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第6話

Auteur: 一時
私は親友の家に引っ越した。

玄関に入るなり、早坂凛(はやさか りん)が私を力いっぱい抱きしめた。

彼女はため息をつく。

「茜、クズ男からの脱出おめでとう。自由になったわね」

そのため息に、鼻の奥がツンとした。

3年前、私が両親の遺したマンションを売って奏太の起業資金にしようとした時、凛は私の鼻先で罵倒した。

「茜!ご両親がそのお金を遺したのは、あんたが一生苦労しないためよ!貧乏人の成り上がり男に『慈善事業』するためじゃないの!

橘奏太みたいな男は、目の中に計算しかないわ。あんたみたいに苦労知らずのお嬢様だけよ、そんな『俺には可能性がある』なんて戯言を信じるのは!」

あの頃の私はどれほど自信に満ちていただろう。

顎を上げ、未来への憧れだけで目を輝かせていた。

「凛、愛があれば何でも乗り越えられるのよ。

彼はチャンスがないだけ。私は彼を信じてる。成功したら、きっと倍にして返してくれるわ」

凛は笑った。

「一生苦労を知らないお嬢様も、愛の苦さだけは味わうことになるわね」

今、その予言は現実になった。

「後悔してる?」

凛が白湯を差し出した。

「死ぬほどね」

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