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last update Last Updated: 2025-11-29 06:00:04
「子どもが……っ……咲良と咲真が……いないの……っ……!! お願い洋子さん……助けて……! 探して……!!」

 泣き叫ぶ美桜の姿を見た瞬間、洋子の顔色がさっと青ざめた。

「そ、そんな……まさか……!」

 美桜は毛布を握りしめたまま、息が乱れてうまく言葉にならない。

 喉が裂けるほど叫んだせいで、声は掠れ、涙で頬は濡れ続けている。

「美桜様、どうか……落ち着いてくださいませ! すぐ皆を集めます!」

 洋子はそう叫ぶや否や、部屋を飛び出していった。

 次の瞬間、屋敷中に緊迫した声が響き渡る。

「誰か来てください! 赤子がいません! 急いで探して!!」

 使用人たちの慌ただしい足音が廊下を駆け抜け、門番のいる玄関へと殺到する。

 だが――美桜の耳には何も入らなかった。

 ただ、揺り籠の空白だけが残像のように脳裏を焼き続けていた。

(私のせい……私が……眠ってしまったから……あの人たちを家に入れた私が……浅はかだった。子供たちを守れなかった……)

 体が冷え、手足の震えが止まらない。だが、嘆き悲しんでいる場合ではない。

 なんとしても子供たちを取り返さなければ!!

 どうすればいいかを考えようとしたところ、別の使用人が駆け込んでくる。

「奥様! 門番に聞きましたが……先ほど、馬車が一台、急いで出て行ったとのことです! 恐らく、先ほどの外商の方のものでしょう」

「出て行ったのですね。どちらの方角へ行ったか、わかりますか?」

 美桜の顔がゆっくりと上がる。

「は、はい……北の方へ向かったとの証言です」

「そう。すぐ追いかけましょう」

「はいっ! ただちに!」

 洋子は走り去る。

 美桜はまだふらつく体に鞭打って歩いた。

(ふたりとも、怖かったよね。お母さんがついていなきゃいけなかったのに……!!)

 悔しさに震え、胸が張り裂けそうになる。そこへ、別の使用人が慌てて戻ってきた。

「奥様ぁ! 旦那様へ至急の連絡を入れました! すぐに戻られると……!」

「一成くんが戻ってくれるの……?」

「はい! 馬車の特徴などをすぐに伝達し、帝都を封鎖したようです。すぐに動いて下さいました!」

 帝都を封鎖――なるほど。それなら犯人は外に出ることはできない。

 さすが一成だ。機転が利く。

 財力があるからこそ、できる荒業。彼に任せていれば恐らく、草の根一本でもかき分け、子供
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