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41:愛され鳥の啼き声

مؤلف: けもこ
last update تاريخ النشر: 2026-08-14 21:00:09

目が覚めると、昨夜着て来た部屋着で廉のベッドにいた。部屋に時計が無いので時間がわからないが、窓を厚く覆うカーテンの向こうが明るいので、朝が来たのはわかる。体全体が熱を持ったように火照っていて、頭もうまく働かない。微かに部屋の向こうに気配がするので、リビングの方に廉がいるのだろう。

ベッドから下りようとして、体を動かすと、なんだか腰に違和感がある。

「んっ‥‥」

足をついて立とうとした瞬間、足に力が入らず、へなへなと前に倒れ込んだ。

『びっ‥‥くりした』

いわゆるこれは腰が抜けているという状態なのだろうか。床にペタンと座ってベッドを背もたれにして座っていると、物音に気付いて廉がマグカップを持って入ってきた。

サイドボードにカップを置くと、座っている綾香を抱き上げ、膝に乗せてベッドに座った。

綾香を抱きしめ、背中を撫でる。

「‥‥ごめん」

「ひば、だんじ‥‥」

声が変だ。空咳をして、もう一度声を出そうとする。

「ひば‥‥」

掠れた声しか出ない。廉がサイドボードに手を伸ばしてマグカップを渡してくれる。

「蜂蜜入りの紅茶だよ。まだ、熱いかも、気を付けて飲んで」

マグカップを受け取ったのに、廉もマグカップから手を離さない。コクリと飲み込むとガサガサとした喉の違和感がマシになったように感じる。

ふぅ

ため息を一つついてからもう一度聞く。

「ひば‥‥じかん」

全然、ダメ。

マグカップをサイドボードに置いて、再び廉が抱きしめてくる。

「今11時過ぎだよ。どこか痛いところない?」

見上げると、申し訳なさそうな顔で、心配そうに見つめている。

「ひだぐは‥‥ごへが…」

声のあまりの可愛くなさに、話すのをあきらめて背中をさすられるままにした。声は出ないが、倦怠感はあれど体はどこも痛くは無い。どうやら、昨夜、啼かされすぎて喉が枯れたようだ。今日が休みで良かった。

はっと気づいて、再び廉の顔を見つめる。

「ばだしの‥‥げぃだぃ‥‥」

どうやらかろうじて聞き取れたようで、膝から綾香を下ろすと、リビングから携帯電話を持って来てくれた。母にメッセージを入れる。

『ごめんね。寝坊して今起きました。夕方には帰れるようにします』

携帯を操作している綾香を再び廉が膝に抱え上げる。

「今日、向こうに帰る予定だったの?」

コクコクと頷いて、画面に文字を打って廉に見せる。

『クリスマスプレゼントを持って帰る予定だったの。孝くんも帰るって言うし。もしかしたら彼女も来るかも』

「あぁ、エリカも」

は? 文字を打つ手が止まる。目を丸くして、廉を見つめる。どういうこと?

びっくりした顔をしている綾香を見ながら、なんということも無さそうに廉が背中をさすりながら言う。

「まぁ、孝也に会うためにエリカはこっちで就職したんだし、孝也も今後のことを、きちんと家族に話したいんじゃないか?」

思い込みとは怖いものだ。そう言えば、エリカから『廉を追いかけて来た』とは一言も言われていなかった。

「綾香は、この間の食事の時に、エリカから聞いてなかった? まぁ、なんか、兄の彼女としてではなく、まずは人として好かれたい!とか勝手に暴走してたからな。でも、この間、家に行ったときにバレバレだっただろ?」

全然、気づかなかった。あの時は廉しか見て無かったし。はぁ~思わず長いため息をついて、廉の胸に額を擦り付けた。

「どうした? やっぱりどっか辛いのか? その‥‥本当にごめん」

綾香は、廉に心の中で、こっちこそごめんね、と謝った。いろいろと行き違った原因は自分の自信のなさだ。

「今日、どうしても向こうの家に帰る? だったら送って行くよ」

一度、自分の部屋に戻り、荷物を持って廉の車に乗せてもらう。あらかじめ母には、廉に連れて行ってもらうことになったと伝えておいた。

車の心地よい振動でつい眠くなってしまう。

「寝てていいから」

そう言っていつかの時のように廉が手を握ってくれる。車のシートヒーターのおかげで、腰がすごく楽になった。

着く頃には、朝に比べて随分と声も出るようになり、とりあえず、歩けるくらいには回復したのでホッとする。

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