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第61話

Penulis: 北野 艾
向井は馴れ馴れしく詩織の肩に手を置いた。「いやあ、本当に久しぶり!江崎さんはまた一段と綺麗になられた!」

「お褒めいただき光栄です」詩織は社交辞令を返しながら、気づかれないようにそっと身を引いて彼との距離を取る。

この向井という男、業界では札付きで、金と女に汚いことで有名だった。

ただ、投資の目利きだけは確かで、何に手を出しても儲け、この数年で莫大な富を築き上げた。そのため、業界の人間は誰もが彼に一目置かざるを得ない。

以前、彼と仕事で関わった時も、向井は何かと詩織に言い寄ってきた。

自分と一緒になれば、こんなところで馬車馬のように働く必要はない。毎日買い物や旅行をして、俺の機嫌を取るだけでいい、と。

限度額のないブラックカードをくれてやる。

家も車も、自家用ジェットだって買ってやる、と。

生憎、詩織の心は微動だにしなかった。彼女は相手の顔を潰さないよう、うまく彼をいなした。

向井は残念がりこそしたが、それ以上しつこくつきまとうことはなかった。

だが、人の本性はそう簡単には変わらない。仕事で顔を合わせるたびに、どうにかして彼女に触れようと隙を窺っている。

「さすが
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