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第23話

Auteur: ピーちゃん
賢吾はバーの隅に座り、目の前のウイスキーを三本も空にしていた。

「もう一杯」カウンターを指で叩き、かすれた声で告げる。

バーテンダーが一瞬ためらう。「お客様、もうかなり飲まれていますが……」

「もう一杯って言っただろ!」賢吾が声を荒げると、周囲の視線が一斉に集まった。

ため息をついたバーテンダーは、グラスに半分だけ注ぐ。「これで最後にしてください」

賢吾は黙ってそれを一気にあおった。焼けるようなアルコールが喉を裂き、胃の奥で荒れ狂う。だが彼はただ虚ろな目をしたまま、動かない。

「……あずさ」呟きが漏れた。

次の瞬間、胃を鷲づかみにされたような痛みに襲われ、体を折り曲げる。冷や汗がシャツを濡らした。

「お客様?大丈夫ですか!」

慌てた声が耳に届くが、賢吾は手を振り払い、よろよろと立ち上がる。だが一歩踏み出した途端、膝から崩れ落ち、胃の底から血と酒を吐き出した。

「救急車だ!早く!」

ざわめきが広がる中、視界が揺らぎ、彼にはあずさが入り口に立っているのが見えた。彼女は眉をひそめ、冷たい目でこちらを見ている――

「……あずさ」伸ばした手は空をつかむ――幻覚だった。

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