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陽動作戦

Autor: 一一
last update Fecha de publicación: 2025-06-30 21:00:00
 時は少し遡り、序列大会の前日。

 レイ達4人は序列大会に向けての最後のミーティングを行っていた。

「さて、この2年間の間で完璧とは行かないまでも、出来うる限りの仕上がりには持ってこれました。よく諦めずにここまで来れましたね」

 労いながら純粋に感心するニイルに、やる気に満ちた顔で答えるレイ。

「当然よ、今更諦める訳無いじゃない。言ったでしょう?強くなる為なら何だってするわ」

 今、4人は潜伏場所として選んだザジの家に滞在している。

 ここは他国どころか大陸すらも別なので、ニイルの予想通りここまで追っ手が迫る事は無く、修行に専念する事が出来た。

「度々セストリアに潜入し調査しましたが、明日はかなりの人数が序列大会に参加するそうです。ほとんどの参加者には後れを取る事は無いでしょうが、恐らく強敵も混じっているでしょう。決して油断しない様に」

 この2年でレイは常人よりも大幅に成長した。

 体も成長し、知識も増え、何より経験値と生まれついての類まれなセンスにより、今や人類の中でも上位の強者と呼べるだろう。

 しかし、神性付与保持者セルヴィやそれに準ずる力を持つ者には苦戦を強い
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  • バケモノが愛したこの世界   継承

     突然の、耳を疑う提案。 誰もが反応出来ないでいる中、フェンリルは意に介さず続けた。【もちろん、存在そのものが『神喰の巨狼』になる訳じゃない。あくまで比喩的な表現さ。正確に言うなら僕の『神性』を受け継がないか、という提案だね】 本当に神になる訳じゃないから安心して、と続けるが、それでも理解が及ばない一同。 特に言われた本人であるランシュは、今までレイが見た事のない表情で固まっている。【あれ?ここは笑いどころだと思ったんだけどな?そんな簡単に神になれるかって】「お前はもう少しジョークセンスを磨いた方が良いな……どこも笑う要素が無かったぞ……」【そうなの?おかしいな……】 ニイルの指摘を受けて笑うフェンリルに、ようやく緊張が解れたのか、空気が弛緩するのを感じる一同。 そのタイミングで、代表してニイルが疑問を投げ掛けた。「まず、何故彼女なんだ?候補なら他にも居るだろう?ここは亜人の国なんだから、獣人族ならいくらでも居る筈だ」 その問いに、逆に今度はフェンリルが首を傾げる。【ん?なんでそんな事を聞くんだい?君の『眼』なら何だって視える筈じゃなかった?】 それにバツが悪そうな表情で、ニイルが答える。「今はお前と同じでほとんど『力』を使えないんだ。だからかつて程色々と視る事が出来ないんだよ」【なるほど。道理で君の力の反応が薄い訳だ。ならちゃんと説明しなきゃね。初めて聞く子達も居るし】 得心いった風に頷きながら、全員に語る様にフェンリルは続ける。【亜人達の成り立ちはニイル、君も知っているだろう?】 その問いに頷きを返すニイル。 それを確認してフェンリルは続けた。【なのでここでその事を詳しく話すつもりは無い。言わなくても良い事だしね。

  • バケモノが愛したこの世界   乱入者の正体

     自らの右腕を犠牲に放った一撃。 必殺とはいかずとも、確実に戦闘不能に陥らせると確信していたソレを凌がれ、更に今までの傷が瞬く間に回復していく。 流石のレイも、脳内に敗北の2文字が浮かび上がった。(やっぱり手加減してもらっていた訳ね。悔しいけれど受け入れるしかない、か……) 唇を強く噛み締めながら、折れそうになる心を叱責する。 ディードの怒気も合わさり、心身共に震え上がりそうになるが、剣を構え直し真っ直ぐに前を見つめる。(私が負けるだけなら良い。でもこの戦いには私の家族も巻き込んでしまっているのよ。なら、せめて刺し違えてでも彼を倒す。でなければ合わす顔が無いわ) 決闘だから死にはしない。 そんな甘えた考えを捨て、ここで生命の全てを燃やし尽くす事を覚悟した時、突然目の前に巨大な銀狼が現れた。 その幻想的な迫力に、戦闘中であるにも関わらず。 思わずレイは見入ってしまうのだった。【⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎?】『原初の海獣』と同じく脳内に声が響く。 しかし、それはとても柔らかな声色だとレイは感じた。「⬛︎、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎!⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎……」【⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎?】 急いで森人族達が膝をつき、代表して長老が口を開くが、その表情には多分に焦りが含まれている。 見ればディードですら恭しく頭を下げている状況。 誰もが動けないでいる中、ただ1人だけ、ニイルだけがその銀狼に近付いていく。(泣いてる?) その表情を見たレイがそんな風に思う程に、ニイルは今までに見た事が無い表情をしていた。【⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛

  • バケモノが愛したこの世界   決闘の行方

     遅れてやってきたニイル達一同が目にした光景、それは正しく死闘と呼ぶに相応しいモノだった。 レイとディード、両者共に満身創痍であり、最初の頃の高速戦闘では無くなっている。 しかし一瞬一瞬の鋭さ、瞬間的な速度は寧ろ増しており、少しの判断ミスが敗北に繋がる、そんな様相を呈していた。(まるで『前剣聖』を彷彿とさせるな。流石弟子だっただけある) その光景に、かつて出会った老人を思い出すニイル。 全盛をとうに過ぎた身体であった筈なのに、彼の振るう剣筋はニイルですら見切るのが困難だった程。 刹那に込められた速度は、人間の出せるソレでは無かった。 レイも今、その域に達したのだと一目見て理解する。(魔法を使っているとはいえ、『剣聖』を超えた訳だが……) そんなレイの成長に、思わず笑みを浮かべそうになるニイル。 しかしそれ以上に、今まで感じていた違和感が大きくなっている事にも気付く。 その違和感を確かめるべくニイルが『神威賦与』を『発動した』時、戦況が大きく動き出した。「そうと決まりゃあ!」 ディードが叫んだ瞬間、更に攻撃の鋭さが増す。 それだけでは無い。 攻撃のタイミングで絶妙に緩急を付け、そこにフェイントも織り交ぜていく。「くっ……!」(今まで直線的な行動が多かったから対処しやすかったのだけれど、いきなり戦い辛い戦法になったわね!) その急な戦い方の変化に表情を歪ませるレイ。 現在、レイは移動直前のディードを視て、次の攻撃を予想して対応している。 それは『神性』による身体能力の変動が、レイの『眼』に映らないからであった。 移動や攻撃の軌道は読めても、タイミングまでは完全に把握する事は出来ず、経験と勘、そして『雷装』で無理矢理埋め合わせていた。 そんな状況でタイミングを狂わされれば、如何にゾーン状態と言えど苦しいものが有る。 何せ綱渡りの状

  • バケモノが愛したこの世界   新たなる領域

     ――負けたくない。 次第に音が聞こえてこなくなってきている事に気付かず、レイは願う。 何故負けたくないのか。 これは決闘であり、負けても死にはしないのに。 ――私の目的を達する為に、ディードは越えなければならない壁なの。 目的とは何か。 ――全てを奪った『ルエル』に復讐する事よ。 家族は出来た筈。 ならばもう忘れて良いのでは? ――他の誰が忘れようと、これは私の願望で、絶対に果たさなきゃならない渇望なの。(だから私は……) レイの視界から色が消えていく。 最早限界なのだろうか、そんな折れそうになる心を叱責する様に叫ぶ。「ここで彼に勝ちたい!」 その答えに満足する様に。【ならどうすれば良いかは、もう視えているでしょう?】 そんな誰かの声が聞こえた気がした…… 気付けばレイの視界に映る全てのモノが、スローになっていた。 実際にそうなっている訳では無い。『雷装』によって強化された知覚能力が、ゾーンに入った事により極限にまで引き上げられた事による現象だった。 海で入ったゾーンよりも、更に深い集中状態。 故にレイには全てが視えた。 彼我の距離。 相手の視線。 微かな筋肉の動きから、呼吸のタイミング。 それだけでは無い。 地面の状態や、戦闘に利用出来そうな周囲の状況。 身体の構造が分かるのなら、相手の疲労度も理解出来て当然。 つまり、次にディードが行うであろう動きが、手に取るように分かってしまって。 そして未来が視えても、その動きに現状はついてこれないと言うのも解ってしまった。 なのでそれに対応出来る様に身体が、脳が、意識する前に行動を開始する。 今まで不可能だった、『雷装』の瞬時出力変更。

  • バケモノが愛したこの世界   『紫電』の『女王』VS『暴食』の『獣王』

     攻略法が有る。 その言葉を聞き不快に感じるでも無く、寧ろディードは歓喜に震えながら言う。「ほぉ?攻略法……ねぇ?ま!そうじゃなきゃ面白くねぇわなぁ?」 だがディードは内心、レイの言葉はハッタリだと考えていた。(何せさっき良いのが入ったからなぁ?手加減しねぇでぶち込んだあの拳。常人なら穴が空くレベルのアレを、モロに喰らってもピンピンしてんのは想定内だが……大分堪えた筈だろ) ただでさえ魔力の消費も通常より多いのだ。 心身共に限界が近く、それ故に油断を誘っているのだろうと。 それに何より……「テメェの剣を手放しちまって、何が出来るってぇ!?」 そう叫ぶと同時に『神性』を解放。 目にも止まらぬ疾さでレイへと飛び込むディード。(獲った!) 魔法を発動する暇も与えず、ディードの動きに対応出来ないレイはこの攻撃を回避出来ない。 ――そう考えていた。「っ!?」 拳を繰り出す寸前、ディードの生存本能が最大級の警告を鳴らす。 それに従い咄嗟に防御体勢に移った瞬間、強烈な衝撃が襲い掛かる。「ぐうおぉぉぉぉぉ!」 その威力は凄まじく、木々を巻き込みながらディードを遥か後方へ吹き飛ばし、更にはニイルの張った障壁すら破壊してようやく収まった。「な、なんだ!?何が起こった!?」「あのバカ娘が!それは想定外だぞ!」 初めて見る光景に慄き、狼狽える森人族達。 反してニイルは呆れと怒りを込めて叫び、結界の再構築を開始する。 まさか魔法が効かない相手に、自身の奥の手たる魔法を使うとは思っていなかったのだ。 失敗すれば一気に魔力枯渇で倒れるか、吸収した魔力で瞬殺されてしまうだろう。 博打に出た弟子を見ながら、結界の強度を上げる事を決意する。 そんな爆発の中心地に居たディードは、土煙でその姿を確認出来ない。 しかしレイの|切《

  • バケモノが愛したこの世界   違和感

    「首領殿がただの人間程度に負ける筈が無いと思っていたが……やはりバケモノの貴様が連れ歩いてるだけあるという事か?」 と、苦虫を噛み潰した様な表情で言う長老。 他の森人族達も驚愕に顔を歪ませながら、目の前の光景に見入っている。 そして言われた当人であるニイルは、長老を一瞥するだけで視線を戻し、無表情で返す。「そうやって他を見下してるから……人間にすら迫害される様になったんだと、お前達はいつになったら気付くのかね」 その言葉に、咄嗟に言い返そうと口を開く長老だったが、目の前の戦闘を目の当たりにし、言葉を紡ぐ事が出来ない。 いやそもそも、長老も他の森人族達も。 目で追う事すら出来てない時点で、目の当たりと言っても良いのかどうか怪しいところでは有るのだが。 それ程までにレイとディードの決闘は、常軌を逸していた。(高い魔法の素質に胡座をかき、停滞を続ける森人族達と。数も技術力も常に上がり続ける人間達。どちらがより優れている種族か、考えるまでも無いだろうが) 内心苛立ちながらニイルは思考する。 もちろん、全ての森人族がそうだとは思っていない。 しかし、この『森』に住まう者共は軽蔑に値すると、今も昔も変わらず考えていた。 このままでは近い未来、ここの住人は人間に搾取される側になるだろうとも。 その証拠を現在、レイが体現していた。 圧倒的速度でもって一撃離脱を行うレイ。 彼女の最も得意とする戦法であり、かつディードも先程の速度を出せないのか、防戦一方の状態に見える。 確かに見る者が見れば、レイが優勢だと考えるだろう。 だが、ディードの『神性』がその現実を否定する。 一撃当たる事にその傷は瞬時に回復し、その攻撃が次第にかすり傷しか負わせる事が出来なくなり、そして今では完全に防がれるか回避されている。(普段より魔力が減り続けるレイに対し、近付くだけで能力が向上して

  • バケモノが愛したこの世界   新たなる門出

     ベルリとの戦いから4日が経過した。  現在レイ達4人は、かつてザジとレイが住んでいた家に居る。  ザジが死んでから誰も手入れをしていなかったのだろう。  家具等は埃を被り、傷んでいる所も多数。  周囲も雑草が生い茂り、荒れ果てていた。  1日かけて4人で手分けをし、人が住める様になったのが昨日の事である。  そして今日、今まで居た宿から荷物を全て持ち出し、当分の拠点として一先ずの完成を見たのであった。「さて、それでは今後の事について話をしましょう」  一段落し、ランシュが入れてくれたお茶を飲みながら、ニイルが切り出した。  それを受け、レイは何故ここに居るのか、その原因であ

    last updateÚltima actualización : 2026-03-17
  • バケモノが愛したこの世界   建国記念日

    聖暦1592年 この日、セストリアのほとんどでお祭りが催されていた。  首都のセストは勿論の事、その他の地域でも大半が大なり小なり今日という日を祝い、そして大いに盛り上がっている。  そう、今日この日はセストリア王国の、建国300年の記念すべき日なのであった。 300年というと、全国的に見ても比較的浅い歴史を持つ国に位置する。  そして当初は大国の反乱から生まれた小国と言われており、最近までは数ある小国の内の1つとしか認識されていなかった。 それが今ではズィーア大陸最大の国として領土、国力共に発展したのには理由がある。  それは約15年前、ルエルという男がこの国にやってきた事から

    last updateÚltima actualización : 2026-03-17
  • バケモノが愛したこの世界   第1回戦

    「さぁ皆様お待ちかね!遂にこの時がやって参りました!3年の時を経て本日開催されます序列大会!司会進行は私、いつもお馴染みバラン・ラーバンが務めさせて頂きます!」 数多の観客が詰め掛ける中、遂に始まったこの国最大の武闘大会。  司会が高らかに謳い、それに呼応する様に周りの客席から歓声が飛び交う。「今回の会場も例年通り、騎士団の皆様が日々鍛錬に励まれている修練場をお借りしています!ですのでこの場を借りて、常に私達の安全を守ってくださっている騎士団の皆様と、そしてここにお越し下さっているセストリア王国の王、デューレル・ド・レブン・セストリア陛下に感謝の意をお伝えしましょう!ありがとうございます

    last updateÚltima actualización : 2026-03-18
  • バケモノが愛したこの世界   第3回戦

     レイとニイルの両名が無事勝ち残り、少しのインターバルの後、3回戦目が開始された。  控え室にて自分達の出場を待つ選手達に混じり、レイとニイルも通話魔法にて作戦会議に勤しむ。 今回の議題は次の試合、レイとスノウの試合について、である。  今までは特に対策せずとも勝ち上がれたが、流石に今回の相手には入念な準備が必要だとのニイルの判断であった。  レイは自分の得物の手入れをしながら、ニイルの言葉に意識を割く。(先程の会話ではほとんど何も得られませんでしたが、2回戦目を見るに速度重視の魔法も使える剣士、という印象でしたね)  貴女と同じ戦闘スタイルですね、と、続けるニイルに同意するレイ。

    last updateÚltima actualización : 2026-03-18
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