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第606話
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三年後、侯爵家全員、私に土下座 第610話
章衡が近づいてくるのを見て、傍らの牢番は慌てて礼をした。「章将軍にご挨拶申し上げます」章衡はしかし急がず慌てず、顔色の青ざめた章何を見やり、そこでようやく牢番に向かって言った。「兄上が入ろうとする場所を、そちごときが遮るというのか？」その言葉を聞いて、牢番は慌てて道を開けた。「滅相もございませぬ」章衡は冷たく鼻を鳴らし、ようやく大股で地下牢へ入っていった。章何はもちろん後について行った。地下牢の中の空気はひどく臭かった。湿っぽく、蒸し暑く、隠しようのない腐臭と血の臭いが混じり合い、吐き気を催させた。しかし章衡は明らかにここの空気に慣れきっており、構わず少し離れたところにある卓の前へ行って座り、急須を手に取り、章何に一杯の水を注いだ。「兄上はどうしてこんなに早くお越しになったのですか？」章何の瞳に浮かんでいたのは、かつてないほどの冷たさだった。「彼らはどこだ？」章衡が皮肉込めて『兄上をこの牢にお通ししろ』と命じたのを聞いた時、章何は虎衛がここには監禁されていないと悟った。しかし明らかに、御上様でさえ虎衛は牢獄にいると言っていたのだ！章衡は顔を上げて章何を見やり、低い声で言った。「兄上が来られると察したからには、当然、者を隠さねばならぬ」章何の両拳は固く握りしめられ、胸の内に隠れていたかすかな怒りの炎がますます燃え盛った。「衡よ、一体どうしたいのだ？」その言葉を聞いて、章衡の水を飲む動作がわずかに止まり、再び章何を見て、顔には不可解な色が浮かんだ。「兄上まで、われが私憤を晴らしておるとお思いなのですか？」「でなければ何だ？」章何は冷たい声で尋ねた。「虎衛の方々が泳北のあの山賊どもであるはずがあろうか！」「たとえそうでなくとも、結託しておる可能性はある」章衡の声も次第に冷たくなっていった。「あの虎の頭の刺青が偶然だと、誰が保証できる？！」「それがしが保証できる！」章何はほとんど考える間もなくそう応じた。彼の両手は勢いよく卓に叩きつけられ、その両目は章衡を睨みつけた。「そなたは彼らが民を守るために死に物狂いで戦う姿を見たことがないだろうが、衡よ、それがしは見た、この目で見たのだ！ゆえに、彼らが民を虐殺する山賊と結託するなどと信じぬ！」虎衛は英雄だ。彼と生死を共にした仲間たちが汚されることを、彼は許さない
三年後、侯爵家全員、私に土下座 第609話
近親の愛する人が亡くなるというのは、それだけでもう人を悲しみのどん底に突き落とすのに十分なのに、あの人はさらに天涯孤独の凶星のことを刃物に変え、彼女の心臓を絶えず切り刻もうとしている。昨夜、彼女がすべて自分のせいだなどと言ったのも無理はない。つまり、虎衛が捕らえられたことまで、彼女自身のせいにしてしまったのだ。彼女の日々は元々あれほど辛かったのに、さらに自分にあのような重荷を背負わせようとは。だからこそ、彼女の心は張り裂けてしまったのだ。その時、凝霜が薬を持ってきた。ただお嬢様に早く薬を飲ませることばかり考えており、喬念の顔のあのような驚きと感動に満ちた表情には全く気づかなかった。楚知耀は言いたいことを言い終えると、立ち上がり、喬念を見て言った。「十分に養生しろ。外のことは余が引き受ける。お前は余計なことを考えるな」そう言うと、背を向けて立ち去った。凝霜は何が何だか分からず、ただ薬を匙ですくって喬念の口元へ運んだが、結局やはり好奇心を抑えきれずに尋ねた。「お嬢様、殿下は何をおっしゃったのですか？」喬念はそこでようやく我に返ったかのようで、涙を浮かべた瞳にはしかし笑みが浮かび、凝霜を見て、小さく首を横に振り、それから薬を飲み込んだ。彼女は、先ほど楚知耀が言ったあの言葉をどう凝霜に話せばいいのか分からなかった。兄貴は、元々血まみれだった自分の傷跡をえぐり出して彼女を慰め、彼女はこの世で一番不幸な人間ではないと告げたのだ。だから、兄貴の傷を軽々しく凝霜に漏らしてはいけない。凝霜は唇を尖らせたが、別に喬念が本当のことを話してくれないことを気にしてはいなかった。彼女は慎重に薬を飲ませ、それから言った。「殿下は、少し強面でいらっしゃいますが、あの方は善い方だと思いますわ」先ほど殿下がおっしゃったあの言葉だけでも、殿下が善い方だと証明できる。ましてや、殿下は侍女である自分にまで御典医を診察させてくださったのだ！その言葉を聞いて、喬念は思わず笑い出し、手を上げて凝霜の頭を撫で、かすれた声も喜びに染まっていた。「彼はわたくしの兄貴よ」「本当によろしゅうございました！」凝霜も笑い出した。「お嬢様もこれからは後ろ盾ができましたわね！」これで、あの章将軍がまたお嬢様に危害を加える心配もない！喬念はわずかに呆然と
三年後、侯爵家全員、私に土下座 第608話
楚知耀が一晩中看病してくれたのか？喬念は少し驚いた。彼女は昨夜一体何が起こったのか、あまり思い出せなかった。ただ、章衡が兄上たちを皆連れ去った後、彼女の感情が制御できなくなったことだけを覚えていた。そう思うと、喬念の眉間に深い皺が刻まれた。実に、恥ずかしかった。そう考えていると、外から突然戸を叩く音が聞こえた。凝霜はすぐに戸を開けた。見ると、外に立っていたのは楚知耀だった。凝霜は驚き、慌てて礼をした。「殿下にご挨拶申し上げます」なぜだかわからなかったが、楚知耀の人柄は悪くないのに、彼女はいつも恐怖を感じていた。幸い、楚知耀は凝霜の態度を気にせず、ただ低い声で尋ねた。「念々は目覚めたか？」凝霜はそこでようやく頷いた。「ご報告申し上げます。先ほどお目覚めになりました」そう言って、道を譲った。楚知耀はそこでようやく部屋に入り、喬念がすでに寝床から起き上がり、まだ上着を羽織る間もなかったのを見ても、彼は特に何も感じず、大股で前に進み出て、手を伸ばして喬念の額に触れ、眉をひそめた。「まだ少し熱いな。凝霜、お前のお嬢様の薬は？」名を呼ばれ、凝霜はさらに慌て、すぐに「はい、ただいまお持ちいたします！」と応じた。そう言って、部屋を出て行った。こうして、この部屋には喬念と楚知耀だけが残された。雰囲気は少し気まずかった。あるいは、喬念だけが気まずいと感じていたのかもしれない。そこで、彼女はためらいながら口を開いた。「昨夜は兄貴の看病、ありがとう存じました」そう言って、また自分が泣き崩れたことを思い出し、頬が思わず赤らんだ。「わたくしは普段あまり涙を流すような人間ではございませぬ。昨日は、病のせいだったのでしょう」「うむ」楚知耀は淡々と応じたが、聞き入れたのかどうかは分からなかった。彼の言葉が途切れると、部屋の中は再び静まり返り、少し不気味なほどだった。楚知耀は傍らに座り、彼女を見ようともせず、視線はただ床のタイルに落とされ、何かを考えているかのようだった。おそらく楚知耀の顔のあの傷跡のせいだろう。彼が黙っていると、どこか凶悪な雰囲気が漂った。喬念もまた何を言えばいいのか分からず、構わずうつむき、組んだ自分の両手を見つめていた。どれほどの時間が過ぎたか、耳元から突然楚知耀の声が聞こえた。「母上が亡
三年後、侯爵家全員、私に土下座 第607話
ただ、兄上が章衡を調査に遣わすとは思ってもみなかったし、これほど早く来るとも思わなかっただけだ！どう計算しても、彼が都に戻ってまだ十二刻も経っていない。喬念は楚知耀にどう答えていいか分からなかった。頭がひどく痛み、脳裏には章母のあの「天涯孤独の凶星」という言葉が絶えず巡っていた。そのため彼女はまた疑い始め、本当に、すべて自分のせいではないかと......「考えすぎるな」楚知耀の口癖のようなその言葉が再び響いたが、今回は全く効果がなかった。喬念はますます激しく泣き、まるでここ数日の悲しみと辛さを一気に吐き出すかのようだった。彼女は本当に、あまりにも辛かった。どうして天涯孤独の凶星などと言われるのか分からなかった。どうして大切に思う人々が次々と去っていくのか分からなかった。どうして章衡の手のひらから逃れられないのか分からなかった。一度は冥府の門前まで行ったというのに。どうして？やはり都から逃れられないのだろうか？喬念の感情が突然崩壊したのを見て、楚知耀もどう慰めていいか分からず、大柄な男が彼女のそばに立ち尽くし、全く途方に暮れていた。ところが、喬念は泣いているうちに、声がふと途切れ、体全体もぐったりと崩れ落ちた。楚知耀は驚き、すぐに手を差し伸べて支え、そこでようやく喬念が気を失っていることに気づいた。衣越しにも、彼は熱い体温を感じることができた。彼女の侍女も熱を出したと彼女が言っていたことを思い出し、楚知耀は眉を顰めた。すぐに喬念を抱き上げ、大股で裏庭へと向かい、鋭い声で叫んだ。「御典医を呼べ！」喬念が目覚めたのは、翌日の早朝だった。夏の陽光は早くから熱波を部屋の中に送り込んできたが、喬念はやはり寒さを感じた。傍らで、凝霜が喬念が目覚めたのを見て、慌てて駆け寄ってきた。「お嬢様、ようやくお目覚めになりましたか！喉は渇いていらっしゃいませぬか？お水をお飲みになりますか？」相変わらずの気遣いの言葉だったが、声はひどくかすれていた。まるで喉を潰してしまったかのようだった。喬念は途端に眉をひそめた。「お前の喉、どうしてそんな風になったの？」言葉が終わるか終わらないかのうちに、喬念はその場に呆然と立ち尽くした。彼女の喉もまた、声が出せないほどにかすれていたのだ。凝霜は慌てて水を持っ
三年後、侯爵家全員、私に土下座 第606話
怒りに理性を失った章衡の様子を目の当たりにし、喬念はふと冷笑を漏らした。「ええ、章将軍が事をなされるのに、これまで他人の意見などお聞きになる必要はございませなんだものね！三年前、わたくしをふしだらだとおっしゃったのもそなた、三年後、執拗に付きまとうのもそなた！どうやらこの世のことは、すべてそなた、章衡お一人様の思いのまま、そなたが望むように、すべてが進まねばならぬのでしょう！」喬念の体は激しく震え、心の底から込み上げる怒りが頭に血が上り、両目は真っ赤になり、涙を浮かべていた。怒りのあまり、痛烈な言葉も口をついて出た。「章衡、もしも罪なき人を陥れるようなことをなさるなら、わたくしは必ずそなたと刺し違えます！」兄上たちは彼女のために都へ戻ってきたのだ。もしこのために罪を得るようなことがあれば、彼女は死んでも惜しくない！ただ死ぬ前に、必ず章衡を道連れにしてやる！一方、章衡はその言葉を聞き、全身が凍りつくのを感じた。刺し違える？彼との長年の情誼を、彼女は知り合って二月にも満たないあの男たちのために、彼と刺し違えるというのか？！彼、章衡がどのような人間か、彼女が一番よく知っているはずだと思っていた。たとえ頑固で、根に持つタイプだとしても、善悪の区別のつかない奸臣や小人では断じてない！虎衛の刺青が山賊のものとこれほど似ているのだ。もしこのように徹底的に調査しなければ、たとえ御上様が口を開いたとしても、一体何人が信じるだろうか？ましてや、あの山賊どもは彼の兄弟二人を殺し、羅上の片腕を切り落としたのだ。この血の海のような深い恨みを彼は心に刻んでいる！だからこそ、彼は虎衛と山賊の間に本当に関係があるのかどうかを、さらに徹底的に調べなければならないのだ。もしなければ、無論彼らを陥れたりはしない。しかし、もし彼らの間に関与があったと証明されれば、たとえ最後に御上様がとりなしに出てきたとしても、彼は決して見逃さないだろう！今日、喬念が楚知耀に連れ去られたこと、彼が不本意であったことは認める。しかし、虎衛を逮捕しに来たのは、公務を遂行するためだ！彼女がどうして彼をこれほどまでに卑劣な人間だと思うことができるのだ！拳を固く、また固く握りしめ、章衡は怒りのあまり逆に笑った。「よかろう。共に死ねるなら本望だ」もし生
三年後、侯爵家全員、私に土下座 第605話
その様子に、楚知耀は立ち上がり、章何のそばにいる五郎と七郎を見た。「もう遅い。お前たち、章何を連れて帰れ」五郎と七郎はすぐに承知し、章何を支えて外へ向かった。ところが、章何は数歩も歩かないうちに立ち止まり、振り返って喬念を見つめた。実は今日、喬念の席は楚知耀と一緒ではなかった。しかし今や、章何の角度から見ると、喬念はまるで楚知耀のそばに立っているかのようだった。心になぜか不快なものがこみ上げてきたが、彼はそれを意図的に無視した。なぜなら彼は、今のこの時期、念々が平陽王府に留まるのが最も安泰だと分かっていたからだ。ちょうどその時、数多くの護衛が平陽王府の外から駆け込んできた。禁軍だった。禁軍は御上様を代表しており、彼らが屋敷に入って人を捕らえるとなれば、たとえ平陽王府の護衛であっても、阻むことは許されない。そのため、一行はすぐに平陽王府を取り囲まれた。章何の酔いは瞬時に大半が覚めた。彼は少し離れたところにいるあの副総帥を見て、思わず低い声で問いただした。「何をするつもりじゃ？」副総帥は章何を見ると礼をしようとしたが、彼が口を開く間もなく、章衡の声がすでに一足先に聞こえてきた。「勅命により朝廷の重要指名手配犯を捕らえる。関係ない者は下がれ」陰鬱な声には、一筋の怒りが滲んでいた。章衡は入ってくるなり真っ先に喬念を見つけ、その眼差しはますます陰鬱になった。楚知耀はわずかに眉をひそめた。「余の屋敷に、いかなる朝廷の重要指名手配犯がおるというのだ？」見れば章衡は泳北の山賊の指名手配書を取り出し、冷たく言った。「この刺青、殿下もよくご存知であろう？」楚知耀の胸が沈んだ。「虎衛の刺青は山賊とは異なる。すでに兄上に説明済みだ」「異なるかどうかは、殿下が判断することではない」章衡は冷たい両目で、手を上げてわずかに合図した。「捕らえよ！」禁軍はすぐに前に出て、護衛たちを次々と捕らえた。ここは平陽王府であり、虎衛たちがもし抵抗すれば、必ず平陽王に迷惑をかけることになる。そのため、一人残らず、たとえ心の中で悔しい思いをしていても、禁軍に人を連行させるしかなかった。傍らで、章何は少し焦っていた。「衡よ、無礼を申すな。虎衛は皆、国を護る英雄ぞ。どうして山賊であろうか？」「たとえそうでなくとも、山賊と通
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