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39:変わるのは自分から②

Author: けもこ
last update Petsa ng paglalathala: 2026-08-10 21:00:23

「どう‥‥どうでもよくはない‥‥です」

語尾が少しずつ小さくなる。心のどこかから、もういいんじゃない?どうでもいいって言うんだし、わざわざ自分をさらけ出さなくても、そういう声が聞こえる。小さく首を振って、その声を振り払う。

「昨日は、エリカさんと食事をして、すごく落ち込んでしまって。それで、どうしても廉と話をするのが怖くて」

廉の眉間に皺が寄る。

「なんで、エリカと話して落ち込むことがあるんだ? 何か言われたのか? そんな悪い奴じゃないと思ってたが。言いづらくても何でも教えてくれ。綾香を傷つける言葉は許せないな」

「あ、違う違う。エリカさんは私に意地悪を言ったりはしないわよ。本当に‥‥すごく良い人だから」

廉の顔から目を反らして、大きく深呼吸をした後、口を開く。

「なんでもできて、綺麗で優しいエリカさんがうらやましくて、妬ましくて仕方なかったの。私の何が廉の気持ちを引き寄せられるだろうって思ってしまって。で、何も思い浮かばないから、すっかり落ち込んでしまったの」

言いながら、鼻の奥がツンとしてくる。情けないことに、泣いてしまいそうだ。

「廉のように何でもできる人の隣に立つには、私は余りに出来が悪すぎて、本当に嫌になっちゃって。どうして、もっと頑張って来なかったかなぁ、とか、どうして、もっと綺麗に生まれてこなかったのかなぁ、とか、くだらない劣等感でいっぱいで」

ポタポタと膝の上に握りしめた拳に涙が落ち始める。こんな女々しいのは良くないってわかってるのに、涙が止められない。

「でも、廉が好きなの。ずっと好きなの。隣に立てなくても、傍にいられなくても大好き。どうしていいかわからないくらい好き‥‥」

叫ぶように発していた言葉の途中で抱きしめられていた。シャツの胸に縋り付いて、嗚咽を漏らす。

「俺のことがそんなに好きなの?」

涙が少し落ち着いてきた時に、頭上から言葉が降って来る。いつもの優しく甘い口調。

「‥‥大好き‥‥です」

こもった掠れた声で返す。縋り付いている胸が大きくため息をつく。

「もう一回言って、どのくらい俺のことが好き?」

「どのくら‥‥せ、世界で一番好き‥‥」

小学生の子ども以下の回答力に、涙が引っ込む。再び、笑いを含んだ大きなため息が聞こえる。

「あ、呆れてるんでしょ‥‥それでもいいです。廉に、ほ、他に誰か好きな人ができるまでの繋ぎでいいです。お願いだから‥‥」

顎を掴まれ唇を奪われた。舌が口の中を探り、絡まり合ってさっきまでの憂いを拭い去ろうとする。息が苦しいほどに口づけをし合った後で、優しく唇を離し、廉が笑う。

「そうか、綾香は俺のことがそんなに好きだったのか」

額を押し付けて笑っている。笑われているのかと思ったが、目尻を赤くして嬉しそうに笑っているので、なんだか可愛く感じて、笑わないでと突っ込むのを止めた。

「さて、大好きだと言ったからには、その発言の責任を綾香に取ってもらわないといけないな」

脇を抱えられて、向かい合わせに廉の足をまたぐようにして座らされる。

「綾香は、俺のことを知っているようで知らないと思うよ。そうだな、例えば、綾香の近くに住むためにこのマンションを買ったこととか?」

そう言いながら廉がスウェットの前のファスナーを下ろしている。

「そうなの? いつ?」

「ん? 5年位前? ここができた時だね」

綾香の眉間に皺が寄る。

「また、適当なこと言って。5年前は、私がここに住んでないでしょ?」

「まぁ、それについては、おいおい知ってもらう。それに俺はかなりのやきもち妬きだから、結構束縛すると思うよ。しんどくなったら必ず言って、善処する」

「誰にやきもちなんて妬くの? 廉以上の人なんてそうそういないのに。あっん」

廉が、ナイトブラを押し上げて、こぼれ出た胸に優しく触れ、親指でその先端を押すように愛撫し始める。

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