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第119話

Auteur: みそ煮
last update Date de publication: 2026-04-21 11:41:41

瀬奈は湊斗に連れられて部屋へ戻った。彼に部屋の扉の鍵を閉められ、瀬奈は壁際に押しやられて詰問されていた。

瀬奈の頭の横で彼が両手を付き、逃れることなどできない。

「暁家のパーティーで頭から上着をかぶっていたあの女はお前だろう?」

「な、何のことだか……」

瀬奈ははぐらかした。湊斗があのとき自分を疑っていたことには気づいていたが、確信していたとは。湊斗に嘘は通用しない。昔から彼を見て来た瀬奈はそのことをよくわかっていた。

「涼とは一体どういう関係だ?」

「だから、それは私じゃ……」

ここで何かを言えば、涼にまで危害が及んでしまうかもしれない。瀬奈は否定を続けた。

「何も言わない気か?」

「答える必要のない質問だと思うわ」

瀬奈は腕を組んで湊斗を見上げた。彼がどんなことを尋ねてこようとも、答える気は毛頭なかった。

「そうか、ならこうすれば口を開くか?」

「な、何するのよ……!」

湊斗はニヤリと口角を上げながら、瀬奈の服の中に手を入れた。骨ばった大きな手が、彼女の柔らかい太ももをそっと撫でた。

「キャアッ!」

瀬奈は何とか逃げようとしたが、湊斗の手で阻まれた。彼女はさらに強く壁に押し付けら
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    湊斗が瀬奈を連れてやってきたのは、屋敷の外―――かつて二人で何度も過ごしたことのある庭だった。既に日が沈みかけていた。楽しい時間だったせいか、ずいぶんあっという間に感じられる。瀬奈は彼のほうを振り返った。「湊斗、どうして私をここに……?」「お前にどうしても話したいことがあったんだ」そう言うと、湊斗は瀬奈の前でゆっくりと跪いた。赤い夕日を浴びているせいか、彼の頬が僅かに上気しているように見える。「湊斗……?」突然の彼の行動に、瀬奈は目を丸く見開いた。一体何をするつもりなのだろうか。瀬奈はきょとんとした顔で湊斗を見下ろしていた。跪いた彼と視線がぶつかる。「……お前に、きちんと伝えておかないといけないと思って」「伝えるって……一体何を?」その姿勢から、大体察することはできる。それでもわざわざ聞いたのは、聞きたい言葉があったからだろうか。湊斗は跪いたまま、瀬奈の手を握った。彼の両手に包み込まれ、温もりが広がった。「―――瀬奈、俺の過去の罪はいくら後悔したところで到底償えない。それはわかっている」「……」いくら瀬奈が彼を受け入れたとはいえ、湊斗の胸に残る罪の意識はいつまでも消えないままだった。「だが、俺はお前なしでは生きていけない」湊斗は縋り付くような眼差しで彼女を見上げた。そこから続いたのは、もう何度目かわからない愛の告白だった。「少しでも離れているとお前に会いたいと思うし……何なら傍にいても会いたいと思うときがある」「……何よ、それ」傍にいても会いたいだなんて―――瀬奈は思わず笑いそうになってしまった。「俺は冷酷で残忍な人間だから……お前とは似合わない。そのことは誰よりもよくわかっている。だが、この先二度とお前を傷付けないと誓う」「湊斗……」そこまで言うと、彼は胸ポケットから何かを取り出した。白い小さな箱の中から姿を現したのは、シルバーの指輪だった。「結婚指輪……お前がつけてないのが気になっちゃって、用意したんだ」「あら……素敵な指輪ね」瀬奈は左手を彼に差し出した。湊斗は彼女の意思を汲み取り、薬指に用意した指輪をはめた。指でキラキラ光る輪っかに、瀬奈は微笑んだ。「いいわよ、傍にいてあげるわ。だから絶対に幸せにしてね」「瀬奈……!」感極まった湊斗は、勢い余って瀬奈に抱き着いた。瀬奈は湊斗の背中に腕を置き、彼を抱きしめ

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    その後、瀬奈は音痴ではないことを証明するべく招待客全員の前で一曲披露した。ちょうど里亜が泰西からもらったマイクを使って。彼女は湊斗への愛が込められたラブソングを一曲歌い上げた。二十年前の歌ということで、里亜はきょとんと首をかしげながら聞いていた。誠也や真由子は瀬奈に気を使い、パンパンと手拍子をしてあげていた。何とも優しい人たちだった。一曲歌い終わったあと、微妙な空気が室内に流れた。「わ、わぁ~……神宮司さん、とっても上手ね」「そうね……一生懸命さがすごく伝わってきたわ」明らかに上手いとは思っていなさそうだ。チラッと横にいる湊斗に目をやると、口元を手で押さえて笑いを堪えていた。身体はプルプルと震えている。そんなに面白い歌だったのだろうか。瀬奈は湊斗の肩を掴んで問い詰めた。「ちょっと、何なのよ?さっきから失礼じゃない?人が精一杯やってるってのに」「いや、すまない……お前があまりにも可愛らしくて……笑ってしまったんだ」「どういう意味!?」瀬奈は子供のように頬を膨らませた。「じゃあ、アンタが歌ってみなさいよ!」「え、俺が?」突然瀬奈にマイクを渡され、湊斗は呆然とした。なぜ俺が?とでも言いたそうな顔だ。瀬奈はそんな彼に強引にマイクを持たせた。渋る湊斗を後押しするように、真由子や誠也が声を上げた。「あら、それいいですね!社長も一曲歌ってみてください!」「そうですよ社長、人の歌にケチつけるくらいなら自分で歌ってみてください」ここにいる人たちは基本瀬奈と里亜の味方。湊斗アンチも同然だった。瀬奈が受け入れたから黙っているだけで、個人的には彼を許したわけではない。周囲からの刺すような視線をひしひしと感じ、湊斗は仕方なく立ち上がった。「……しょうがないな、一曲だけだぞ」「そうよ、一曲くらい歌いなさい」瀬奈ですら、湊斗の歌声は一度も聞いたことがなかった。彼がどのくらい歌えるのか、見ものである。湊斗は先ほどのお返しだとでもいうかのように、男性向けのラブソングをチョイスした。長いイントロのあと、湊斗はゆっくりと口を開いた。―――彼が歌い始めた途端、室内はシンと静まり返った。普段の湊斗からは想像もつかない、透き通った柔らかい声が部屋に響き渡った。「あら、まぁ……!なんて素敵な歌声……!」女性陣はうっとりした様子で聞いていた。それは瀬奈も同じ

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