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七年目に、愛は氷河に沈む
七年目に、愛は氷河に沈む
مؤلف: 雪ノ硯

第1話

مؤلف: 雪ノ硯
飛行機が中東のとある都市に着陸したのは、現地時間の午後八時三十分。

背後では戦争の砲火が夜を昼のように照らし出している。私は夫の渡辺舟(わたなべ しゅう)にメッセージを送った。

【着いたよ。迎えに来たから、一緒に帰ろう】

返事はなかった。

慌てて彼の親友、北村真(きたむら まこと)に電話をかけると、相手は言葉を濁した。

「お、お前、本当に中東まで行ったのか?」

耳元で爆発音が響く。私は焦りで目の前が真っ赤になるようだった。

「彼は一体どの地区にいるの?」

電話の向こうで数秒の沈黙。

「実は、あいつ、出国なんてしてない」

風が襟元に吹き込み、冷たさに身震いした。

彼の声はさらに低くなった。「出張だって言ったのは、嘘なんだ」

電話を切ると、スマホに一枚の写真が届いていた。日付は今日。

舟が目を細めて幸せそうに笑っている。腕に女を抱き、誕生日ケーキのろうそくを吹き消しているところだった。

一目でわかった。

彼女は林優奈(はやし ゆうな)だ。

三年前、舟が私に跪いて誓った相手――「もう二度と会わない」と約束した、あの女。

舟はどうやら忘れているらしい。今日が私の誕生日でもあることを。

スマホがもう一度震えた。

【咲季、実は舟、ずっとあいつとは切れてなかったんだ。二人の仲が良さそうだったから、言い出せなくて】

私は画面を見つめた。

【迎えに来たから、一緒に帰ろう】

そのメッセージは、送信エラーで結局送れなかった。

――それなら、私ももう、彼の帰りを待つのはやめよう。

……

「お客様、避難経路より速やかにご退出ください。この場にとどまらないでください」

空港に再びアナウンスが流れる。私、時雨咲季(しぐれ さき)は一歩踏み出した途端、足の力が抜けてその場に崩れ落ちた。

どれほどの場所を転々としただろう。

最後に帰国の飛行機に乗り込んだその瞬間、私はとうとう声を上げて泣いてしまった。

帰国後、ぼろぼろの姿のまま法律事務所へ向かった。

エレベーターに乗っていると、背後から電話で甘える声が聞こえてくる。

「ねえ、私のあのレースのやつ、誰がポケットに突っ込んで隠したの?こっちは下着なしで来てるんだからね、全部あなたのせいなんだから。

いいよ、楽しみにしてる。あとでどうやって私を罰するのか、見ものだわ」

私は信じられずに振り返った。

林優奈だった。彼女はまだ電話を切っていない。

「そっちの引き出し、ゴムまだ足りるの?」

エレベーターのドアが閉まり、鏡面に二つの顔が映し出される。

一つは艶やかで、化粧も完璧、目尻に笑みを浮かべている。

もう一つはくすんで、目は落ち窪み、唇はひび割れ、パサついた髪をゆるく一つに結んだだけ。

道理で、彼女は私に気づかなかったんだ。

戦火と硝煙をくぐり抜けてきた私は、自分でも自分が誰だかわからなくなりかけていた。

電話の向こうから低い笑い声が漏れる。

「相手によるな。お前となら、いくらあっても足りない」

彼女は甘えた声で返す。「そんなこと言って、もしお宅の奥さんに聞かれたら、また離婚騒ぎになるわよ」

「騒げばいい。どうせもう一度離婚するだけだ」

エレベーターの中は冷房がよく効いている。それなのに、私は誰かに喉を絞められているようだった。

全身が震えているのに、一言も声が出ない。

「もう、また私にやきもち焼かせたいんでしょ?」

彼女は声をひそめ、語尾を跳ね上げる。

「気をつけてね。私、あとで声を出しちゃうかも。そうしたら会社中の人にバレるわよ。渡辺弁護士がまた浮気してて、相手は私だってね」

向こうでまた笑い声。

「お前が声を出す度胸があるなら、俺はすぐにでもあいつに全てを話すさ」

エレベーターのドアが開く。

舟はスーツをびしっと着こなして、一歩踏み出して優奈の腰を抱き寄せると、長く飢えていたみたいに、待ちきれない様子で唇を重ねた。

優奈は笑いながら身を引こうとするが、彼に抱き戻され、さらに深く口づけられる。

彼女は手を伸ばして彼の胸を叩き、くぐもった声で言う。「まだ人がいるのに……」

舟はようやく顔を上げた。

私は慌てて体の向きを変える。目の縁が一瞬で濡れた。

「見せてやればいいじゃないか。俺が一番愛してる人にキスしてるんだ。誰に見られて悪いことがある?」

優奈は彼の胸に収まり、全身を震わせて笑っている。

彼は自分のコートを脱いで彼女を包んだ。

「急に大事な書類を取りに会社に戻らなきゃならなかったからな。そうじゃなければ、一秒だって離れたくなかった」

そう言って、ため息をついた。

「ただ、今回俺が会社に顔を出したってことは、明日にはもう、あいつにバレるだろうな」

優奈は艶っぽく笑う。「わかったわ。今日は何をしてほしいって言われても、なんでも聞いてあげる。これで慰めてあげるってことで」

エレベーターはあっという間に地下二階まで降りる。私は機械的に歩き出した。

そして、彼らが車に乗り込むのを見た。あの、私の誕生日のナンバープレートをつけた高級車に。

ほどなくして、車体が小さく揺れ始める。

私はその場に立ち尽くした。背筋を悪寒が駆け上がり、骨の髄まで冷え切っていく。

誰も知らない。

私と渡辺舟の初めての夜も、車の中だった。

あの時彼は緊張で手のひらを汗まみれにし、ずっと「痛くないか」と私に尋ねていた。

痛くないと言うと彼は笑って、お前はどうしてこんなにいい女なんだと言った。

「咲季、安心しろ。将来、必ずお前を裏切らない」

事の後、彼は私を自分のコートで包み、暖房を最大にした。

私は彼の肩に寄りかかって甘えた。「いつかお金持ちになったら、一番豪華な車を買おうね」と。

彼は「ああ、どんな車を買ってもお前の名義にしてやるよ」と言った。

その後、彼は仕事で成功を収め、私たちは当然のように結婚し、三年間の幸せな日々を過ごした。

――彼と秘書の優奈が同じベッドに横たわっているのを、私が発見するまでは。

財産分与をすべて放棄してでも、離婚を突きつけるつもりだった。

離婚届を出したその日、舟はビルから飛び降りた。

彼は死なず、片足を折っただけだった。病院のベッドに横たわり、私に謝罪し、もう一度だけチャンスをくれと懇願した。

私は心が折れた。彼が完全に回復するまでの半年間、身の回りの世話をした。

復縁後、彼は以前にも増して私に優しくなった。

もう二度と、私を裏切るようなことはしないと誓った。

それなのに、今。

彼に傷つけられたこの心は、ようやくかさぶたになったばかりなのに、また彼によって無残に引き裂かれた。

鮮血が滴り落ちる。
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