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待ちに待った大晦日

Author: はるさめ
last update Last Updated: 2025-12-28 15:32:28

さぁ、今日はついに大晦日だ。料理を大量に作って祝わなければならない

「ついに大晦日だね」

「今日は天気がいいな」

雪は降らないようで、年越し花火も見に行けそうだ

「豪華なご飯…楽しみですね!」

「花火が楽しみです!起きていなくちゃ」

ジェイドとダリアは2人揃って今日を楽しみにしていた。マリは友達などに手紙を送った。これが明日届くのだ

「明日は元旦か…早いなぁ。年越したの最近のことだと思ってたのに」

そう、1年はあっという間なのだ。特にマリにとっては昨日年越たばかり、みたいな感じだろう

「あ、正月飾りを出さなきゃ」

正月飾りは古代樹の葉と月光樹の葉、それに赤と白が基調のリースだ。これを玄関に飾ると1年間の福を呼び込むと言う。そして朝ごはんと昼ごはんはパンで、あっさりしたものを食べた。夜にたらふく美味いものを食べるためだ

「そろそろ夜ご飯の準備するね」

「ご主人様、私も手伝います」

 

「俺たちにも手伝わせてくれ」

みんな一緒に料理を作る。リクエストがあったシチューにマルゲリータ、カニはもちろん、お刺身やアップルパイ、フルーツの用意もする。料理をしている間にあっという間に日が落ちる。

「みんな先にお風呂入っちゃおうか」

順番にお風呂に浸かり、温まる。上がったら豪華な料理が待っていた

「ほら、みんなが頑張って作った料理だよ!たんとお食べ!」

「こうやって見るとすごい量だな!よし、頂こう」

「う~ん!このシンプルなピザがたまらないんですよ」

「カニ美味しい~!身が詰まってプリプリ!」

「ご主人の作ったシチューは世界一美味い!」

「うん!アップルパイ美味しくできた。甘さと酸味がちょうどいい」

みんなでワイワイ、テーブルを囲んで食べる食事は別格に美味しい

「ん!このカニ美味いな」

「本当ですね!カニ味噌も美味しいです」

「よし、シャンパン開けようか!」

大人はシャンパン、ダリアはもちろんジュースで

「待ちきれずに食べちゃったけど…乾杯!」

「乾杯!!」

暖かい部屋で飲む冷たいシャンパンとジュースは即座に体へ染み渡る

「くぅ…美味いな」

「はぁ、美味しいですね~」

 

「ぶどうジュース美味しいです」ごくごく

「1年ももうすぐ終わるね、あっという間だ」

年が明けたと思ったら、もう年越しだ。ダリアにとっての1年は長いかもしれないが、マリ達にとっての1年は本当に短い。これが圧倒的な年の差なのだ

「キュ!」

「あ、君たち。今年最後の挨拶をしに来たの?」

「キュッキュ!」

「そうみたいだな」

けだまスライムも今年最後の姿を現した。さぁ、夜が更けてきた。楽しみはこれからだ

「ふぅ、結構お腹いっぱいだね」

喋りながらだいぶ食べた。夜も老け、ふくろうが鳴いている。雪は降っていないが夜だから冷え込む。そろそろ外に出なければならない。皆、厚着をして転送魔法陣の上に乗る。魔法陣は青い光を帯び、4人共シンシャ街に転送された

「おお、すごい賑わってるな」

「やはり花火を見に来る人達が多いのですね」

「ううん、眠い…」

ダリアはなんとか目を擦りながら起きている。街は今までにないほどの賑わいを見せて、出店も出ている

「福袋販売開始まで後10分だよー!」

「安いよ安いよー!」  

街にいろんな声が飛び交う中、マリはとある福袋を見つけた 

『ぬいぐるみ福袋 レアが入っているかも!?』

ダリアが好きなぬいぐるみの福袋だった。マリは買ってあげようと目を付けた。  

「さて、花火開始まであと5分だね。今年もお世話になりました」

「こちらこそありがとう」

「来年もよろしくお願いします」

「お願い…します…」

ダリアが眠りについてしまいそうだ。やっとの事で立っている

「ダリア、大丈夫?」

「…ふぁ!大丈夫れす!花火を見るまで起きてますから!」

さらに街が賑わい、人で埋め尽くされる。窓を開けて花火を見ようとしている人もいる。音楽も流れ始めていよいよ花火が打ち上がる

「カウントダウンします!10秒前!」

「5.4.3.2.1、ハッピーニューイヤー!」

音楽が消え、真冬の夜空に浮かんだ花火は鳥肌が立つほどに美しい赤、緑、黄、青と次々花火が打ち上がる。力強くドーンと鳴り響く花火は厄を落としてくれる

「綺麗だね」

「あぁ」

「星と花火が共演していますね…」

「綺麗…」

花火に思わず目を奪われ、息を飲んでしまう。こんなにも美しいのだから、きっと今年も良いことが起こるだろう。20分間の花火が打ち終わると、拍手が巻き起こった。そして飛び交う「あけましておめでとう」の声

「あけましておめでとう」

「あぁ、おめでとう」

「今年もよろしくお願いします」

「お願いします」

そして福袋屋さんの前に来た。ぬいぐるみの福袋とあともう一つ気になったものがあったのでそれも購入した

「わぁ、ありがとうございます!何が入ってるんだろう」

ダリアは目をキラキラさせた。転送魔法陣で家に帰ってくるとダリアはすぐ眠りについた。

「私たちも寝ようか」 

食べたものを片付けてマリ達も眠りにつくのだった。夢の中でも美しい花火が打ち上がっていた

初日の出が昇る頃に起床した。寒さに負けないよう、日光が鋭く森の木漏れ日に刺さる。朝日にとりあえず拝んでおいた

「さて、お正月にふさわしい料理を作っておいたから食べようか」

「キュッキュ!!」

「おや、君たち。あけましておめでとう!」

「キュキュッキュ!」

けだまスライム達も挨拶をしたようだ。身を震わせて喜びを表現している。

さて、元日の朝に食べるもの。それはお雑煮…餅だ。

「いただきます」

「これぞ正月だな」

「お雑煮美味しいですね、よく伸びます」

「ふぁ…温まる…ふぁぁ」

何度もあくびをするダリア。全然寝足りないようだ。大晦日から元旦にかけて寝不足になるのが普通のようなものだ。

「うん、美味しくできた」

あんこ餅も寝不足の頭に糖分を送ってくれる

「甘くて美味いな」

「あんこの甘さもちょうどいいですね!」

「2人はあんこ好きだもんね」

お雑煮もあんこ餅も堪能した。食べ終わった後、ダリアは自室に戻ってお昼寝。マリ達もベッドに横になって本を読んだりダラダラ過ごしていた。

「これぞ寝正月だよねー」

「本を読みながら寝られるって最高だな」 

「幸せですね~」

完全に堕落している。まぁこれも正月だからできることだ。3人共いつの間にか眠りに落ちていた。起きたら昼をすぎておやつの時間になっていた。ダリアはまだ寝ているようだ。実を言うとダリアは早起きが大の苦手なのだ。マリはおやつにレアチーズケーキを作った。ダリアが起きたらみんなで食べよう。

「今日も雪が降ってなくていいね」

「外も比較的暖かいな」

今日の気温は5℃。これでも暖かい方なのだ。するとダリアが寝癖をつけて起きてきた。

 

「おはようございます、すみません長く寝てしまって…」

「育ち盛りだからいっぱい寝た方が良いんだよ」

マリがダリアの髪を梳かしてあげる。ダリアの耳がピコピコ動いて面白い。尻尾も緩やかに動いている。さて、ダリアの髪がサラサラになったらおやつタイムだ

「いただきます」

「ん!チーズの風味がしっかり効いていて美味い」

「とっても滑らかですね!」

「ザクザクのクッキーが美味しいです」

「レモン果汁もほのかに効いてるね」

レアチーズケーキは皆の大好物だ。たまにしか作らないから美味しい。お正月は何を食べても許される。その分、太るかもしれないが。

…魔王のことなどすっかり忘れていた。

「…おいマリよ、浮かれすぎて俺を忘れるな…寂しいだろうが…」

魔王はマリの事を遠隔で見ていた。意外と寂しがり屋なのかもしれない魔王なのであった。

翌日、魔光石おみくじをやる事にした。魔光石おみくじとは、白い魔光石を割った光の色によって吉、凶を占うものなのだ。白い魔光石はとても脆くて手で折れる。紫が凶、青が吉、黄色が大吉と言ったところだ

まずはマリから。パキっと魔光石が音を鳴らすと青い光が放たれた。

「吉だね」

次はマチ。力を入れすぎて粉々になってしまったが、ちゃんと黄色く光が放たれている

「大吉だった」

「マチ、凄いね!」

その次はジェイド。割った途端に虹色に光り輝いた

「え?これはどういう…」

「ジェイドおめでとう!特大吉の演出だよ!」

「ええ!?凄いですね!」  

そして最後にダリア。結果は紫、凶だった

「………」

「そんなに落ち込むことないよ、うちには幸せを呼ぶけだまスライムが居るんだから、ね?」

「モキュッ!」

「…そうですね」

ものすごくガッカリしていた。耳がぺたん、となって尻尾がピクリとも動かない。

「そうだ。じゃあこれダリアにあげるよ」

と言うとマリはダリアにけだまスライムのぬいぐるみを渡した。

「…あ、可愛いぬいぐるみだ!」  

途端に耳がピンっと跳ねて尻尾を勢いよく振った。余程ぬいぐるみが好きなのだろう。ぬいぐるみに頬ずりをしている

「ご主人様、ありがとうございます。私今、吉が舞い込みました!」

「よかった、私が作ったぬいぐるみなんだ。可愛がってね」

喜んでくれてよかった。ちなみに朝ごはん、お昼ご飯はもう済ませている。今は午後だ。自家製のブライトニングハーブティーを入れて落ち着いている所だ。ブライトニングハーブは風邪予防、美肌効果が期待される

「このハーブティー結構まろやかで美味しい」

「香り高いな」

気分によってミルクや角砂糖を入れるが、マチとジェイドは必ず角砂糖を3つ入れる。甘いのが好きなのだ。

皆和んでいると、ドアが鳴った。開けるとそこに居たのはケット・シーのジャルミンだった。

「あけましておめでとうにゃ。新年の挨拶に来たにゃ」

紳士の格好をしたジャルミンを家の中に入れた

「久しぶりだね、あけましておめでとう」

「そうだにゃ。1年ぶりかにゃ?…そうにゃ、お土産を持ってきたにゃ。みんなで食べるといいにゃ」

ジャルミンがお土産にシュークリームを買ってきてくれた

「これ、1つは辛いやつにゃ」

「え、ロシアンルーレット的なやつ?」

「皆さんで楽しんで欲しいと思って買ってきたのにゃ」

「そっか、ありがとう」

ジャルミンにはホットミルクを出してあげた

「ご馳走になるにゃ」

「このシュークリーム、5個入りだよね。せっかくだからジャルミンも食べない?」

「にゃっ!望むところだにゃ!」

5人でロシアンルーレットをする事になった

箱に入ったシュークリームを出すと結構大きかった。中に何が入ってるんだろう…

「食べたいものを指さしで決めようか」

せーの!で指を指したが誰ひとつ被らなかった。これは奇跡だ

「またせーの、で食べるよ」

せーの!あむっ。

「うん、カスタードクリームだな。美味いぞ」

「美味しいですね!」

「濃厚な甘さ…好きです」

「うん、美味だにゃ」

「ううう辛い!辛いよぉ…水、水!!」

どうやらマリが当たりを引いたようだ。中には、わさびが入っていた。マリが涙を流しているのでマチとジェイドが心配して水やら牛乳やらを持ってくる。

「ご主人、大丈夫か!」

「あぁマリ様、なんて事でしょう」

「ゲホゲホッ、だい…じょうぶ…」

未だに涙目のマリ。背中をさするマチ。ぎっしりと詰められたわさび…これはあまりにも残酷なゲームだ

「もう!お土産にこんなもの持ってくるだなんて、ジャルミンさん貴方って人は!」

珍しくジェイドが激怒した。

「す、すまないにゃ…面白がってくれると思ったのにゃ…そんなに辛いとは想像もつかなかったのにゃ…」

悲しそうに耳を垂らすジャルミン

「だ、大丈夫だよ。まさかこんなに辛いとは思わなかったけど、皆が引かなくて良かった」

「にゃあ、なんて優しいのにゃ…」

マリの心の広さにジャルミンは目をウルウルさせた

「今度はまともなものを買ってくるにゃ!」

ジャルミンはそう決心した。そうしてしばらくジャルミンと話していると日が暮れてきた。ジャルミン、ご飯食べてく?と、マリが提案し食べていくことにした

「コカトリスのチキンバーガーだよ!食べてみて」

「にゃあ!美味しそうだにゃ」

「美味しそう、ではなくて美味いんだ」

「じゃあ早速いただきますにゃ」

食べてみると、ふかふかのパンに挟まれたジューシーなコカトリスの肉とキャベツ、それにタルタルソースが絡み合って美味い

「にゃ~!なんて美味いのにゃ、こんなの初めて食べたにゃ」

「うん、これは美味いな!」

「タルタルソースが合いますね」

「美味しいです」

「うん、これは上出来だね」

皆、また笑顔になった

「ご馳走様でしたにゃ。とても美味だったのにゃ!」

「それは良かった」

「今度はちゃんとしたお土産を持ってくるにゃ。じゃあ、ありがとうにゃ」

「うん、また来てね」

ジャルミンは満足そうにマリの家を後にした。ちなみに、ジャルミンは幻樹の森にある大木に住んでいる。大木の根っこ部分に大きな穴が空いているのだ。ケット・シーはこの世界では珍しく、多分幻樹の森でしか見られないだろう

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