「嶋野さん一旦整理させて」
「うん」
今起きていることが自分自身が全く整理できていない状態になあった。
あのクラスでもNo1人気の嶋野愛から「付き合って」と急に言われて動揺しない男がいるだろうか しかも毎日教室の隅で生きているような陰キャ男子生徒が。 これは現実だろうかと思って自分の頬を叩いたりしてみたけど、夢ではないらしい しかも遊びに行こうみたいなノリではなく恋愛的な意味の付き合ってだった。 松岡瑞樹は高校2年生になって生まれて初めて告白されました。 しかも相手は嶋野愛です。 僕はこのまま死ぬんでしょうか「松岡くん?」
「嶋野さんがいっていることは理解できたと思う...でも俺と嶋野さんってちゃんと話したの今日が初めてだよね。お互いのこと全然知らないのにどうして?」
「私のことをちゃんと見てくれていたし、私のことを認めてくれたから」
「それだけ?」
「あとは直感でこの人好きだなと思った」
嶋野さんが思ったよりも単純な人だったことに驚きつつも、嶋野さんの頬は少し赤くなっていていつものクールな嶋野さんとは別人のような雰囲気になっていた。
それをみたときに「これ本気のやつだ」と整理がついた。「急に言われて嬉しいよりも驚きのほうが上回っていて整理はできたけど頭では冷静に考えれてないかもしれない」
「そっか...」
嶋野さんの表情が明らかに暗くなった。
なんかいつも違う感じで可愛いなと思ったのは内緒である。「だからさ!!今日の放課後公園でゆっくり話さない?」
今の状況には驚いているけど、断じて嬉しくないわけではない。
だってあの嶋野愛から付き合ってと言われたんだ。 嬉しくないなんて言われたら俺の死後は天国ではなく地獄になるだろう。 公園につくまで少し考えさせてくれる? もう少し冷静に考えたい。「わかった。ならA公園に集合ね」
嶋野さんと公園で会う約束をして俺は急いで家に帰り準備をした。
その間に嶋野さんの「付き合って」が頭の中で何度も浮かんできたが 浮かれる気持ちを抑えて冷静に考える努力をした。「嶋野さんこっち!」
「松岡くんのお家ってこの辺なの?」
「そう。ここから5分ぐらいのところにある。一回帰って私服に着替えてきた」
「ここの公園って人が少ないね」
「この辺も過疎化で小さい子供も減ってお昼はおじいちゃんおばあちゃんのたまり場みたいになっているから夕方は人が少ないんだよ」
「そうなんだね」
。。。。。。。。。「そ、それで付き合うって話だけど、嶋野さんの中で気持ちは変わっていない?」
正直今でも信じることができてない。
嶋野さんと話してからかうようなことを言う性格ではなさそうだけど、あの嶋野さんが陰キャに告白するのをそのまま信じるほど俺の頭の中はお花畑ではない「うん。私の気持ちは松岡くんとお付き合いしたい」
「そっか。俺も嶋野さんみたいに告白してもらってすごく嬉しい」
「なら付き合ってくれる?」
「でも不安がないわけじゃないよ。だって俺からしたら高嶺の花だと思っていた嶋野さんが俺みたいな陰キャと付き合うって不釣り合いな部分はあるし、お互いのこともよく知らないし」
「そっか...」
嶋野さんが下を向く
「でも!!」
嶋野さんが顔をあげて目があう
「俺は不釣り合いでも、嶋野さんのことを全然知らないけど、これから知っていけばいいのかなと思っている。それに嶋野さんもこれから俺のことを知ってもらいたいと思う」
恋愛は最終的には結婚か別れるの2択しかないとアニメで言っていた。
最初にお互い両思いから始まった恋愛も些細な事で終わりが来ることもある。 俺と嶋野さんの恋愛の始まりは普通の人とは違うのかもしれないけど、それでもいいような気がした。 今現在嶋野さんは俺と付き合いたいと思ってくれている、俺も嶋野さんと付き合いたいと思えた。 結論はこれだけでいい。 そしてお互いがお互いのことを知った時にどうなるのかはそん時にならないとわからない。「だから俺も嶋野さんと付き合いたいです。よろしくお願いします」
。。。。。。。。
「あの嶋野さん?」
嶋野さんは下を向いて無言になる
あれ、なんか言葉間違えたかな「み、みっちゃんって呼んでいい?」
「うん。俺のこと?みっちゃんって呼ぶ人はいないけど、嶋野さんが呼びたいように呼んでいいよ」
「私のことは愛って呼んでね」
「善処します」
俺と愛の交際はこの時から始まった
「ふ~~~」
「どうしたの?」
「緊張した?」
「俺も緊張したよ。告白なんかされたこともないし、嶋野さんに急に告白されてどっきりかと思った」
「嶋野さんじゃなくて」
「愛」
「ふふふ」
名前を呼ばれてニヤニヤしている。可愛すぎかよ
「ねぇみっちゃん?」
「なに?」
みっちゃんと呼ばれるが照れくさい
「ぎゅーしていい?」
「いいよ?」
「みっちゃんんん」
「うっ」
一瞬何が起きたのか理解できなかった。
気づけば愛が俺の胸に思いっきり飛び込んできた。 そして俺のぎゅーとしているのがクラスで才色兼備で完璧な女の子と言われている嶋野愛「みっちゃんよしよしして。私頑張っているの」
「うん...よしよし。なんか雰囲気変わった」
「だってみっちゃんと彼氏彼女の関係になったから甘えていいかなって」
「確かに甘えていいけど。ギャップがすごくて」
「こんな私嫌?」
「嫌じゃない。愛は彼氏ができたら甘えるタイプなの?」
「わからない。だって彼氏できたことがないから」
「えええええええ????そうなの?」
「うん。だから私のこといっぱい甘やかしてね」
「努力する」
「どちらかというと本当の私はこっちなんだけどな。おばあちゃんとかにはいつもよしよししてもらっていたし、みっちゃんってなんかおばあちゃんみたいな優しい雰囲気があるから、つい甘えたくなるんだよね」
「そうなんだ。でもびっくりはしたけど、今の愛が俺は好きかな」
「へへへ。これからよろしくね」
このときに初めて表と愛と話したような気がした。
愛と付き合って一番の驚きは意外に「ポンコツ」なところ すぐに甘えん坊になるし、皿洗いしたら落としそうになるし、洋服はすぐに濡らすし、自転車をコンビニに忘れてくるし、靴下が右と左で柄が違っていたりと、他にもポンコツエピソードは多数ある。 今まで自分の中に描ていた「嶋野愛」という女の子のイメージは俺の中で表ではポンコツ裏では才色兼備で完璧な女の子というイメージに変わっていた。 まぁそれでも可愛いから許せてしまうし、そのポンコツな部分ですら愛おしく思ってしまう。それと付き合った時に二人で決めたことだが
俺たちが付き合っていることは基本的には内緒の方向性でいくことにした。 学校の生徒の中で愛はアイドル的な存在で、俺みたいな陰キャと付き合っていることがばれたらどうなるかわからない。 だから学校では嶋野さんと松岡くんで学校の外では愛とみっちゃんで呼び合うことになった。 愛はそれに反対したけど、なんとか納得してくれた。これが俺と愛が付き合うまでの話である。
「今日は夕方予約入っていないから店閉めてラーメン食べに行こう」「お店閉めていいんですか?」「いいのいいの。予約制でしているから予約が入っていなくて予定があるときは少し早めにしめるのは結構多いから。それに時間の融通を利かせることができるのは自営業の特権だから」個人的に自営業の都合はよくわからないが、山田さんがいいというのだからいいんだろう。確かに予約制じゃないお店の場合いつお客さんがくるかわからないから営業時間まであけておかないと文句を言う人がいるかもしれないが、予約制だったらコントロールはしやすいのだろう。「それでラーメン食べに行く?」「「いきます」」「よかった。最近の若い子ってこうゆう誘い嫌がる子多いらしいから」それは俺もテレビやSNSで見たことがある。上司からのご飯の誘いが苦だと感じる人は多いらしい。でもこんだけよくしてもらっている山田さんの誘いを嫌と思うわけなくて喜んでという気持ちが強かった。まぁこれが嫌いな上司だったら嫌だと思うのは当然だと思うが。。。会社の上下関係も大変だな・・・山田さんが閉店の準備をしている間、俺と敬都も掃除などを手伝った。夕方5時のタイミングでお店を閉めて、近所のラーメン屋に入った「好きなの頼んでいいから。今日は俺の奢り」「いいんですか?」「当たり前だろ。俺から誘ったうえに高校生に手出しさせるなんて美春に殺される」なんでだろう。俺たちにお金を出させたことを普通に報告してすごく怒っている美春さんが想像できてしまった。美春さんごめんなさい「じゃぁお言葉に甘えて」「おう」俺も敬都も定番のラーメン+チャーハンセットを注文した。「2人はよく飯にいったりするのか?」「2人ではあまりないかもしれないですね」思い返してみると敬都と2人のご飯はないかもしれない「2人はないんですが、よく3人か4人で一緒にいます」「もしかして今日の2人かな?」「そうです」「でも3人ってもしかして瑞樹と嶋野さんと敬都ってこと?」「そうです」「敬都お疲れ様」「はい・・・」なんで敬都がお疲れ様と言われているのかはわからなかったがなんとなく俺と愛のことなんだろうは思う「実際に美容室で働いてみてどうだった?」「はい。すごくいい経験になりました。俺は髪の毛をセットするのは好きだったけど誰かの髪の毛をという視点はあ
「なんで2人がきているの?」「私たちの職場は2日目は午前中で終わるってわかっていたからネットで予約しました」「なるほど」「ダメだった?」「ダメじゃないよ」「よかった」「なんだ二人の知り合いか。それにしても二人ともかなり美人だな」「知り合いというかクラスが一緒の同級生です」「左の人は瑞樹の彼女です」「おい瑞樹。お前は実はすごい系の男だったりするのか?」初めてみる人からしたら俺みたいな陰キャにあんな美人の彼女がいたら不自然に思うのは当然だろう「しかも瑞樹の彼女は学校でもクラスでもNo1と言われているぐらいの人です」「おい瑞樹。お前実は惚れさせる能力でももっているんじゃないか」「持ってませんよ。本当にたまたまご縁がありましてお付き合いすることになりました」「お見合いか」「ほんとですよね。たまたまあんな美人と付き合えるはラノベの主人公ぐらいですよ」「さっきから敬都くんの言葉に悪意を感じるのは気のせいかな」「気のせいです」「まぁ冗談はさておき、嶋野さんと春乃さんはカットで予約してもらっていたけど一人ずつでいいかな?」「はい。愛ちゃんからしてもらおう」「うん」愛のカットの時は後ろには俺がつくようになり、敬都はさくらさんと話しているなんか最近あの二人仲良くなっていないかな「愛さん。なんかこっちを見ているのは気のせいかな?」「本当だよ。俺のカットをみてほしいのに」「あっすいません。ついみっちゃんがかっこよくて見つめていました」「あ、そう...」恥ずかしがることなくストレートな物言いに山田さんは言葉がでなくなってしまっている「嶋野さんは瑞樹のことが大好きなんだね」「はい。みっちゃん以外に興味がないぐらい好きです」「うん。ちょっとまってね。おい瑞樹。お前の彼女なんかすごくないか」「はい。何もしていなかったら才色兼備なんですが、裏ではだいぶポンコツなんです」「そっか。了解。瑞樹せっかくだから嶋野さんの髪の毛ドライヤーで乾かしてあげたら」「えっ。できますか?」「大丈夫。だいたいでいいからやってあげな。多分俺がするよりも瑞樹がした方が嶋野さん喜ぶと思うよ」愛の方を見ていると嬉しそうに目がキラキラしているようにみるのは多分気のせい俺がドライヤーで愛の髪を乾かしている間に山田さんはさくらさんをカットするらしい。さくらさん
「職場体験一日目どうだった?」「めちゃくちゃ楽しかったよ。山田さんって美容師さんも優しくて面白い人だったし。愛は保育園どうだった?」「う~ん。やっぱり子供って難しいよね。予想外の動きをするし変なこと言ってくるし、途中いらってくることもあったけど、さくらからなだめられて落ち着いたよ」「それはよかった」「愛の先生姿みてみたいけどな」「それなら今度みっちゃんの先生になってあげる」「それは恥ずかしいな」「みっちゃんの美容室で働いている姿をみてみたい」「それこそ後ろに立っているだけだよ」「いいのいいの」なぜか上機嫌の愛に違和感を覚えながらも、お互いの近況報告を終えてその日は早めに寝た~職場体験2日目~2日目も1日目と同様に朝から二人のお客さんの予約が入っていて、昼から2人のお客さんが同時に入っているらしい。普段はマンツーマンスタイルでやっているから2人同時に予約を入れることはないそうだが、家族や友達でくる場合は2人同時にすることもあるそうだ。だから今日は俺も敬都も2人組が終わるまではいてほしいといわれた。それでも夜までというわけではないから喜んで了承した。朝のお客さんを終えて昼休憩に入ろうとしたタイミングでお店に女性が入ってきて「「いらしゃいませ」」「私はお客さんじゃないからきにしなくていいわよ」「????」「お~。来たか。2人とも昨日話したけど俺の奥さんの山田美春だ」「山田美春です。よろしくお願いします。あなたたちが瑞樹と敬都ね。昨日の夜2人のことをこの人ずっと話していたから覚えちゃった」「はい。松岡瑞樹です」「中村敬都です」「じゃぁ俺は今からお客さんしてくるから美春が買ってきたデザートでも食べて休憩していていいぞ」「「はい」」「2人ともB&Cはどう?楽しんでる?」「山田さんが予想以上に接しやすくて楽しんで体験できています」「僕も人見知りな方なんですが、山田さんは人見知りな僕でも話やすい環境を作ってくれるから助かります」「まぁあの人の長所だからね。今でこそあんな感じだけど最初の方は不安でいっぱいだったんだよ」「今の山田さんみていたらポジティブな印象しかなないので、ネガティブ山田さんを想像できないです」「そりゃそうよね。私たちが結婚したのはこのお店がオープンして1年後だったの。だからオープンした時はまだ付き合ってい
「昼休憩に入ろうか」美容室は病院や整骨院みたいに昼休みがあるわけではなくて、お客さんが途切れた合間などにお昼ご飯を食べるみたいだ、今の時間は13時だが今から1時間ほど間が空いたからお昼ご飯を食べることになった。「山田さんはいつもお弁当なんですか?」山田さんの弁当は色合いもよく野菜と肉がバランスよく入っているものだった「うちは奥さんが毎日作ってくれている愛妻弁当だ。羨ましいだろ」「羨ましいかはわかりませんがいいですね」「瑞樹ノリ悪いな」「すいません」「山田さん一つ質問良いですか?」敬都が山田さんに質問をした「いいぞ」「B&Cってどうゆう意味があるんですか?美容室っていろんな名前があっておしゃれなものから美容師さんの名字をそのまま使っているところとか様々だと思うんですが、山田さんはなんでB&Cってつけたのかなと思って」「別に大した理由はないけど聞いちゃう?」「はい」「B&Cはな....」「.....」山田さんは数秒間をおいた「ブラックコーヒーって意味だ!!」「????」俺と敬都のあまたの中には?しか思い浮かばなかった「ブラックコーヒーですか?」「そう。俺がお店を独立したのは25歳の時で、独立というよりは元々あった美容師を居抜きという方で引き継いだというのが正しいかな。さっき敬都がいったように美容室の名前っておしゃれだし個性的なものが多いだろ?だからいろいろな候補をあげてもしっくりこなくて。でもお店のオープンの日は決めていたから店名は決めないといけなかった。この名前をつけたときはカフェでオープン準備の事務作業をしていたときで。その時にマスターが淹れてくれたコーヒーがめちゃくちゃ美味しくて、なんか頭のモヤが晴れたような気がしたんだ」山田さんは持っていた缶コーヒーを飲んで続けた「ブラックコーヒーって苦いけど美味しいんだ。最初は苦くて飲めなかったけど徐々に飲み続けていけばブラックしか飲めなくなってしまうぐらい美味しく感じるんだ。美容師は外から見たら煌びらかな印象があるけど実際に働いてみると辛いこと苦しいことはたくさんある。それでも続けていけば美容師が一番いいと思える瞬間があると思う。それに経営も人生も簡単じゃない。こんな美容室になりたいというよりはこの名前は自分に対して「お前の道は甘くないぞ」の意味も込めて付けた感じかな。まぁ最初
「一人目のお客さんは谷口さんっていって30代の女性の方で、メニューはカットとカラーだから敬都はカットの後の掃除やカラーの準備の手伝い、瑞樹は飲み物の準備をお願いするから準備してて」「「はい」」山田さんのやり方は事前にやることを教えてくれるスタイルみたいだ。これは俺と敬都みたいな陰キャにとってはすごく助かる。陽キャにあって陰キャにないもの、それは「コミュ力」である。コミュ力が弱いということは急な展開にも弱いということだ。だからお客さんがきて急に飲み物準備してといわれてもすぐに動くことができない。しかし事前に教えてくれれば気持ち面でも準備することができる。おそらく敬都も同じ気持ちだろ。山田さんの話を真剣に聞いている。早速予約の時間に合わせて谷口さんが来店してきた「「いらっしゃいませ」」事前に言われた通り、お客さんが入ってきたら元気に「いらっしゃいませ」という。元気にいえたかはわからないが俺も敬都も無事にいうことができた「えっ新しいスタッフ雇ったの?」谷口さんはいつも通っている美容室で2人の若者に迎えられて驚いている様子だ「違います違います。この子たちは高校生で職場体験で今日から2日間うちで働いてもらうんです」「なるほど。流石に2人も雇う余裕はないか」「本気出せばいけるっすよ」「いつ本気出すか楽しみだね~~」今の会話だけでも山田さんがお客さんによく思われているのが伝わった席に座ると山田さんは谷口さんに要望などを聞いて髪を切りだした。髪の毛を切っているときの山田さんはさっきまでののほほんとした雰囲気から一転してプロの美容師って感じがしてかっこよかった「ねぇ山田君。いつもよりちょっとかっこつけてない?」「なんでいうんですか。高校生の前だからかっこつけていたのに」「だっていつももっとへらへらしているじゃない」思っていたイメージとは違ったみたいだただ、山田さんの手際の良さは流石の一言で話しながらも素早くカットを終えた「あとはカラーが終わってから仕上げのときに切りますね」「はぁい」敬都は山田さんの切った髪の毛を掃除し、俺は谷口さんに飲みたい飲み物をきき飲み物の準備をしている。たった飲み物を聞くだけの簡単作業ですら緊張してしまっている陰キャですいません。山田さんは話しながらも手早くカラーを塗り終えた。俺も卒業したらカラー
俺と敬都はB&Cという美容室に決めた。B&Cは男性が一人で経営している美容室で、男子生徒が希望ということと家から近かったのもあり、この美容室に決めた。今日は2日間の職場体験の1日目である。職場体験は職場に合わせた服装でいいということで、B&Kの方に電話すると「私服でいいよ」といってもらえたので、今日は愛とデートしたときに着た洋服といつものように髪の毛をセットしてお店に向かった。途中で敬都と合流したが、敬都も最初に出会った時とは見違えるほど髪の毛のセットが上達している。あれからも続けて練習しているのだろう。「こんにちは」「あ~君たちが職場体験の子たちだね」「はい。今日から二日間よろしくお願いします」「君たち2人さ、そのセットは自分でやってきたの?」「はい!ダメでしたか?」「う~~~ん.....めちゃくちゃいけてるじゃん」「はぁ...」「最近子たちはセットが上手だとは思っていたけど二人ともすごく上手だね」「ありがとうございます」「まず自己紹介からだね。俺の名前は山田大輔です。名字でも名前でも好きな方で呼んでくれていいから」「はい。松岡瑞樹です。二日間よろしくお願いします」「僕は中村敬都と申します。よろしくお願いします」「了解。瑞樹と敬都だね。二日間よろしく」流石美容師さん。初めて会って数分で会話の主導権は握りつつ俺たちの緊張をほぐしながら喋りやすい空間を作ってくれている。俺も敬都も人見知り気質があるからこそ、このような方はありがたい「それで今日から二日間体験してもらうんだけど、ざっとうちの店のことについて説明するね。うちの店は見ての通り俺が一人で経営しているお店でスタッフも雇っていないから、カットからシャンプーからドライヤーで仕上げまで全部一人でやっていて、マンツーマンスタイルでやっているから同じ時間帯にお客さんが重なることは基本的にない。それに予約制だから飛び込みで入ってくる人も少ないからある程度余裕をもって体験してもらえるかなと思