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第1018話

作者: 北野 艾
柊也は詩織の腰を折れるほど強く抱きすくめ、自分の胸に彼女の顔をすっぽりと埋めさせた。無数のフラッシュの光からも、降りかかる悪意からも完全に隔離するように。

だが――背中を濡らす冷たい感触とは裏腹に、予想していたような、皮膚が焼け爛れる激痛はいつまで経っても襲ってこなかった。

ようやく状況を把握した警備員たちがワッ飛び出し、暴れる母親を取り押さえて容器を奪い取る。

柊也は荒い息を吐きながら、腕の中の詩織を慌てて見下ろした。「……大丈夫か!?どこか火傷は……!」

普段の彼からは想像もつかないほど、その声はひどく上ずり、震えていた。

「っ……あなた、頭おかしいの!?」

詩織の声も、恐怖でガタガタと震えていた。「っ、硫酸だったかもしれないのに! なんで……! あなたの背中、どうなってるの!?」

まさかあの極限の状況で、彼が自分の身を呈して飛び込んでくるなんて思いもしなかった。

柊也は自分の肩越しに背中を振り返り、ふっと息を吐く。

「……どうやら、ただのフェイクだったみたいだ」

手先が痙攣するほど震えている詩織は、彼を突き飛ばすようにしてその背中を確かめた。

確かに、布地が
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