LOGINクリスマスパーティーから一夜明けて、片付けをしている。ジェイドは二日酔いで唸りながらベッドで横になっている。さすがに心配なので、マリが何度も様子を見に来る
「大丈夫、具合悪い?」
「気持ち悪くて頭が痛いです…昨日の記憶がありません…」
「二日酔いを治す魔法薬を作らないといけないかな」
「ううーん……」
ジェイドが酒臭い。1度飲むと止まらなくなってしまうタイプだ。マリが水に砂糖と塩を加えた経口補水液を作って持ってきた。
「飲めそうだったら飲んでね、脱水しちゃうから」
「はぁ…い……」
和酒だと、あんなに酔ってしまうのか。それにしても昨日は凄まじかった。歌を歌い突然脱ぎ出し、真冬の外に出ていこうとした
(昨日の記憶ないのか…面白かったのになぁ)
「昨日の夜中は散々だったな、ご主人とダリアの前で脱ぎ出すなんて」
しかも下着まで
「私は面白かったよ」
「私は見ていられなかったです…」
「ご主人の前で、だぞ!?自分だけ脱ごうだなんて許せない」「え…え…?」
話が脱線しすぎてダリアが混乱している
「うん、マチもまだお酒残ってるのかな…」
「俺は至っていつも通りだぞご主人?」
「そっか…そっか………」
頭を悩ませるマリ。大丈夫なんだろうか
~
クリスマスツリーも装飾も全て片付け終わった
「次にくるのは大晦日だね」
「今年もあっという間だな」
「大晦日は花火があがるんですよね!」
そう、ダリアの言う通り新年を祝う為に各地で花火があがる。冬の夜空に散る花火は、星と相まって美しいのだ
「今年は頑張って起きていられるように頑張りたいです」
「無理はしないでね」
「そうだぞ、育ち盛りなんだからな」
クリスマスから大晦日はあっという間に過ぎていく
「大掃除しないとね」
「そうだな。俺は背が高いからホコリ落としだ」
「私、掃除得意なので!任せてください!」
一方その頃ジェイドは…トイレから出られなくなっていた
「うう……」
ドンドン、とマリがドアを叩く
「ジェイド!大丈夫?」
「気持ち悪くて…トイレから出られないんです」
「そうだな…薬作った方が良さそう…」
急遽マリは二日酔いに効く魔法薬を作ることにした。ムーンウォーターに賢者の実、時の欠片、月光樹の葉、ブライトニングハーブにハツカヨモギ
「それと、マンドレイクの葉に黄金クローバーをいれて…」
グツグツと大釜の煮える音がする。黄色く大鍋から光が放たれた。完成だ
「出来た!超速攻、万能二日酔い止め!」
トイレから戻ってきたジェイドに1口だけ魔法薬を飲ませた。すると
「あ……吐き気が、頭痛が収まっていきます…」
「全部飲めそう?」
小さいコップに入った黄色の魔法薬。ジェイドは全部飲んだ
「すごい…!完全復活です!」
無事にジェイドは二日酔いを克服したのだった
「本当お騒がわせな奴だな…」
「ジェイドさん、戻ったんですね!良かった…」
さて、ジェイドも元に戻った事だしお昼ご飯にしよう
ビッグラットの肉を丸焼きにして、毒のない野生マンドレイクのスープを作る「スープはそろそろ完成しそうです!」
ダリアも手伝ってくれる
「ありがとうダリア、ビッグラットも焼けたよ」
肉のいい匂いとガーリックの匂いが部屋中に立ち込める。お腹が空く匂いだ
「お待たせしましたー!ビッグラットの丸焼きと野生マンドレイクのスープです」
「ほう、マンドレイクのスープか」
「気になりますね!」
「…では早速…」
「いただきます!」
まずはビッグラットの丸焼き。肉はとても柔らかくジューシーで、ガーリックの味が効いている。これが美味いのだ
「うん、とてもジューシーだな美味いぞご主人!」
「空きっ腹にこれは美味しいですねー!身に染みます」
「う、ん美味ひい」もぐもぐ
「うん、焼き具合がちょうどいいね」
続いてマンドレイクのスープ、優しい醤油ベースだ
「マンドレイクってこんなに食感がいいんだな」
「ラディッシュにそっくりですね!」
「温まる…美味しい!」
「マンドレイクって料理にも使えるんだね」
「キュッ…キュ」
あ、けだまスライムの鳴き声だ
「君たち、本当気まぐれで出てくるね」
「キュウ!」
3匹とも元気そうだ。冬は毛量が増えて真ん丸だ。みんなご飯を食べ終わると、ダリアと3匹は見つめ合っていた
「もふもふだ…可愛い…モフりたい……」
「キュキュッ」
毛玉スライムはダリアの頬にスリスリし始めた
「ふふ、もっふもふだ!最高!」
「キュ」
ダリアと毛玉スライムが遊んでいる内に、万能二日酔い止めをノートに書き留める
「ご主人、またすごい魔法薬を作ったな」
「これは売れること間違いなしですよ!」
1口飲むだけで酷い二日酔いを和らげ、小さな瓶1つ飲みきると完全に二日酔いが治ってしまう品物だ
「ただ、材料が貴重なものばっかりなんだよね」
春にならなければ取れない薬草が沢山ある。それにこの幻樹の森でしか取れないものばかりだ。
「まぁ50瓶出来れば上出来だよね!」
万能二日酔い止めを50瓶まとめて作って置いたのだ。
5000年以上生きていても、まだまだ魔法薬には可能性がある「ご主人は本当に才能の塊だな」
「凄いですよ…私には真似できませんから」
2人はマリの事をべた褒めした。ちょっと照れるマリなのだった。ダリアと遊んでいた、けだまスライム達が
いつの間にか消えていた。ダリアは夢の中…~
そしていつの間にか夜ごはんの時間になった。夜ご飯はスカイトラウトとご飯、豆腐の味噌汁だ
「いただきます」
「うん、スカイトラウトの身が綺麗にほぐれて美味い!」
「バターの風味が効いていて美味しいです~!」「ご飯に合いまふね」もぐもぐ
「うん、たまには魚も食べないとね!」
豆腐の味噌汁も身に染みる
「温まるな」
「ネギもシャキシャキしてて美味しいです!」
「うん、いい塩梅です」
「お味噌汁ってスープと違った良さがあって良いよね」
魚も味噌汁もみんなに好評だった。また魚料理を作ろうと思うマリなのだった
粉雪が幻樹の森を覆う。こんな朝は温まるものを。卵かけご飯に漬物とお味噌汁。和食は温まるものばかり
「うん、悪くない。美味いぞ!」
「卵かけご飯ってこんなに美味しいんですね!醤油と合います!」
「お味噌汁美味しい」
「きゅうりの漬物ってしょっぱくてご飯が進むね」
パンもいいが…やはりご飯もいい。パンはすぐに消化されるが、ご飯はお腹に溜まる。
ご飯が食べ終わったら掃除をする。大晦日までに少しづつ掃除をしていくことにしたのだ
「俺は窓拭きだな」
背が高いマチは窓拭き担当だ
「私は水周りの掃除ですね」
水は冷たくてジェイドは苦手だが、魔法でお湯に変えて掃除をする
「私は自室を掃除してきます」
ダリアは2階の自分の部屋を掃除するようだ
「私はキッチンね」
マリはキッチンの汚れ落とし。こびり付いた油汚れなどを落とす
それぞれ熱中して取り組み、あっという間に時間が過ぎていく
「ふぅ、ピカピカに磨き上げたぞ」
「マチ、頑張ったね」
「私も頑張りましたよ!」「ジェイドも偉いね」
「ご主人様、私は…」
「お部屋掃除したんだね、凄いよ」皆マリに褒めてもらいたいのだ。2人は子供じゃないのに…
「そろそろお昼かな」
マリは昼ご飯の準備を始める。予め作っておいたパイ生地にレッドモンスタービーフのミートソースを入れて包み、25分焼きあげる。焼き目が着いたら完成!
「ミートパイだよー!」
「おお!美味そうだな!」
皆待ちきれないので早速食べることにする
「では、いただきます」
1口食べただけで、頬が痛くなるほどの美味しさが駆け巡る
「うん!生地がサクサクだな!」「お肉がジューシーで美味しいです!」
「んん…ほっぺが落ちそう!」
「スパイスが効いてるし食べごたえがあるね、これは美味しい」
みんな腹いっぱい食べて満足だ。午後はミルクティーを飲みながら本を読んだり、日記を書いたり思い思いに過ごしていた
「ねぇ、大晦日は何食べたい?」
「そうだな…俺はご主人が作ったシチューだな」
「私はまたマルゲリータが食べたいです!」
「うーん、カニです!」
「うんうん、皆のリクエストに答えるよ」
大晦日はたらふく食べて飲んで、年が越すまで起きていることが多い。皆それを楽しみにしているようだ
「大晦日は年越しの時に花火が上がるからシンシャ街まで転送魔法で行くか…」
花火の大きな音は厄を跳ね除ける効果があるとされているのだ。今年はどんな大晦日になるだろう。
そして今日の夜ご飯は塩鍋だったさて、数日経って明日は大晦日!今日は徹底的に大晦日をしていく。浴室の排水溝の掃除や窓のサッシ、本棚のホコリ落とし、引き手の除菌などやることは沢山だ。
「よし、気を引き締めて大掃除に取り掛かるよ!」
浴室の排水溝はジェイドの担当だ
「…綺麗にしているつもりなのですが、結構髪の毛が溜まっていますね」
綺麗に髪の絡みを取って、除菌する
窓の冊子はマリが掃除している
「うん、結構汚れてるな…」
汚れを掻き出しながら拭いていく
本棚のホコリ落としは背の高いマチがやる
「たまにホコリを落としているからそんなに汚れているわけではないな」
マチは綺麗好きなのでよく掃除をする
ダリアは引き手の除菌
「みんなが触るところだからちゃんと除菌しなきゃ」
ダリアも掃除が趣味のようなものだ。1度スイッチが入ると徹底的に磨き上げる。皆がある程度、担当する所の掃除が終わったら、次は掃き掃除。床に落ちている砂が綺麗に掃かれていく
「掃除って気持ちいいね」
「そうだな、部屋が綺麗になると心も綺麗になる」
これで皆掃除が終わったようだ。綺麗になった部屋を見渡す
「はぁ、スッキリした!」
「気になっていた所も掃除できたな」
「お風呂も綺麗ですよ!」
「ドアノブの除菌も出来ました!」
本当に心がスッキリする。そして達成感がすごくある
朝から掃除して休憩もなしに熱中していたらいつの間にかお昼をすぎていた
「よし、お昼たべようか!」
既に作り置きしていたモンテナ牛のハンバーグとご飯にコーンポタージュ
「よし、早く食べよう。いただきます!」ハンバーグに切込みを入れると溢れ出す肉汁
「美味いな!これはご褒美だ!」
「う~ん!デミグラスソースのコクの深さ!美味しいですね」
「ご飯似合いまふね」もぐもぐ
「うん、身に染みる~」
こうして皆ハンバーグを堪能した。ご飯を食べ終わったらハーブティを入れて休憩
「今日のお風呂はお酒とお塩を入れようか!東の国ではそれが厄落としになるみたいだし」
「それはいいな、きっと今日の風呂は気持ちいいぞ」
「お風呂好きな私にとって最高ですね」
「うんうん」
とても有意義な1日だった。夜ご飯を食べたあとは、ゆっくりお風呂に浸かった。
「はぁ、スッキリしたね。温まるし厄も落ちるし一石二鳥だね」
「まるで温泉に入ってるようだったぞ」
「すごく肌がもちもちしてます」
「髪の毛がツヤツヤになりました」
お酒の効果だろうか。明日はついに大晦日がやってくる。明日の準備のために早く眠りにつくのだった
さぁ、今日はついに大晦日だ。料理を大量に作って祝わなければならない
「ついに大晦日だね」
「今日は天気がいいな」
雪は降らないようで、年越し花火も見に行けそうだ
「豪華なご飯…楽しみですね!」
「花火が楽しみです!起きていなくちゃ」
ジェイドとダリアは2人揃って今日を楽しみにしていた。マリは友達などに手紙を送った。これが明日届くのだ
「明日は元旦か…早いなぁ。年越したの最近のことだと思ってたのに」
そう、1年はあっという間なのだ。特にマリにとっては昨日年越たばかり、みたいな感じだろう
「あ、正月飾りを出さなきゃ」
正月飾りは古代樹の葉と月光樹の葉、それに赤と白が基調のリースだ。これを玄関に飾ると1年間の福を呼び込むと言う。そして朝ごはんと昼ごはんはパンで、あっさりしたものを食べた。夜にたらふく美味いものを食べるためだ
「そろそろ夜ご飯の準備するね」
「ご主人様、私も手伝います」
「俺たちにも手伝わせてくれ」みんな一緒に料理を作る。リクエストがあったシチューにマルゲリータ、カニはもちろん、お刺身やアップルパイ、フルーツの用意もする。料理をしている間にあっという間に日が落ちる。
「みんな先にお風呂入っちゃおうか」
順番にお風呂に浸かり、温まる。上がったら豪華な料理が待っていた
「ほら、みんなが頑張って作った料理だよ!たんとお食べ!」
「こうやって見るとすごい量だな!よし、頂こう」
「う~ん!このシンプルなピザがたまらないんですよ」
「カニ美味しい~!身が詰まってプリプリ!」
「ご主人の作ったシチューは世界一美味い!」
「うん!アップルパイ美味しくできた。甘さと酸味がちょうどいい」
みんなでワイワイ、テーブルを囲んで食べる食事は別格に美味しい
「ん!このカニ美味いな」
「本当ですね!カニ味噌も美味しいです」
「よし、シャンパン開けようか!」
大人はシャンパン、ダリアはもちろんジュースで
「待ちきれずに食べちゃったけど…乾杯!」
「乾杯!!」
暖かい部屋で飲む冷たいシャンパンとジュースは即座に体へ染み渡る
「くぅ…美味いな」
「はぁ、美味しいですね~」
「ぶどうジュース美味しいです」ごくごく「1年ももうすぐ終わるね、あっという間だ」
年が明けたと思ったら、もう年越しだ。ダリアにとっての1年は長いかもしれないが、マリ達にとっての1年は本当に短い。これが圧倒的な年の差なのだ
「キュ!」
「あ、君たち。今年最後の挨拶をしに来たの?」
「キュッキュ!」
「そうみたいだな」
けだまスライムも今年最後の姿を現した。さぁ、夜が更けてきた。楽しみはこれからだ
クリスマスパーティーから一夜明けて、片付けをしている。ジェイドは二日酔いで唸りながらベッドで横になっている。さすがに心配なので、マリが何度も様子を見に来る「大丈夫、具合悪い?」「気持ち悪くて頭が痛いです…昨日の記憶がありません…」「二日酔いを治す魔法薬を作らないといけないかな」「ううーん……」ジェイドが酒臭い。1度飲むと止まらなくなってしまうタイプだ。マリが水に砂糖と塩を加えた経口補水液を作って持ってきた。「飲めそうだったら飲んでね、脱水しちゃうから」 「はぁ…い……」和酒だと、あんなに酔ってしまうのか。それにしても昨日は凄まじかった。歌を歌い突然脱ぎ出し、真冬の外に出ていこうとした(昨日の記憶ないのか…面白かったのになぁ)「昨日の夜中は散々だったな、ご主人とダリアの前で脱ぎ出すなんて」しかも下着まで「私は面白かったよ」「私は見ていられなかったです…」「ご主人の前で、だぞ!?自分だけ脱ごうだなんて許せない」 「え…え…?」話が脱線しすぎてダリアが混乱している 「うん、マチもまだお酒残ってるのかな…」「俺は至っていつも通りだぞご主人?」「そっか…そっか………」 頭を悩ませるマリ。大丈夫なんだろうか~クリスマスツリーも装飾も全て片付け終わった「次にくるのは大晦日だね」「今年もあっという間だな」「大晦日は花火があがるんですよね!」そう、ダリアの言う通り新年を祝う為に各地で花火があがる。冬の夜空に散る花火は、星と相まって美しいのだ「今年は頑張って起きていられるように頑張りたいです」 「無理はしないでね」「そうだぞ、育ち盛りなんだからな」クリスマスから大晦日はあっという間に過ぎていく「大掃除しないとね」「そうだな。俺は背が高いからホコリ落としだ」「私、掃除得意なので!任せてください!」一方その頃ジェイドは…トイレから出られなくなっていた「うう……」ドンドン、とマリがドアを叩く「ジェイド!大丈夫?」「気持ち悪くて…トイレから出られないんです」「そうだな…薬作った方が良さそう…」急遽マリは二日酔いに効く魔法薬を作ることにした。ムーンウォーターに賢者の実、時の欠片、月光樹の葉、ブライトニングハーブにハツカヨモギ「それと、マンドレイクの葉に黄金クローバーをいれて…」グツグツと大釜の煮える音がす
幻樹の森から西に30分歩くと、光の街と言われるシンシャ街がある。そこの冒険者ギルドへ何年かぶりに顔を出す「久しぶり」ギルドの受付嬢であるエルフが目を見開いた「あらマリ様!お久しぶりでございます!ギルドマスター!マリ様がお越しですよ!」ギルド内がドタバタし、あちらこちらからコソコソ話しが聞こえる「あれって噂の…」「永玖の守護者!?SSランクのパーティーじゃねえか!」扉から出てきたのは茶色い髭を伸ばし、背は低いのに屈強なドワーフだ。「お前たち久しぶりだな!」「久しぶりだね、ゼヒネル」ゼヒネルと言うこのドワーフこそギルドマスターである「今日は何しに来たんだ?」「魔法薬と材料を買い取ってもらいたくてさ」「よしわかった!こっちへ来い」連れてこられたのは買取専門コーナーだ「今日はどんなものを売りに来たんだ?」「回復薬に透明薬、記憶薬、無眠薬…それと」「すごい量だな!」「あと、エンシェントドラゴンの爪と牙ににヘルハウンドの爪、ダイヤウルフの皮…あとミミックから出てきた宝石」「おお…これはすごいな」量が多すぎたのか応接室に案内されたのだった。どれもこれも高額で買取できるほどの品質でこれ以上のものは無いだろう「買取に少し時間がかかるが…それでも良いか?」「うん、街を探索してるからいいよ」ギルドを後にすると魔鉱石店に立ち寄った。マチは鉱石が好きだからだ「どれも良い品だな…」見極めている。特に星写しの魔鉱石に目をつけた「これは高純度の魔鉱石だな…しかも取れる場所がとにかく少ないんだ」(マチは石を見ているだけで楽しそうだなぁ…)マチは星写しの魔鉱石を買った。夜になると石の中に星座が写し出されるものだ。続いて紅茶の茶葉が売ってる店に来た。ジェイドが何かを買うらしい。「食べられるフルーツティー!?こんな物があるなんて…薔薇の紅茶もいい…買います!」こうしてジェイドは紅茶の茶葉を手に入れた。続いて向かったのはダリアの大好きなぬいぐるみの店だ「二ーブールのぬいぐるみ…可愛い…」二ーブールは主に綺麗な川に生息する動物で、カワウソに少し似ているのだ 。ダリアは二ーブールのぬいぐるみを購入し、とても満足そうな顔をした「よし、そろそろギルドに戻ろうかな」「ご主人は何も見なくていいのか?」「私はみんなの幸せそうな顔が見れて満足だよ」そ
翌朝くしゅんっとジェイドが朝から何度もくしゃみをしている「大丈夫?」「はい、これぐらい大丈夫ですよ」ズビッ「具合が悪いなら早めに言え」「いいえ、具合悪いなんてことありませんよ」ズビッなんだか様子がおかしいが、朝ごはんはパンとべーコンエッグに豆スープをしっかり食べたのだが、昼頃…「う、頭が…」「ジェイド、顔赤いよ?熱測るから」マリはおでこに手の甲をくっつける「うん熱がある。ジェイド、寝てなきゃダメだよ」「うう…」ぐすっジェイドは熱を出すとなぜか涙が止まらなくなる「大丈夫だよ、見た感じただの風邪だから。風邪薬作るからね」マリは本を見ながら万能風邪薬を作り始めた「えっと、ムーンウォーター、古代樹の葉、夜行茸、コガネハッカ、ハツカヨモギに巻きサソリっと」鍋に次々と材料を入れていく。ボコボコと泡が立つ音がする「ジェイドさんは大丈夫なのか」「うん、大丈夫だよ。この薬を飲んで1日寝ていれば治るから」「そうか」マチもなんだかんだ言って心配しているようだ。マリはすりおろしたボガルンダをジェイドの元へ持っていき「ジェイド、起きて食べれる?」「うぅ…マリ様…」完全に弱りきったジェイドがゆったりと体を起こした「薬はもうすぐで出来るからね。ほら、あーん」もぐっ…「あ…ありがとうございます」ズビッ赤い顔が更に赤くなった「ご主人…薬が出来たぞ…………食わせて貰いやがって…」ボソッ「あ、マチありがと。ジェイド、全部食べれそうになかったら先に薬飲もう?」「はい…」マリは茶色の薬を飲ませる。とても苦そうだが良薬口に苦し、だ「ゴホゴホッ」「大丈夫?ゆっくりでいいから」なんとか全部飲みきって、マリがまたジェイドを寝かせた「明日には良くなってると思うよ」「すみません…ううぅ…」大粒の涙がジェイドの顔を濡らす。熱を出すとまるで子供のように必ず泣いてしまう。生理現象なのだろ「大丈夫、眠れるまでここにいてあげるよ」 結果、3分くらいで眠りに落ちたジェイド。気づけば朝からどたばたしていた「ご主人は大丈夫か、疲れてないか」「うん、大丈夫。心配してくれてありがとう」絶対に良くなるから頑張れ…ジェイド、あと少しの辛抱だ~「マリ様のおかげですごく元気になりました!昨日はご心配とご迷惑をおかけしました…」「治ってよかったね」「はぁ…よか
「そうだ、お昼ご飯食べていこうか」この村には人気の店がある。その名はジョリアン。モンテナ牛のハンバーグがとにかく美味いのだ「いらっしゃいませ、こちらへどうぞー」若い女性のウェイターさん、珍しく人間だ。 席に座るや否や「すみません、モンテナハンバーグ3人分ください」「かしこまりました」「ここのハンバーグ、本当に美味しいからね、一度食べたらやみつきになる」「確かに美味いよな」「匂いだけでパンが食べられそうです」ここのシェフはエルフで、500年間世界中の料理修行をして結果ハンバーグに辿り着いたらしい。ただのハンバーグ好きだ。「お待たせいたしました」鉄板に乗った大きなデミグラスソースのハンバーグとバケットが出された。湯気が上がり、ジューっと焼ける音がする「いただきます!」とても熱そうだが、熱いうちに食べなければ美味しさが逃げてしまう。切れ込みを入れただけでハンバーグから肉汁が出てくる出てくる。あむっと口の中に入れると肉汁が飲めるほどに出てきて、それでいてふわふわの食感、デミグラスソースのコクと味の深さ「んんー!美味っしい、たまんない!」「ぐ、肉汁がすごいな」「うわぁ口の中でとろけていきますー!」固いバケットが油の多いハンバーグとよく合う。3人はそのまま一言も喋らず黙々とハンバーグを食べたのだった。店を出たあともしばらく多幸感に包まれていた「はぁ…美味しかったなぁ」「まぁ、ご主人の作った料理には叶わんがな」「ん、そうですね。マリ様の料理がいちばん美味しいですから!」「んんー。そう言って貰えると嬉しい…な」ちょっと照れるマリ。その顔をガン見する2人。そうこうしているうちに日が暮れ、転送魔法で家に帰ってきた「今日はいろいろあって楽しかったなー」「本も買えたし、ご主人には思いがけないプレゼントを貰ったしな」「本当に嬉しいです、ありがとうございます」「いいよ、いいよ。2人からお返しのプレゼント貰っちゃったし」何だか、たまに村へ遊びに行くのも悪くないと思えるマリだった~翌日そろそろ雪が降る頃だろうと、マリ達はある準備をしていた。「ジングルベール、ジングルベール、鈴が鳴るー」マリは思わず歌ってしまう。そう、クリスマスだ。クリスマスツリーやリースなどの飾り付けをしていたのだ。サンタさんは来ないから、3人でそれぞれ好きな物を
魔族は主にエルフ、ドワーフ、獣人族など人間の亜種のことを指している。それとは違い、悪魔族また、悪魔は人に罠を仕掛け、悪の道に誘う。時には人を殺すこともある。その中でもいちばん強いのは魔王だ。魔王は「500年に一度の大厄災」と言われている。災害、疫病、餓死を世界中にもたらし、人間を極限までいたぶり殺すのだ「悪魔…もうそんな時期か」「どういう時期なんだ?」思わずツッコミを入れてしまうマチ「悪魔が出てきたって事は魔王もそろそろ出てくる頃だな、と思ってね」「魔王ですか…また大厄災がやってくるんですね」怖がりなジェイドは魔王と言う名が出ただけで今にも泣きそうになっている「大丈夫だよ、私強いから」「あぁ、ご主人の強さは確かだ。それに魔王を倒すのはご主人にしか出来ない技だからな」そうだ。この世界の神話では、赤い瞳を持つハイエルフは不老不死、脅威の再生能力を持ち、唯一この世界の大厄災である魔王を倒す魔法が使えると言うが…それは本当である。実際に500年前、さらに500年前の魔王出現の時もマリが倒している。と、そんな話をしていると「あぁ、お昼過ぎてる。長話しすぎちゃった…ご飯ってうかおやつの時間だね」あっという間に時間が過ぎた。「質のいい野いちごと野ベリー買ったから…パイでも作ろうかな」「いいな、そうしよう」早速マチはオーブンを温める「…甘いの大好きだから動くの早いね」「そ…そうか?」マリはあらかじめ買っておいたパイ生地にカスタードクリームと野イチゴ、野ベリーを並べ、生地を中心に寄せながら内側に被せる。「うん、そろそろいい頃だ」マチが溶かしておいたバターを塗り、焼き始めた「あぁ…いい匂いがしますね」甘い匂いがふわっと部屋中を立ち込める。ぐぅぅ…と3人の腹の音が鳴る「今のうちに紅茶の用意しよう」パイに会う紅茶の茶葉を用意する。焼けるのが待ち遠しい「キュッ…キュキュ!」しろも、くろも、もふこ達がいつの間にか姿を現した「みんなも食べたい?」「モキュ!」「そっか、じゃあみんなで食べようね」そんな話をしていると「パイが出来たぞ!」マチの喜びの声が上がる。パイの上から粉砂糖をまぶして「出来た、野いちごと野ベリーのパイだ!」かなり大きいが、きつね色に焼きあがったパイ生地。キラキラと光り輝く野いちごと野ベリー。6等分にに切り分けて
ここは幻樹の森非常に幻想的な森で、ありとあらゆる魔法動物や植物が生きているここで生活するハイエルフのマリ・レヴァンスもうかれこれ5000年以上生きているのだマリは朝起きると最初に窓を開ける「ふぁぁ…風が冷たいなぁ」ひんやりとする風を受けるこの時、ちょうど秋から冬になる所だマリの真っ白で長い髪が光を受けながらサラサラ動く白くきめ細やかな肌に赤い瞳。真っ白な体に赤が映える。その瞳がハイエルフの特徴でもある体は華奢で、本当に5000年以上生きているのかと疑問に思う者も居るだろう「ご主人、紅茶が入ったぞ」マリに声をかけたのは使い魔フクロウのマチとても大柄な男で、黒く所々青く長い髪をなびかせている。瞳も青く、湖のように澄んでいるマリは椅子に座った「ありがとう、頂くね」そこに寝起きであろう、もう1人の姿がある金髪を三つ編みで束ねた男のエルフだ 名はジェイド・グレイマン瞳の色は緑で、まるでこの森のような幻想的で潤んだ目をしている「マリ様、おはようございます…」「ジェイド、おはよう。よく眠れた?」 「…はい、よく眠れましたよ。ですが今朝は冷え込みが強いですね」3人でテーブルを囲んで紅茶を飲む。3人の沈黙を破るようにパチパチと暖炉の薪が音を鳴らす「ご主人、俺は今日も薪割りをするつもりだ。ご主人達はどうする?」「私はジェイドと一緒に薬草を摘みに行こうかなと思って」「そうかわかった、気をつけてな」そんな些細な会話をして、今日も1日が始まった!~「あ、ここにもハテナ草が生えてる。お?こっちにはフシギ草が」薬草取り。マリは魔法薬を作るのが得意だ趣味でもあるのだ「マリ様ー!あちらにダイヤウルフの群れが!」ジェイドが息を切らして走ってきた「よし、お肉も爪も牙も血も、全部頂こう!」ドドドドーーン!!マリが派手に魔法を使った。だが木々には傷1つ付いていない。そしてダイヤウルフが10頭手に入った「ダイヤウルフは名前と違ってお肉が柔らかくて美味しい…それに爪と牙と血は…薬に使える」マリは目を光らせている「ふふ、研究も捗りますね」ジェイドはその顔を見て嬉しそうだったそうこうしているうちに昼になっていたようだ。マチが帰ってきた「マチ、ただいま」「ご主人、おかえり」薪割りを終えたマチが外の椅子に座っていた 「今日はマリ







