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キャラクター紹介

last update Date de publication: 2025-07-02 18:00:28

第1章 辻沢のこのごろ

◆主要登場人物

○藤野 夏波(フジノ ナツナミ)<主人公・語り手>

 藤野家の養女。辻沢女子高校3年生。6月30日生まれの18才。

 前園十六夜に運命を感じ園芸部の創部メンバーとなる。

 入部後、作業用AIに学習させているうちに「偶然」庭師AIを生成する。

 「日本庭園の辻女園芸部」の知名度を足がかりに

 卒業後は十六夜とともにメタバース内へのディストリビューターでの起業を目指す。

○藤野 冬凪(フジノ フユナギ)

 藤野家の養女。辻沢女子高校3年生。12月31日生まれの17才。

 幼い頃から藤野ミユキの薫陶を受け

 将来フィールドワーカーを目指す

 専門は過去に起きた事故、事件の社会的要因を探る

 アクシデント・インシデント・エスノグラフィー(シデント・エスノ)

 現在の興味は20年前に辻沢で起った

 辻沢要人連続爆死案件の調査。 

○前園 十六夜(マエゾノ イザヨイ)

 ヤオマンホールディングス創業家のお嬢。

 辻沢女子高校3年生。8月生まれの18才。

 ヤオマンHD前会長爆死後に生まれた。

 園芸部創部メンバー兼部長。

○佐倉 鈴風(サクラ スズカゼ)

 辻沢女子高校1年生。15才。

 園芸部所属。

 本当はゲーム部に入りたかったが十六夜からの強引な勧誘に屈して入部した。

 ツール類の習得が早く、次期部長候補。

 VRブースに火を入れるのはこの人の役目。

○藤野 ミユキ

 夏波と冬凪の養母。

 N市立大学社会学部准教授。

 フィールドワークが専門。

○野太(ノタ)クロエ

 藤野ミユキの大学時代からのパートナー。

 N市で最も人気があるガールズバー「Reign♡In♡Blood」の経営者。

 経営は他の人に任せ、所有するVRゲームチームに帯同して世界各地を

 飛び回っている。

○ユウ

 血のつながりはないがクロエと瓜二つの顔を持つ謎の女性。

 夏波の誕生日だけ藤野家に現れてカレーパンマンのミニぬいぐるみを置いてゆく。

 夏波は産みの母でないかと思っているが、不明。

◆辻沢女子高等学校

○川田校長先生

 辻沢女子高等学校校長。

 元バスケ部顧問だけあって、ゴミ捨てのコントロールはいい。

○遊佐(ユサ)セイラ先生

 夏波たちの担任(教科不明)。

 以前ヤオマンHDの子会社YSSで働いていたらしい。

○響(ヒビキ)カリン先生

 保健室の先生。

 以前ヤオマンHDで働いていたらしい。

◆辻川市役所

○「帰って来た」辻川 ひまわり町長

 高校3年生の時に失踪(女バス連続失踪事件)したが数年後突然帰って来た。

 失踪していた間の記憶はない。

 父親の辻沢町長の爆死後、しばらく他人が務めていた町長の座を奪い返し町長となる。

 2期目。

◆ヤオマンホールディングス

○前園 日香里(ヒカリ)会長

 ヤオマンHDの会長、アントレプレナー(創業者)。

 辻沢という小さな街の八百屋を一代で世界的なコングロマリットに成長させた大立て者。

 あることがきっかけで10年以上表に出てきていない。爆死した前会長は元夫。

○伊礼(イレイ)魁(カイ)社長

 ヤオマンHDの社長。事実上の経営権限者。

 六道園プロジェクトの受託者。

 十六夜と夏波の園芸部を物資面でサポートしてくれている。

 庭師AIからは大殿と呼ばれている

○Zen@mi(ゼンアミ)

 夏波が作業用AIを学習させていたら突然生成された庭師AI。

 六道園プロジェクトのプロジェクトマネージャー。

◆遺跡踏査の人たち

・調査員(全員マスク着用)

○赤(アカ)

 班長。語尾にでちゅと付けると受けると思っているおじさん。

○佐々木

 副班長。中年男性。

○曽根

 記録係。若い男性。

・作業員

○ブクロ親方

 痩せていて若く見えるが30代。

 鞠野教頭から譲られたバモスホンダ360に乗る。

○豆蔵(マメゾウ)くん(=ユンボくん)

 2mを越える巨体の高校生。

 何故かシャムシール(新月刀)を持っている。

○定吉(サダキチ)くん(=ミニユンボくん)

 筋トレマニアの髭面の高校生。

 何故かシャムシール(新月刀)を持っている。

○江本さん(=ティリ姉さん)

 夏波たちにエグい苦労話をする人。

◆その他

○高倉さん

 前園家のお手伝いさん。

 調由香里の首のありかの情報を夏波たちに教えてくれる。

○千福 まゆまゆ

 六道辻の爆心地近くの土蔵に住む謎の双子姉妹。

 それぞれ白黒の市松人形のような格好をして

 白黒市松人形の中から登場する。

○夜野 まひる

 伝説のVRゲームアイドル。鈴風の推し。

 20数年前、冬のオホーツクに搭乗機が墜落して帰らぬ人となった。

○チブクロ

 元々は夜野まひるのファンクラブだったが、

 今は、浄血というスローガンで血を集めて夜野まひるの復活を

 祈念するカルト集団化している。

◆辻沢要人連続爆死事案の犠牲者。

 ○調(シラベ)由香里(ユカリ)

  辻沢を裏で牛耳ると言われる六辻家筆頭(辻王)当主。

  爆死はしなかったが自宅で首なし遺体で見つかった。

  ヤオマンHD会長の前園日香里とは幼なじみで、

  ユカ、ヒカと呼び合う仲だった。

 ○辻川 雄一郎町長

  辻川ひまわり町長の父親。

  六辻家(辻まん)当主。

  元は東京で反社をしていたらしい。

  青物市場で野垂れ死にそうになっていたのを

  前園萬太郎に拾われ辻川家の養子となる。

  市役所の倒壊事故の前の町長室での爆発に巻き込まれて

  亡くなったと言われているが遺体は発見されていない。

 ○千福オーナー

  辻沢不動産のオーナー。辻沢の長老。

  六辻家(辻一)当主。

  六道辻の爆心地で爆死した。遺体は発見されていない。

 ○前園 萬太郎ヤオマンHD前会長

  ヤオマンHD現会長の元夫。浮気者のサイコパスと噂されていた。

  自宅爆発事故で死亡。

◆鬼子△とその他の人外◇

 △鬼子(オニコ)

  人狼の一種で、満月新月の夜に自失して獣身の「ボク」に変化し、地下道や青墓にいる屍人、ヒダル、蛭人間や地縛霊等の人外を滅殺して回る。

 △鬼子使い(オニコツカイ)

  鬼子が自失している間に人を害さないよう監視する役を担うもの。満月新月でも「ボク」にはならない鬼子の亜種。

  鬼子に自分が鬼子であることを悟らせないよう、明け方の自失から目覚める閾(しきい)の間に元の生活圏に連れ戻す。

  鬼子とは、前世、現世、来世の永劫の時に渡って、赤い縁(エニシ)の糸で結ばれている。

 △夕霧太夫(ユウギリダユウ)

  鬼子使いの始祖。

  街道一の楼閣、阿波の鳴門屋の名妓。

  絶世、傾城、別品とはこの遊女のためにある言葉。

  病に伏しているときに、焼き討ちに遭い焼亡した建屋の下敷きとなるが、

  後に伊左衛門らよって掘り出され、故郷青墓への旅に出る。

 △伊左衛門(イザエモン)

  鬼子の始祖。

  夕霧太夫付きの禿。海に身を投げ浜に打ち上げられたところを夕霧太夫に拾われた。

  死を予感した夕霧より印(しるし)の薬指を授かり、死後、墓より掘り出して故郷の青墓へ連れ帰るように頼まれる。

 ◇辻沢のヴァンパイア

  妓鬼(ギキ)ともいう。

  始祖の母宮木野から派生した吸血鬼の血統。

  母宮木野が死後出産した双子の宮木野と志野婦の子孫。

  吸血行為は必要だが、吸血行為でヴァンパイア化(V化)しない。

  宮木野の血を引く者のうち双子として生まれた者はどちらかがヴァンパイアの因子を保有し

  大量の血液成分を摂取するか浴びるかすると覚醒してV化する。

  非保有者はV化した兄弟姉妹に死ぬまで血を提供し続ける。必ず先に死のでその役目は子供に引き継がれる。

   双子の両方が因子の保有者で覚醒した場合は、他家から餌となる双子を調達する。

 ◇屍人(シビト)(=ゾンビ)

  辻沢のヴァンパイアに吸血されても感染しないが、失血死した場合は屍人(ゾンビ)となる。

  辻沢の青墓の杜や地下道に生息し、滅殺してもしばらくすると青墓のどこかで

  復活して未来永劫濁世をさ迷い歩くと言われる。

 ◇蛭人間(ヒルニンゲン)

  非合法バトルゲーム「スレイヤー・R」のエネミー。主に青墓の杜に生息する。

  ヤオマンHDが屍人を人為的に改造したホムンクルス。

  ハンプティーダンプティーのような体形で、両手の指が鋭利な鉤爪状に

  なっている。

  男は、改・ドラキュラといい、坊主頭にセーラー服。

  女は、カーミラ・亜種といい、三つ編みにセーラー服。

  「スレイヤー・R」のプレイヤーのスレイヤーを見ると襲って来る。

  通常一体二体ごとに出現するが、時に青墓中を埋め尽くすほど出現することがある。

 ◇ヒダル

  ダル神のこと。「だるい」の語源という説もある。

  行路死亡人、行き倒れた人の残留思念。

  行路で弱った人に取り憑き人格を乗っ取ると言われる。

  長い坂道などでひもじくなって歩けなくなった時はヒダルに取り憑かれているので、

  掌に「米」の字を書いてそれを呑むふりをするとヒダルが騙されひもじさが直るという言い伝えがある。

  辻沢の「ひだるい」は疲れたを意味する方言。

第2章 辻沢のあのころ(20年前)

◆辻沢市役所

〇エリさん

 町長室兼広報室秘書。

 実質的な町長室の支配者。

◆ヤオマンホールディングス

○前園 日香里社長

 HDの実質的経営者。

〇響 カリン

 経営戦略室付きのOL。

◆辻沢女子高等学校

○鞠野教頭先生

 ミユキ母さんの大学生時代の指導教授。

 ミユキ母さんたちの神隠し事件後に大学を退官して辻女の教頭になる。

 辻沢に来た夏波たちにまゆまゆさんからのミッションを授ける。

 バモスホンダ360に乗る。

 発進するとき「全速力で参りましょう」というが超のろい。

◆辻女バスケ部員失踪事件関係者(24年前)

○川田先生

 バスケ部顧問。

○調 レイカ

 元バスケ部マネージャー。

 調由香里の娘。

○響 カリン

 元バスケ部シューティングガード。

 高級国内スポーツカー、エクサスLFAに乗る。

○遊佐 セイラ

 元バスケ部サブ。

○千福 ミワ

 元バスケ部センター。副キャプテン。

 千福まゆまゆの母親。

○蘇芳 ナナミ

 元バスケ部パワーフォワード。

 辻沢一の山椒農園主。

●辻川 ひまわり

 元バスケ部ポイントガード。キャプテン。

 連続失踪事件の最初の失踪者。

●ココロ

 元バスケ部サブ。

 連続失踪事件の二番目の失踪者。

●シオネ

 元バスケ部スモールフォワード。

 連続失踪事件の三番目の失踪者。 

◆その他

○高倉さん

 調家のお手伝いさん。

○作左衛門さん

 蘇芳家に居候する青年。

 人の目を覗き込む癖がある。

○コミヤ ミユウ

 夏波が鞠野フスキに名乗らされる名前。

○サノ クミ

 冬凪が鞠野フスキに名乗らされる名前。

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  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   エピローグ 鈴風の物語 十六夜との約束(3/3)

     部活動棟の屋上は日本庭園になっていた。枯山水というのだろうか、水はなくて緑の芝生と黒い岩、波紋がついた白い砂利のコントラストがとても綺麗だった。「ここは、あたしが潰したリアル園芸部が作ったらしい。荒れ放題だったけれど、今は業者を入れて管理させてる。創業家の権力を行使してね」 明るく笑った。その表情とは逆に潰した責任を感じているのが分かった。いい人みたい。「でさ、頼みなんだけど」「何でしょう」 この時あたしはクチナシ衆の立場を忘れて話を聞く気になっていた。それはこの前園十六夜という人の人を惹きつけてやまない魅力の虜になったからだと思う。ひよりさんがこの人のことを鬼って言うのも分かる気がした。こんな強いオーラ、普通の人なら魅了されるに決まっているから。「鈴風さん? それとも風鈴って呼べばいい?」 咄嗟に思ったのはこの人には本名で呼んでもらいたい、だった。「鈴風でお願いします。呼び捨てで」「じゃあ、鈴風。あんたの妖術をあたしにかけて」 あたしがとぼけていると、この前園十六夜の体を使って志野婦を再爆誕させる「身中蛹化」のことだと言った。「死にますよ」「知ってる。それを死なないようにかけて欲しい」 「身中蛹化」をかけて母子を入れ替えろ。つまり志野婦でなく前園十六夜を再爆誕させろということだった。それが前園十六夜の頼みだった。「そんなことしたら、十六夜さんが神様になっちゃいます」 それはそれで人としての死を意味していた。「分かってる。でもそうでもしないとこの街のカルマは解消しないから」 前園十六夜は枯山水の白砂の中に踏み入って立ち止まると、空に両手を突き挙げ背伸びをしながら言った。「神様なら新しい世界が作れるだろ?」 とても簡単そうに言ったけれどそんなことどう考えても無理に思えた。でも、前園十六夜ならそれができそうな気がした。「わかりました。やってみます」 それは当然、わたしが拠って立つ人たちを裏切ることだ。赤さんたち、大殿、志野婦様をだ。でもわたしはなぜだかそれが今選べる一番の方法のような気がしたのだった。 部活動棟の非常階段を降りながら前園十六夜が、「神様になったらこの風景も眺めるしかできないのかな?」 辻沢ヴァンパイアの始祖、宮木野の遺訓、「人為は須くこれに従うべし」 これは辻沢の人たちとの融和を促すために

  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   エピローグ 鈴風の物語 十六夜との約束(2/3)

     5限は古文。退屈過ぎ。「お弁当後に小野ジーは反則だろ」 授業が終わって目覚めたひよりさんがよだれを拭きながら言った。わたしもそう思うけど、あなたは食べ過ぎなのよ。で、6限はなくてホームルームの後、ゲーム部へ。 前園記念部活動棟は今年出来たばかり。カフェテラスあったり、柱廊下に窓には緞帳カーテン下がってたり、ゴージャス過ぎて目が眩む。「ここのデザイン、ヤオマン屋敷デザインした人と一緒なんだって」 ひよりさんは色々知ってて時々何者? って思う時ある。「セークン先生の弟子の弟子の弟子の人」 誰? セークン先生。ひ孫弟子とかもう関係なくない?「そうなんだ」 ゲーム部は人気があるから、部室に入りきれないほどの一年生が集まっていた。「どうする?」 ひよりさんもあきらめ口調になってる。「他見に行こうか」 ということで二人で部活棟を歩き回ったけれどどこもパッとしない。そろそろ帰ろうかってなった時、廊下の突き当たりの部室のドアが空いていたので覗いてみた。VRブースが二機置いてある。それも最新のでグレードも最上級機種のようだった。正面の柱にきったない字で『えんげー部』と大書されていた。花とか植えるのにVR必要か?「ここ見ていかない?」 振り返るとひよりさんが遠くから首を振っていた。「どした?」「そこ、鬼が住んでるから。誰も入りたがらないから」 鬼て。聞けばこの学校を経営するヤオマンHD創業家のお嬢様が部長を勤めてるらしい。部員も三年が一人で、一年なんて入り込む余地もないという。「ちょっとだけ」「あたしはいいから。一人でどぞ」 逃げてった。どうしよ。ちょっとVRブースだけでも、抜き足差し足(死語構文)「ゴラ!」 ヒーーーッヒ!「ごめんなさーい」 一瞬身構えた。

  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   エピローグ 鈴風の物語 十六夜との約束(1/3)

     |妾《あたし》、いやいや今はわたしだ。わたしは女学生になった。志野婦様の真っ青な制服と違って辻女のはデザインが古臭いけど嬉しい。女学校の制服に袖を通す日が来るなんて思ってもいなかったから。 小学校を出てすぐに千福楼に売られたから制服を着るのは初めてのことだ。|印《しるし》を見て遊女になる前は楼で下働きばかり、女学生なんて昼に使いに出された時チラッと見るだけだった。同い年くらいの制服姿の子たちが繁華街で色付き水を飲みながら楽しそうにお喋りしてたけど、自分とは関係ない世界だと思っていた。 今年の春前、赤さんに呼ばれて拠点に行くと突然言われた。「風鈴太夫。JKになってくだちゃい」「JKになれとはよ」「知らないのでちゅか? 女子、高生のことですよ。そんなことでは時代に置いてきぼりを食らいまちゅよ」 語尾の「ちゅ」はスルー、わざわざ「ジョシ」J、「コウセイ」Kって指で書いたのウザかった。赤さんは若いつもりかもだけど、あなたがとっくに置いてきぼり(死語構文)だから。 JKになった目的は二つ。一つは志野婦様の魅力を女子高生の間に広めること。もう一つは志野婦様復活のための形代を探すこと。これまで別の人間が凌奪していたけれど、そういう子たちはみな形代にする前に死んでしまった。それで形代にするにふさわしい人間が分るのは「|身中蛹化《しんちゅうようか》」の使い手であるわたしだということになって、お役が回って来たのだった。どうやって探せばいい? 鬼子。あたしは昭和33年の暮れに|柊《ひいらぎ》と|田鶴《たづ》さんと分かれて以来、鬼子と出会ったことはない。前任者は情報を持っているようだけれど、クチナシ衆のわたしに教えるつもりはなさそうだし。 それで、まず魅力の伝播からすることにした。これはゴリゴリバースを使う。VR空間なら志野婦様の蠱惑的なイメージを潜在意識に刷り込めるからだ。 オリエンテーションとか身体検査とか、JK通過儀礼が一息ついて

  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   3-117.みんなが優しい世界を(4/4)

     あたしは後ろから腰を抱かれて加速した。それは冬凪も同じだった。あたしを小脇に抱えているのは鈴風ではなく志野婦だった。 振り返ると、鈴風、ユウさん、高倉さんが螺旋の外から手を振っていた。あたしたちの目の先には新しい螺旋の渦巻きが出来ていた。「どこへ?」「新しい世界を作るんだろ? 夏波」 その声は十六夜だった。志野婦の中身は十六夜なのだった。微妙にさじ加減を変えて羽化するのを志野婦でなく十六夜にする。鈴風の謀反は完成していたのだった。あたしはようやく十六夜に会えた気がした。「そうだけど、どうやって?」「三人で作るんだよ」「あたしも入れてくれるの?」 冬凪がうれしそうに言った。「ボクと夏波と冬凪の三人で」 螺旋の中心に十六夜と冬凪とあたしが長棹を大地にぶっさすビジョンが見えていた。それはまるで、「そうだよ。国作りだよ」 でも、あたしみたいな女子高生が国なんて作れるとは思えなかった。「自信ない」 十六夜が冬凪とあたしを解放した。三人のスピードが爆上がりになって、ビジョンの中心に驀進しはじめる。どんどん近づくビジョン。「大丈夫。ボクら三人ってさ」 十六夜が自分を指さして、「イザ」 冬凪を指さして、「ナギ」 もう一度自分を指さして、「イザ」 そしてあたしを指さして、「ナミ」「イザナギとイザナミだから」(死語構文) と言って笑った。十六夜と冬凪とあたしは螺旋の中心に激突した。長い暗転の後、目が覚めるとそこは十六夜が最初にギューンした純白の世界だった。何もない世界の中心に長棹が浮いていた。「これが世界樹の苗」 十六夜が教えてくれた。

  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   3-117.みんなが優しい世界を(3/4)

     孟宗竹の道をしばらく行くと、爆心地があったらちょうど端のあたりに瓦葺きの古そうなお屋敷があった。腰くらいの高さの垣根に白い花がビッシリと咲いていて甘いクチナシの香りがただよっている。「旧千福家だよ」 冬凪が言った。 水が打たれた石畳を歩いて玄関前まで行くと格子の扉が開いた。玄関の板の間に和服の女性が正座して頭を下げていた。「千福楼へようこそいらっしゃいました」 頭を上げた顔を見たら千福ミワさんだった。「あの千福ミワさんですよね」「はい、私が千福楼の女将、ミワでございます。さ、遠くからお疲れでしょう? お上がりになって我が宿でおくつろぎください」 いそいそとスリッパを並べるミワさんを見ながら、「千福家って旅館だったの?」 冬凪に聞くと、「違うはずだけど」 なんか様子が変だけどノリで付き合うことにする。「みんなあがろう」 それぞれスリッパに履き替えてミワさんに先導されながら長い廊下をすすむ。「辻沢女子高のみなさまには、毎年修学旅行で使っていただいてますんですよ。はい、みなさまのお召し物で分りました」 ミワさんすっかり旅館の女将だ。「京都は人が多いですね」「この時期は特に混雑しておりまして、お客様にはほんとうにご苦労おかけしまして」 と恐縮して言うけれど、思いつきで言った京都がミワさんのツボに嵌まったらしく、それからずっと京都観光案内をしてくれた。「ここ京都?」「辻沢だから」 それからずいぶん歩いたけれど全然部屋に案内されない。どこまでも続く長い廊下をずっと歩いている。その先を見ると点になるほど廊下が続いていた。「ミワさん。まゆまゆさんに会いたいですよね」 本題を切り出してみた。すると周りの音がなくなって色が褪せ始めた。別世界にズレ込み始めたのだ。ミワさんもカチッとした女将姿ではなく、黒髪を垂

  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   3-117.みんなが優しい世界を(2/4)

     愛した人には誰もがきっとまた会える、だよね。ユウさん。背中のユウさんの重さを感じながら、前世でも現世でも来世でも、きっとユウさんとあたしは会い続けるんだろうと思った。「夏波、もう歩く」 ユウさんが背中で目を覚ましたようだった。「なんだ、この格好。辻女の制服じゃないか」 あたしの背中から降りたユウさんが自分の服装を見て言った。「いやだった?」「そんなことない。何年ぶりかって思って」「え、ユウさん辻女生だったの。じゃあ、あたしたちの先輩?」 冬凪も知らなかったらしい。「そうだよ。悪いか?」「ううん。学校行ってたんだって」「あれを行ってたといえればだが」 「ユウさんは優等生でしたよ」 今度は冬凪の背中の高倉さんが目を覚ましたようだった。「盗んだバイクで走り出したと思ったら猛スピードで壁に激突して無傷だったんです」 あ、軽いデジャヴュが。それなんか覚えてるっぽい。「あら、私まで女学生にしていただいて」 高倉さんが自分の服装に気づいたよう。「和服のほうが良かったですか?」「いいえ。一度着てみたかったんです。私がデザインしたものなのに着られてなかったものですから」 辻女の制服デザインしたの宮木野だった。それでちょっと古くさ(ry。(死語構文) 冬凪、鈴風、ユウさん、高倉さん、あたしの5人は、古き良き辻沢の街を歩きながら目的地に向った。途中は高倉さんの止まらない面白話でまったく退屈しなかった。やがてあたしたちは辻沢の南に位置する辻沢発祥の地、六道辻に着いたのだった。六道辻のバス停から孟宗竹の中を真っ直ぐに伸びる道の先に、大事な人たちはいる。「行こう。千福|母子《おやこ》の元へ」 冬凪とあたしは、千福みわさん。千福まゆまゆ、茉優奈《まゆな》ちゃんと茉優乃《まゆの》の双子の姉妹。三人を会わせる約束を果たすためにここに戻ってきた。

  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   3-116.風鈴の謀反(3/3)

     冬凪とあたしはひだるさまとクチナシ衆が闘っているのを横目に、世界樹の根元に向かった。世界樹の周りは人手が足りてないのか、VRブースとストレッチャ―が放置されていた。ただ一人、鈴風だけがそのそばで立って見張りをしているようだった。「お疲れ。鈴風。もーそろ謀反しない?」「……」 鈴風の真面目な表情は園芸部でVRブースのメンテをしている時を思い出させた。「いやでも、志野婦は貰ってゆくよ。あとユウさんと高倉さんも」「それは……」

  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   3-113.真六道園の庭師(3/3)

     あたしの後ろにいたのはゼンアミさんではなく、小柄な体形はしていたけど、シルエットではなかった。頭はツルツルで茶人のような和装をして顔はおじいさんだかおばあさんだかわからない人。人相がめっちゃ悪いんだけど。「トラギク!」 トラギクは築山に飛んで言った。「藤野姉妹、お久しゅうございます。御覧ください。見事な石の立ち姿を。これもみな、辻沢の神、志野婦のおかげでございます」 そう言いながら池水の上を歩き出す。あたしたちは植栽に隠れながら、相手の出方を伺う。トラギクはあたしたちから目を

  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   3-112.水底の人たち(1/3)

     気づくとあたしは石舟の上で後ろを向いてみんなと向かい合っていた。なんでか冬凪と鈴風も真っ裸だ。あたしは猛烈な光の暴力に晒されて死んだかと思ったけれど、生きてみんなの無事を確認することができたのはよかった。「大丈夫?」「う、うん」 冬凪は生まれたばかりの赤ちゃんのように全身ツヤツヤで光に包まれ輝いて見えた。その崇高さに目が離せないでいると、「ちょっと見つめすぎ」 目を伏せて胸を隠した冬凪を見て我に帰る。冬凪とは小さい頃に一緒にお風呂入った仲とはい

  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   3-111.死せる者と目覚める者と(1/3)

    「まるで屍蝋化した聖者のよう」 冬凪が言った。世界樹の光の中の十六夜は、薄く開けた目蓋の中の瞳に生気がなかった。鼻の穴は狭く、唇は乾いて銀牙にへばり付いている。頬はこけ顎は尖り傾いだ首に見たことのない皺ができていた。「鈴風さんこれはどういうことなの?」 冬凪が聞くと鈴風は声を振るわせながら、「初めての事なので」 とだけ答えた。残酷に聞こえるかもだけど、赤子がどうなったかなんて知らない。そもそもあれは志野婦なんたから。それよりも母体が損なわれたこと、十六夜が死んで

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