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20.春希の不穏

مؤلف: 桜立風
last update تاريخ النشر: 2026-07-24 11:30:23

「姉ちゃん!やっと携帯を持つ気になったかぁ……良かったなぁ!」

「うん、まぁね。……で、結人の方はどう?何か困ってない?」

「こっちでの暮らし?……まったく問題なしっ!成績もそれなりにイイ線いってるし、バイトも始めたから!」

大雅からの携帯を、権堂に手伝ってもらって設定し……久しぶりに携帯を持つことになった花。

留学中の弟、結人に連絡し、驚かれたところだ。

「ところでSNS、本名と自分の顔さらしてるみたいだけど、大丈夫なのかよ」

「……別に、投稿する気ないし。だいたいやり方わからないし」

「そうなの?せっかくならやってみたら?あとでフォローするから」

留学先で楽しくやっている様子の弟に、思わず笑みがこぼれる。

「じゃあまた連絡するよ。くれぐれも体に気をつけて」

「わかった!大雅さんによろしくね!」

弟は、国民的スターである鈴里大雅に見初められて結婚したという話を素直に信じた。

それは、自分の姉に対する偏った贔屓だと思うが……

『姉ちゃんみたいな人に惹かれるなら間違いなくちゃんとした人だ!』と言って、結婚を喜んでくれた。

「……本当は、前途多難だよ」

彼に惹かれたのは本当だ。今も家の中
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    ……なんなん?この時間……ご褒美タイム?一小節、流暢な英語で歌った後、目の前のコップに入ったお茶を飲む大雅。「VÉLOURS、半年後にライブを開催するんだ」「え……?!」人さし指をまっすぐ立て、口元に当てる大雅。……まだ発表していないから秘密ってことか。大雅が立ち上がった瞬間、春希がソファの上で跳ね出した。画面にはVÉLOURS……花は春希の安全を守りながら一緒に歌う。……歯磨きをしながら、物陰で大に隠れた大雅に見つめられてるとは思わずに。寝る前のダンスが効いたのか、ベッドに横になるとすぐに眠ってしまった春希。「……どこ行くの」リビングのソファに戻ろうとして、大雅に呼び止められた。「一緒に眠れるだろ。このベッド特大キングサイズだから」確かに細身の人なら大人が3人眠れそうなサイズ。花はお言葉に甘えて一緒に寝かせてもらうことにした。「あのさ……」静かな声で大雅が話しかけてきた。「さっき言ったこと、気にしないで」権堂に聞いたという話のことだとすぐにわかった。実際とは真逆を言って……どんな思惑があるというのか。「権堂さんに聞いたんですよね?」「あぁ。帰り、そこのコンビニまでタクシーで帰ったら権堂がいて、突然肩をつかまれて驚いたよ」コンビニまでなら、あの古びたアパートから近くはないが徒歩圏内ではある。……やはりそあそこは彼の住まいだったのかな。「権堂さんって、近くにお住まいなんですか?」「ん……事務所の近くに住んでるはずだけど」……だとすると少しおかしい。にわかファンに追い詰められてたどり着いたあのアパート。小道の行き止まりにあって、偶然居合わせたとは思えないんだけど。「そんなに、権堂が気になる?」「え……」仰向けに横になり、両手を頭の下にしまって天井を見上げる大雅の横顔は、少し幼く見える。「気になりませんよ。むしろ、」……ずっと会えなかったあなたのことが気がかりだった。「あの、」上体を起こし、春希の向こうから姿を見せる花。大雅は同じ姿勢のまま顔を向けてくれた。「明日、朝早いお出かけですか?」せめて、開かずの間に入ってしまったことは謝ろうと思い立つ。大雅は問いかけには答えず、そっとベッドを降りた。そして花の手を引いて、リビングへと歩いていった。「……なんか飲むか?紅茶でも?」「あ、私やりますよ」「い

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    「お召し物まで変わると……別人のようなレディに変わりますねぇ」スザンナさんに見送られ、ショップから出てきた私に、ドライバーさんは携帯のカメラを向けた。Vサインをして見せたのは、彼女との話が深刻すぎて、落ち込んだ気持ちを隠すため。「それでは、次のお店に向かいますね」大雅さんに指示をされているらしく、花を乗せ、ドライバーさんは車を走らせる。ほどなくして、バッグにしまった携帯がメッセージの着信を知らせた。『よく似合う。さすがde.san.Jalenoのスザンナさんだな』「え……さっき撮った写真、大雅さんに送っちゃったんですか?」「あ……そのように指示を受けておりまして。申し訳ありません」ついでに車内の様子も録画してあり、それも送信済みだと聞かされ、花は思わずあたりを見渡す。「あ……!カメラ、あれ?」「ホホホ……さようでございます」トロピカルな車内を演出してもらった時……ノリノリで踊った気がする。……しかも着替える前だからタマネギのTシャツで?「やだ……っ恥ずかしい」顔を覆う花に、追い打ちをかけるメッセージが届く。『カメラ、見つかっちゃったか。……すべて俺の指示だからドライバーを責めないように』花は見つけたカメラに絆創膏を貼ってやった。『全部見られてたなんて恥ずかしいです!』『ごめん』だいたい、私の様子を見て何が面白いというのか……こちらでは連日、大雅さんと共演している花園ミミさんの熱愛疑惑がワイドショーを賑わせているというのに『私はきっと、大雅さんにとって動物園のパンダなんでしょうね』癒し……とかじゃなくて娯楽。気まぐれに結婚して、利用されて。あの、開かずの間で見た遺影を思い出した。『そのあたりの話については、帰国したら時間を作る』『疑問に、答えてくれるんですか?』『……答える』どうやら、大雅さんも決意を固めたみたいだ。『だから今日は楽しんで欲しい。化粧品のことはよくわからなくて、同僚の女優に聞いたコスメショップを紹介するから』同僚の女優……花園ミミさんのことだ。『はい。ありがとうございます』大雅さんは今、噂の女性と一緒にいるんだな。ドラマの撮影なんて、私には想像できないような毎日を送っていて……本当に、私はどうしてあんなスターのそばにいられるんだろう。「もう……違うって!アイシャドウはまず、明るめの色を

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    「ここが、大雅さんオススメの……」「はい。さすが大雅さんです。おしゃれな服が置いてありそうでしょ?」磨き抜かれたガラス張りの外壁が美しい、誰もが知る高級ブランド店。……の、隣の店に入っていく花。味のあるTシャツや季節外れのコートも売っていて、履き潰されて逆に履き心地の良さそうなスニーカーも置いてあるリサイクルショップ。「探しがいがありそうです……」「いやいや、花さん!そちらではなくて、」慌てて連れ戻され、高級店の方に向け、背中を押された。「大雅さんの趣味なんだと思いますよ?……ホホホ」de.san.Jaleno……シンプルで質の高い、着心地のいい服を作っているブランドだ。母と一緒に子供の頃から訪ねていたのは銀座の本店だったが、よく似た店構えで懐かしさがこみ上げる。「いらっしゃいませ、マドモアゼル」ガラスドアを開けると、ウッド系の落ち着いた香りと共に、洗練された雰囲気の女性が私に向かって笑顔を向けた。マドモアゼル、の言い方に覚えがある……50代くらいの女性……本店の店長だった人だ。確かお名前はスザンナ伊藤さん。「もしかしたら、KOSAKAコーポレーションの、花お嬢様では?」「はい。花です。……お久しぶりです」「まぁ、大きくなられて……」最後に来店したのはいつだろうかと話ながら、スザンナさんはハッと何かを思い出したようだ。「あの、もしかして……俳優の鈴里大雅さんからのご紹介だというのは、」「……私です」花は唇に人さし指を立てた。「……あぁ、ここに転勤になって良かったわ!また花お嬢さまをコーディネートできるなんて!」「スザンナさん、お嬢さまというのは……」「あらやだ!私ったら、もうすっかり大人の女性でいらっしゃるのに」……とはいえ、大学を卒業するまではよく来ていた。就職してスーツが必要になって、別のブランドに行くことが多くなったのを思い出す。「鈴里さまは当店のメンズブランドのアンバサダーを務めていただいたご縁で、よくご利用いただいてるんですよ」「そうなんですか……私、何も知らなくて」このブランドのメンズ服は、父も好んで着ていた。……銀座の本店には両方置いてあって、家族で来ると父と弟、母と私に別れたものだ。スザンナさんはこちらの希望を聞きながら、骨格や肌色を見て、的確に服を選んでくれた。「鈴里様からは、一式揃え

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