LOGIN俺の家系は戦士。俺も戦士、親父も戦士。国は魔法使いしか認めていないというか、俺の家を蔑んでいるが、構わない。俺は日々鍛錬をするのみ!親父には何度も半殺しの目にあった。 そんな俺が王命で幼馴染のカナエと旅に出ることになった。それからいろいろあるのです。いろいろ……。
View Moreここサタハユは言わずと知れた魔法都市。街に出て周りを見渡せば魔法だらけ。
なのにうちは先祖代々戦士の家系。俺は武術を物心ついたころからずっとしている。が、この街で我が家はごくつぶしのような(税金はちゃんと払ってマス)扱い。
戦士は近接、魔法使いは後方支援という思想も古臭く、近接でも戦士要らずで戦えるような魔法が開発されて久しい。
よって“戦士は要らない”というのが常識だ。
まぁ、俺の母親は魔法使いだから、俺はハーフなわけだが……。
「ライガ、ごはんよ」
うーん、俺の飯は親父に出す飯の練習か?失敗作の感じがする。何故なら至るところに炭が……。
「火加減がねー。ほら、お母さん火の魔法苦手だから」
昔、文献で見た。そして、実践した。野宿で魔法を使わずに火をおこし、料理を俺がした方がうまくできそうだ。苦手だからと炭が許されるわけではない。
「水の魔法は得意だから、素材が上手に切れているでしょ?」
そう言われても……、俺ならナイフでスパっと切れるからなぁ。
「じゃ、親父にうまく料理してやれよ」と俺は言い残し(食べ残しもした)、夕食後の鍛錬を庭でしていた。
しかし、魔法というのは厄介だ。
庭で鍛錬していたのを庭の塀を透かして俺が戦士の鍛錬をしているのを見たようだ。全裸じゃなくてよかったな。俺が全裸で鍛錬していたらどうするつもりだったのだろうか?
“のぞき”って犯罪にできるな。あ、対策してるか。普通の家は。うちは別に恥ずべきことをしているわけではないから庭が見えてもいーよーってうちの親父がなにも対策してないんだったな。
ただし、トラップの数は多いから不審者が入ってくるのはまず無理だろうなぁ。“戦士”がバカにされている現実に親父がムキになってトラップ作ったからなぁ。
俺が鍛錬していると、壁の向こうから幼馴染のカナエが声をかけてきた。
「ねー、そっちに行きたいんだけどさぁ。おじさん、めっちゃトラップ仕掛けまくってていけないよ」
「魔法使いならなんとかすれば?」と俺は嘲笑交じりに言った。
「なんとかなるならライガの家、不審者だらけでしょ?」
その不審者は俺又は俺の親父にのされる。でもトラップだらけをかいくぐったから相当の強者か。それならそれで、単純に手合わせをしたいもんだ。俺はしたいが、親父がのしてしまうだろう。可哀そうに。ラストトラップは親父かなぁ?
「お前なら、正規の方法ふめば入れるだろう?」
正規の方法=玄関から、という至極当然である。
「あ、そうか。玄関からね」と軽く答えるが、国をあげて蔑まれている俺の家に正規の方法で。となると、いくら魔法使いといえども同時に蔑まれるのでは?と俺は危惧してしまう。
「んじゃ壁越しでね。ライガって魔法使いの血だってひいてるわけでしょ?」
さっきほぼ炭になった夕食が俺のところに回ってきたわけだが。
「魔法使いと戦士って兼任みたいのできないの?」
「ムリ。俺は長男で、あの家を継ぐ立場。それに魔力もないし、ムリだね」
「魔力ないって魔石あるじゃん」
「そこまで魔法使いに固執してない」
魔石よ……俺の母親の料理をなんとかしてくれ。戦士として、体作りも必要なんだよ。食事の量だって食う年頃なんですけどね!
うーん、俺、ライガとしてはうちの女性陣の結婚先をさっさと片づけたい。親父は「俺のハーレムが……」と言うが、無視しよう。 さて、今回はユイだ。俺の長女なわけだが、俺は親父のようにそんなにハーレム願望もないし、固執はしない。ただ、本人ユイがシュンに固執しているのが問題が。 二人は双子だっていうのに、ユイはいつも「お兄ちゃんと結婚するー」と言ってるし。無理だから。子供の頃は『可愛いことを言ってるなぁ』で済んだが、もう、13か?いい加減兄離れしてほしいもんだ。 俺の子で魔法使いをしてる子(女の子)は、ステータスが普通だ。それ以下?俺は魔法使いに関してはさっぱりわからん。見目はどこの遺伝だろう?何でだろう?いいんだよなぁ、レイカもかなりの美女だし、うちは美形の家系なんだろうか?カナエは可愛い系だと思うけどなぁ。 ユイも「お兄ちゃんより強い人じゃなきゃ嫌!」って言うし。それに該当するのは俺か親父だから無理だっちゅーの!全く困ったもんだ。 どうしよう?うーん、ギルドマスターに相談?こいつらギルド脱退してるんだよなぁ。俺もか。 そうこうしていると、何故か王城からうちに招待状が!! えー、『正装の上、来城願いたい』とな。正装ってどんなのだ?それより、呼ばれたのは、俺とカナエとユイの3人だなぁ。カナエは妊娠初期だからってお断りをしよう。その辺の配慮くらいあるだろう。なくてももぎ取る! 女の正装はドレス?そんなものはうちにはありません!と騒いでいたら、ドレス及び俺が着るタキシードも家に届けられた。「……いつ採寸したんだよ」と呟いてしまった。 俺の体は筋肉だらけでタキシードはオートクチュールになるだろうなぁと思っていたのにちょうどいいし、ユイも同じように体に合っている。王城恐るべし。 で、俺とユイが王城に行くと陛下が開口一番、「うちの皇太子と婚約をしてほしい」だった。ユイは「見た目が良くないとお断りします。あと、強くないと」と言う。恐ろしいのは娘だ。陛下に向かってその口のきき方!皇太子の見た目?知っているのが住んでる人間の常識みたいなもんだろ?って俺も知らないんだけどさ。「力なら権力はある。使い方次第では即刻ユイさんの隣のお父さんの首も飛ぶ」おいおい、それは例えが怖いって。まぁ、ある意味最強だよな。ユイはどうするもんか?「見た目は?」「まぁ、会ってみた
そんな生活してるとレイカが妊娠をした。そうでしょうとも。だって俺だし。「で、性別は?」 お義父さん、そこ重要ポイントなんですね……。「女の子なら、レイカちゃんに似てさぞかし可愛いだろうなぁ……ふふふ」 あ、遠くの世界に行ってしまった。俺に似てたらどうするんだろう?俺だって女の子ならレイカに似ていて欲しい。「まだ性別なんてわかるわけないでしょ!」「レイカちゃん、落ち着いて。お腹に障るから」とカナエちゃんが宥めてくれる。ありがたい。経験者だし。というか、なんかおかしくないか?カナエちゃんも妊娠してないか?「あ、リュートわかる?ライガには自重するように言ってたんだけどねー。レイカちゃんが生まれたのってライガが18くらいの時だから、今でも別にって感じかな?年の離れた兄妹」 俺はジトーっとライガを見たけど、目を逸らされた。なにも逸らさなくたって……。「俺らの気持ちわかります?」とシュンとユイとツカサとラックを代表してシュンが俺に言った。「そうだよな。シュンとラックだって結構離れてる方だと俺は思う。でも俺は一人っ子だからなぁ。それにしても今はないわー」 ライガは目を逸らしたままだし、カナエちゃんも気まずい感じで俯いた。カナエちゃんは悪くないな。うん。これはライガが悪い。
俺の人生は波乱万丈。とりあえず孤児だ。それをカナエちゃんの叔父夫婦が引き取ってくれて、戦士として成長したわけだが。 まさかのまさか。世界の至宝とも言えるレイカさんと結婚することになるとは思わなかった。生きててよかった。 途中何度も死にかけた。というのも、誰に似たのかわからない。俺は極度の方向音痴だ。すぐにどこかへ行ってしまう。故に、子供の頃ライガとカナエちゃんと遊んでいた時はカナエちゃんに魔法で家まで送ってもらっていた。 流石に成人したあとは、互いに知らずに(ライガと旅に出ていてことも、結婚していたことも、サタハユを追放されていたことも知らなかった)、俺は放浪……と言えば聞こえがいいが旅で彷徨って……というか、迷っていた。 おかげで、いろんな国の特殊な技を習得できたりとお得な面もあった。俺はどこの国でも強いらしく、各国で権力者の令嬢との縁談が持ち上がっていたようだが、会話ができないのだ。技を習得は身振りでできるが、結婚は身振りでできない。笑って誤魔化していた。と思われる。 久しぶりにカナエちゃんに呼び出されたら、レイカさんと結婚と言われ、ライガの親父さんに決闘を言い渡され、ちょっと大変だった。この時は特殊な技が役に立った。正攻法でライガの親父さんを倒すのはかなりの難易度だ。ギルドなら超S級だろう。倒す(転倒させる)だけでよかったので助かった。本当に助かった。「なぁ、あの親父を転倒させるの俺にも教えてくれよ」とライガは言う。「いやぁ、あれは俺が方向音痴だからこそ習得できたわけで、簡単には教えたくないです。ところで、ライガの事、義兄さんと呼んだ方がいい?」「やめてくれ。今更逆に気持ち悪い。カナエの事も義姉さんとか呼ぶなよ」 俺も呼ぶ方として気持ち悪かったから助かった。「ところでさー、レイカが起きてっこないのって、お前の体力のせいか?」「多分そうだと思う」俺は素直に言った。 何?柱の陰からジーっとお義父さんがこっちを見てる。「俺のレイカちゃんじゃなくなった……」「しつこいなぁ、親父も。そんなんが、レイカに嫌われる要素だと思う」 ライガは直球できついな。親父心を抉るような……。「そのうち起きてくるでしょ?魔力で体力回復もできるんじゃない?」「いやー、あいつだって魔力の欠乏があるかもしれないぞ」 そうなのか、俺も自重しないとなぁ。
「えーと、俺とレイカさんはどこに住めばいいのかな?」「この屋敷で楽しく暮らそうぜ?カナエもいるし。あとで子供、紹介するな」「お義父さんの殺気を感じるんだけど?」「親父ー。良かったなぁ。俺みたいに殺気感じたら問答無用で体が動く奴じゃなくて。そ・れ・にリュートとレイカの間に子供生まれたらまた可愛いんじゃないか?」「レイカちゃん……」 俺のレイカちゃんじゃなくなった。じゃなくて、リュートさんとの間に子供……。うわー、そういうことになるのか。「きっと強い子だろうなぁ。魔法使いにしても戦士にしても」「ライガは夢を馳せるみたいだけど、産む方はすっごい大変なんだからね!」「はい。わかっております。度々、迷惑をかけているようで」「いや、子供は可愛いからいいんだけど」 おーい、お兄ちゃん。これじゃあ、また増えるぞ。大丈夫かなぁ?カナエさんがしっかりしてるから大丈夫かな? 何で?私とリュートさん、同じ部屋。そして、ダブルベッド?「夫婦なんだから当然です」ぴしゃりと使用人のトップに言われてしまった。「あー、リュートさん?あのー?」やっぱり展開の速さについていかないようだ。そうだよなぁ、だって私は世界で『美女』って有名だったみたいだし。「おい、子供達を紹介するぞー」助かった。お兄ちゃん!「この子がシュン。戦士で15才。双子の妹がユイ。魔法使い。その下がツカサ。魔法使い。10才くらいか?」「13だもん」 こういうとこお父さんに似てるのよね。凹むし。「最後、一番下がラック。戦士。お前が10才だっけ?」「父さん、子供の年くらい覚えて下さい。10才です。初めまして」「ライガの子にしては礼儀正しいな。ああ、カナエちゃんの子でもあるからなぁ。カナエちゃんに似たんだろう(笑)。俺はリュートって名前。今度レイカさんと結婚することになった。この家に一緒に住むからな。よろしく」 うわー、ユイ達にも結婚するって宣言してるし。もう後戻りはできない。「ライガとカナエちゃんの幼馴染でなぁ。俺は方向音痴だからよくカナエちゃんに魔法で家まで送ってもらってた」「そういうば、この屋敷広いけど迷子にならないんですか?」ナイス質問。誰?ユイ?「極力、レイカさんと行動するようにするよ。行方不明だなぁと思ったら、カナエちゃんに言ってよ。サクッとその場に呼んでくれるから」 私の部屋(