「あとはカラーが終わってから仕上げのときに切りますね」「はぁい」敬都は山田さんの切った髪の毛を掃除し、俺は谷口さんに飲みたい飲み物をきき飲み物の準備をしている。たった飲み物を聞くだけの簡単作業ですら緊張してしまっている陰キャですいません。山田さんは話しながらも手早くカラーを塗り終えた。俺も卒業したらカラー
俺と敬都はB&Cという美容室に決めた。B&Cは男性が一人で経営している美容室で、男子生徒が希望ということと家から近かったのもあり、この美容室に決めた。今日は2日間の職場体験の1日目である。職場体験は職場に合わせた服装でいいということで、B&Kの方に電話すると「私服でいいよ」といってもらえたので、今日は愛とデートしたときに着た洋服といつものように髪の毛をセットしてお店に向かった。途中で敬都と合流したが、敬都も最初に出会った時とは見違えるほど髪の毛のセットが上達している。あれからも続けて練習しているのだろう。「こんにちは」「あ~君たちが職場体験の子たちだね」「はい。今日から二日間よろしくお願いします」「君たち2人さ、そのセットは自分でやってきたの?」「はい!ダメでしたか?」「う~~~ん.....めちゃくちゃいけてるじゃん」「はぁ...」「最近子たちはセットが上手だとは思っていたけど二人ともすごく上手だね」「ありがとうございます」「まず自己紹介からだね。俺の名前は山田大輔です。名字でも名前でも好きな方で呼んでくれていいから」「はい。松岡瑞樹です。二日間よろしくお願いします」「僕は中村敬都と申します。よろしくお願いします」「了解。瑞樹と敬都だね。二日間よろしく」流石美容師さん。初めて会って数分で会話の主導権は握りつつ俺たちの緊張をほぐしながら喋りやすい空間を作ってくれている。俺も敬都も人見知り気質があるからこそ、このような方はありがたい「それで今日から二日間体験してもらうんだけど、ざっとうちの店のことについて説明するね。うちの店は見ての通り俺が一人で経営しているお店でスタッフも雇っていないから、カットからシャンプーからドライヤーで仕上げまで全部一人でやっていて、マンツーマンスタイルでやっているから同じ時間帯にお客さんが重なることは基本的にない。それに予約制だから飛び込みで入ってくる人も少ないからある程度余裕をもって体験してもらえるかなと思