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五年の贖罪、明かされた真実に壊れた夫
五年の贖罪、明かされた真実に壊れた夫
作者: ふっくらねこ

第1話

作者: ふっくらねこ
個室の中で、右原貴史(うはら たかし)の膝の上には一人の若い女の子モデル・八野かれん(はちの かれん)が腰掛けている。

周囲の連中は、彼の妻である私の無様な姿を、見せ物のように眺めている。

「貴史、奥さんが本当によく耐えてるんだな!」

「これでも怒らないなんてさ!」

嘲り混じりの声が響いている。

「なあ、賭けようぜ。右原喜代美(うはら きよみ)がいつ我慢できなくなって、自分から這い出していくか」

「俺は二千万円を賭ける。喜代美が貴史から離れるわけがない!」

「じゃあ、俺は二億だ!この女の安っぽい顔を見ろよ、一生しがみついてるに決まってる!」

貴史は鼻で笑うと、隣にいるかれんに激しく口づけをした。

唇が離れた時、そこには銀の糸が引かれている。

彼は私に視線を向け、嫌悪感を隠そうともせずに吐き捨てた。

「見ろ。こいつはこれほどまでに厚かましいんだ。俺が何をしても、必死にしがみついて離れようとしない」

個室の中にドッと爆笑が沸き起こった。

貴史の挑発的な視線を受け止めながら、私は静かに口を開いた。

「私は、自分が今日出て行く方に賭けるわ」

五年だ。明日、父が刑務所から出所する。

私たちの贖罪も、ついに終わりを迎えるのだ。

個室は一瞬で静まり返り、全員の視線が私に突き刺さった。

品定めするような、あるいは蔑むような視線が、私の上を這い回っている。

「喜代美、怒ったのか?」

「今日は何のつもりだ?」

「駆け引きのつもりかよ?」

誰も私の言葉を信じていない。

無理もない。ここにいる誰もが、私が貴史のそばに侍る奴隷だと知っているのだから。

貴史が女を連れ帰れば、私が寝室を片付ける。

シーツを替え、大人のおもちゃを差し出すのも私の役目だ。

私と貴史の視線がぶつかった。彼の瞳は暗く、口元には冷ややかな嘲笑が浮かんでいる。

「喜代美、そのわざとらしい振る舞いはやめろ。

お前は俺に命の借りがあるんだ。そんな口を利ける身分か」

貴史の言葉が、重い槌のように私の胸を打ち据えた。引き裂かれるような痛みが走った。

この言葉を、何度聞かされただろう。

この言葉のせいで、私は耐え忍び、五年間も罪を贖ってきた。

それなのに返ってきたのは、貴史による激しさを増す一方の辱めだった。

五年前、私と貴史が結婚する前日のこと。

海外にいた貴史の父親、右原昌文(うはら まさふみ)が、式に出席するために帰国した。

私の父・堂山耕一郎(どうやま こういちろう)は右原家の運転手で、空港まで迎えに行った。

けれど、帰り道で事故が起きた。

昌文は即死し、父だけが生き残った。

事故の原因は、父の飲酒運転だった。

貴史は、自らの手で私の父を刑務所へと送り込んだ。

貴史との関係はもう終わりだと思った。けれど、彼は式をそのまま挙げると言った。

過去は問わず、仇の娘である私を妻に迎え入れたのだ。

その時、私は誓った。この一生を懸けて貴史に償おうと。

だが、そこは地獄への入り口だった。

貴史が私と結婚したのは、ただ復讐のためだった。

結婚後、右原家での私の扱いは使用人以下だった。

納戸のような狭い部屋に住まわされ、日々、貴史の仕打ちに耐え続けた。

彼が次々と女を連れ帰り、私のプライドを泥靴で踏みにじるのを見せつけられた。

耐えてさえいれば、いつか彼の心を溶かせると信じていた。

けれど、それはただの幻想に過ぎなかった。

私は瞳に滲む熱いものを押し込め、貴史を見据えた。

「貴史、もう五年よ。私の罪は、もう返し終えたはず」

貴史が私を見た。その瞬間、彼の両目は一気に血走った。

彼は目の前のグラスを掴むと、勢いよく私に向かって投げつけた。

生温かい血が、瞬く間に私の額を伝って落ちた。

しかし、貴史の怒りはそれで収まらなかった。彼は立ち上がり、一歩一歩私に迫ると、力任せに私の首を絞め上げた。

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