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久々のギルドへ

Auteur: はるさめ
last update Date de publication: 2025-12-14 13:44:27

幻樹の森から西に30分歩くと、光の街と言われるシンシャ街がある。そこの冒険者ギルドへ何年かぶりに顔を出す

「久しぶり」

ギルドの受付嬢であるエルフが目を見開いた

「あらマリ様!お久しぶりでございます!ギルドマスター!マリ様がお越しですよ!」

ギルド内がドタバタし、あちらこちらからコソコソ話しが聞こえる

「あれって噂の…」

「永玖の守護者!?SSランクのパーティーじゃねえか!」

扉から出てきたのは茶色い髭を伸ばし、背は低いのに屈強なドワーフだ。

「お前たち久しぶりだな!」

「久しぶりだね、ゼヒネル」

ゼヒネルと言うこのドワーフこそギルドマスターである

「今日は何しに来たんだ?」

「魔法薬と材料を買い取ってもらいたくてさ」

「よしわかった!こっちへ来い」

連れてこられたのは買取専門コーナーだ

「今日はどんなものを売りに来たんだ?」

「回復薬に透明薬、記憶薬、無眠薬…それと」

「すごい量だな!」

「あと、エンシェントドラゴンの爪と牙ににヘルハウンドの爪、ダイヤウルフの皮…あとミミックから出てきた宝石」

「おお…これはすごいな」

量が多すぎたのか応接室に案内されたのだった。どれもこれも高額で買取できるほどの品質でこれ以上のものは無いだろう

「買取に少し時間がかかるが…それでも良いか?」

「うん、街を探索してるからいいよ」

ギルドを後にすると魔鉱石店に立ち寄った。マチは鉱石が好きだからだ

「どれも良い品だな…」

見極めている。特に星写しの魔鉱石に目をつけた

「これは高純度の魔鉱石だな…しかも取れる場所がとにかく少ないんだ」

(マチは石を見ているだけで楽しそうだなぁ…)

マチは星写しの魔鉱石を買った。夜になると石の中に星座が写し出されるものだ。続いて紅茶の茶葉が売ってる店に来た。ジェイドが何かを買うらしい。

「食べられるフルーツティー!?こんな物があるなんて…薔薇の紅茶もいい…買います!」

こうしてジェイドは紅茶の茶葉を手に入れた。続いて向かったのはダリアの大好きなぬいぐるみの店だ

「二ーブールのぬいぐるみ…可愛い…」

二ーブールは主に綺麗な川に生息する動物で、カワウソに少し似ているのだ 。ダリアは二ーブールのぬいぐるみを購入し、とても満足そうな顔をした

「よし、そろそろギルドに戻ろうかな」

「ご主人は何も見なくていいのか?」

「私はみんなの幸せそうな顔が見れて満足だよ」

そう、それがマリの幸せだ。ギルドに戻ると査定は完了していたようだ。

「よう!査定が終わったぞ」

応接室に行くと紅茶が出され、お金が渡された

「大金貨5枚に金貨8枚だ」

  

「こんなにいいの?」

「そりゃあどれもこれも品質が良いからなぁ!さすがはハイエルフの作った魔法薬だ」

ゼヒネルは紅茶をひとくち飲むとこんな事を言った

「魔族もちらほら出てきているみたいだしなぁ…お前さんたち、もう冒険はしないのか?」

「冒険は好きだよ。また行きたいと思ってる」

「なら、魔王を倒しに冒険に出るのはどうだ?」

「そうだなぁ…でも今の生活も好きだしなぁ」

マリは頭を悩ませる。魔族が増え、魔王がでてきたらマリが倒さなければならない。魔王はマリにしか倒せないのだ

「まぁ、たまには森の外に出て見るのも悪くないぞ」

「そうだね、考えてみるよ」 

そうしてギルドを後にした。帰ろうと思い、街を出たところで異様な魔力を感じた

「よぉ、久しぶりだなマリ。そしてストラス」

上から声がした。見上げるとそこに居たのは、黒い羽を広げた美貌を持つ男だった…悪魔だ。

「ベリアル…」

「お前…何しに来たんだ」

すぐさま戦闘態勢に入る。ベリアルは首を横に振った

地上に降りると

「おいおいそんな目で見るなよ…悲しいだろ?」

と、うすら笑みを浮かべる

「そろそろ魔王サマが目覚めるんだよ…だからそれを伝えに来てやったんだ…ストラスさんよぉ、まだ使い魔ごっこやってんのか?」

…ストラスと呼ばれているのはマチだった。ストラスは悪魔の名前だ。ふくろうの格好をし、使える人の前では人の姿を取る

「…ご主人に召喚されて俺は契約を結んだんだ。お前とは違って、人をいたぶり命を奪うことはしない」

「ストラス、お前は天文学に薬草学、鉱物学が得意な博識な奴で人の命は奪わない…はぁ…ガッカリだよ。何の面白みもない」

「人の命を奪って何が面白いのか俺には理解しかねる」

ベリアルは深いため息を吐く

「ところで…マリ、俺のところには来ないのか?」

どういうことなのか。理由は不明だがマリは以前から悪魔であるベリアルに求婚されているのだ。

「渡すわけないだろ。俺のマリだ」

「ふーん、そうか。要するに…お前マリにゾッコンなんだな」

何を言われようが顔色一つ変えないマチ。ジェイドとダリアは話に入っていけないようだ

「まぁいい…すぐに魔王サマが目覚める。マリは俺達のものになる」 

 

そう言うと羽を広げ羽ばたき、瞬く間に消え去ってしまった

「私は魔王のものにはならないけどね」

とマリはウンザリした顔を見せた。ジェイドは震えながら涙を流し、ダリアは心配そうな顔をした

「大丈夫だよ。私、魔王なんかより強いから。でもびっくりさせたかな、マチが悪魔だって知って…」

「いいえ…その事は以前、悪魔学の本を読んでいた時にピンと来たんです。ただ、その本にはストラスは悪魔の中で最も博識で穏やかで…人の命を奪うような悪魔ではないと書かれていたので……マチさんを信じました」

ジェイドは涙を流しながら答える。ダリアも頷いた。

「正直驚きましたが、ご主人様とマチさんが何千年と共に生きてきた中で人を殺した、なんて話聞いたことがありません。私もマチさんを信じます」

マチは少々驚いたような顔をして「そうか、ありがとう。」と微笑んだ

家に帰ってくると、皆どっと疲れた顔をして椅子に腰掛けた

「はぁ…まさかベリアルに会うなんてツイないなぁ」

「そうだな…それに魔王が目覚めるのか」

「私達のスローライフを壊さないで欲しいわ…全く。魔王が直々にこっちへくるべきよ」

「確かにそうだな」

「あの悪魔ベリアルに会うなんて…恐ろしかったです…まぁ魔王の方がもっと恐ろしいですが」

「私、ご主人様のお役に立てるでしょうか…」

皆思い思いの事で頭を悩ませていると腹の虫が鳴いた

「腹が空いたな」

「よし、手軽に食べられるものを作ろう」

早速調理に取り掛かる。ふわふわのパンに卵や‪ハム、チーズ、レタスを挟んで調味料を塗る…サンドウィッチの完成だ。もうひとつはシルバーガーリックのスープ

「よし、いただきます」

「うん、美味い!」

「ふかふかのパンに大きめの卵とマヨネーズのまろやかさが合いますね~!」

「ん!ハムの塩味とチーズの深い味わい…美味しいです」

シンプルな具材だからより美味しさを感じるのかもしれない

「ガーリックスープもコクがあるな」

食欲をそそるガーリックの強烈な香り、しかし優しい味わいで体の底から温まる。満足のいく食事だった。

その後、片付けを済ませると悪魔の書を皆で見ていた

「このサターン・ルシファって奴が魔王だよ」

「ひぃ…名前からして恐ろしいです」

「でも私たちが倒さなければならない存在」

「俺は戦いの才能はあまり無いからな…」

「でもマチは地獄の大君主って呼ばれてるぐらいだから、本気を出すと相当強いんだよ」

そう、マチは自分では戦いの能は無いと言っているが

実力はマリの折り紙付きである。一度マリと戦ったことがあるからだ。その時はマリにかすり傷を負わせたが、マリに傷を負わせたと言うだけで相当強いのだ。

「みんな強いよ。私が特訓や訓練をさせたのも実力を上げるためだから。その実力を遥かに上回る結果を出してくれたでしょ。それだけで充分、悪魔とやり合える。」

「俺はご主人のものだからな。…あいつら相手には全力を出すつもりだ。」

 

「うう、私も頑張ります…」

「ご主人様の役に立てるように全力で!」

みんなの士気が上がっている。マリは勝機があると確信した。今まで一人で魔王と悪魔に立ち向かい勝ってきたからこその自信だ。

「みんな安心してね、私一人でも魔王に勝てるんだから」

5000年以上生きたハイエルフの実力は半端じゃないことを我々は知る事になる。

「今日の夜ご飯は決めた!ヒイズル牛のオニオン増し増し牛丼ね!」

「牛丼か!またあの美味いやつが食える!」

…だが、のんびりライフは今まで通り続くのであった

翌朝、窓の外を覗くと真っ白な光景が目に映った

(夜のうちにこんなに雪降ったんだ…)

ボーっとしていると

 「ご主人様、明日はクリスマスですよ!」

と、ダリアが楽しそうにしっぽを振っていた。明日は待ちに待ったクリスマスだ

「そっか、もうクリスマスか…早いね」

ハイエルフにとって1年は1日にすら満たないかもしれない。ただ「この時」を、一日一日を楽しむのみ

「明日は七面鳥にクリスマスケーキ、やることいっぱいだね」

「すごく楽しみです!」

まだ16歳のダリアはクリスマスが楽しみで仕方がないだろう。5000年以上生きたマリですら楽しみなのだから

「ホワイトクリスマスだな」

「この冷え込みだと明日も雪が降りそうですね…」

今日は多分氷点下10℃まで行ってるんじゃないだろうか。暖炉の火を絶やさないように薪を入れる。そしてみんな厚着をする。今朝の朝ごはんはパンとコーンスープ。何らいつもと変わらない。

だが、クリスマスの前の日だからか皆ソワソワしている。まるでクリスマスを心待ちにしている子供のようだ。

(今日はクリスマスイブだから、祝ってプレゼント交換しよう)と、マリは密かに思っている

魔光石に魔力を流すとクリスマスの装飾がキラキラと光り始めた。暖炉の横にある大きなクリスマスツリーが1番存在感がある。

「綺麗だな」

「いつ見ても素敵ですね!」

「わぁぁ……!」

まだ子供のダリアが1番目を輝かせている。雪が降っていて朝でも暗いので、電飾があると一気に心まで明るくなる。

「今年もサンタさん来てくれるかな…」とダリアが言ったので、「うん、お利口にしてたから絶対来るよ」とマリが頭を撫でた。ダリアはまだ「サンタさん」が誰なのかを知らないみたいだ。

 

(純粋でいい子だなぁ)と、マリは思うのだった。

昼ご飯はマルゲリータピザを焼いた。トマトソースの赤、モッツァレラチーズの白、バジルの緑はまさにクリスマスカラーだ。

「いただきまーす」

「チーズがトロトロでよく伸びる」

「トマトソースの酸味とバジルの爽やかさが合いますね!」

「生地がパリパリな所とモチモチの所があります!」

「うん、シンプルで美味しいね」

朝、昼は軽いものでご飯を済ませた。それは夜に取っておきの物を出すためだ

「夜は楽しみにしててね」

「お、一体なんだろうな」

「楽しみですね」

「わぁ!早く夜にならないかなぁ~!」

ダリアが大きく尻尾を振って、耳を横に倒している。

嬉しい証拠だ

夜になるまでクリスマスの本を読んだり、歌ったりして楽しんだ。さて、肝心の夜までもう少しだ

ついに夜が来た。雪も降ってきてまさにホワイトクリスマスだ

「さぁ、どんどん召し上がれ!」

七面鳥(ターキー)にローストビーフ、ブッシュ・ド・ノエルにシュトーレン。どれもクリスマスを代表する食べ物ばかりが並んでいる

「いただきまーす!」

「うん!このターキー、油っぽさが全くなくて味がしっかりしていて美味しいな」

「こっちのローストビーフはお肉が柔らかくてソースとの相性が抜群で美味しいです!」

「ターキーしっとりしていて、美味しいでふね。さすがご主人様でふ」もぐもぐ

みんな幸せそうな顔をして料理を食べている

「うん、美味しいね!」

そして本日のメインデッシュ、ブッシュ・ド・ノエル!

「うん、濃厚な甘さで口溶けがいいな…美味い!」

「しっとりしていて美味しいですね~!」

「甘い…美味しい…!」

「あぁ、今年も上手くできてよかった!」

ホッとしたのもつかの間、プレゼント交換だ

「まずは私からみんなにプレゼントね!」

マリは袋を渡した。中には3人分のマフラーが入っていた。それぞれ色違いだ

「暖かくていいな、ありがとう」 

「みんなそれぞれ目の色のマフラーですね!」

「ふかふかしてます」

毛糸で編んだマフラーだ。とても暖かい。

「次は俺だな」

マチは袋を渡す。ジェイドのプレゼントは耳に被せるタイプの耳あて。ダリアのプレゼントは東の国の食材や料理が全て載っている本。マリのプレゼントは高純度ミスリル鉱石で出来た包丁だ

「いつも耳が冷たくなるので嬉しいです」

「わぁ、まだ知らない料理がある…」

「すごいね、この包丁!ありがとね」

マチはお礼を言われて少し頬が赤くなった。高純度ミスリル鉱石で出来た包丁はキラキラと青く光っている

「続いて私ですね」

ジェイドは袋を渡した。マチには紺色のロングコート。ダリアにはエプロン。マリには高純度鉄製フライパンを。

「コートとか普段着ないからな、嬉しいぞ」

「新しいエプロンだ!ありがとうございます」

「わぁ!調理器具いっぱいだね、うれしいよ!」

皆それぞれいろんなプレゼントを貰って喜んでいるが

最後はダリアだ。何やら細長い紙袋に入ったものを取り出すと、中から出て来たのは和酒だ

「和酒か、嗜むのにちょうどいい」

「私すぐ酔っ払ってしまうので少しだけ…」

「和酒か!飲んだことないなぁ、どんな味なんだろう。早速飲んでみてもいいかな?」

ダリアはシャンパングラスに和酒を注いだ

「どうぞ」

まずは香りを嗅ぐ。微かに米の匂いがする。そして呑んでみると…

「ん!コメの味が口の中に広がって美味しいね!」

「うん、美味いぞ。飲みやすいな」

「あぁ、キレがあっていいですね~へへへっ」

ジェイドの顔が赤くなっている。これ以上飲ませるのは危険だ

「みんな、ありがとう!すごく嬉しいよ」

「俺もだありがとう」

「それは私のセリフですよ~ははっ」

「ありがとうございます…嬉しかったです」

みんな思い思いのプレゼントを渡し、喜んでもらえてさぞかし嬉しいだろう。皆の心が暖かくなった

「ふふふ、皆さんももっと飲んでくださいよぉ~ほらほら~」

「ちょっと、これ以上飲んじゃダメだって!」

「おいお前、飲み過ぎだ」

こうなると止めるのが大変だ。だがまだ聖夜は始まったばかり

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