로그인玲の男装はどうやら完璧すぎたらしい、周りは完全に彼女のことを男だと思い込んで、疑っていない。奏汰のさっきの言葉に、助手席のボディーガードも運転手も胸をなでおろして思った。やっぱり、そうだ。主人は明らかに男なのだ。今はただ結城社長と同性カップルになっているから、彼のために、主人は女装しているだけだ。こうしたほうが恋人らしさが味わえるからだろう。そして、彼らがそんな主人の姿を見て納得できなくても、ただ黙って見ているしかない。もし主人がもともと女性だったとすれば、周りにいた彼らはみんな目がおかしいとしか言えない。ボスの下で八年近くも働いていたというのに、その性別さえ間違えていたというのなら、目がついているのに、見えていないのと同じだろう。ボディーガードのホッとした様子を見ると、玲は何とも言えず、呆れてしまった。玲は自分が女性の姿に戻れば、きっと周りは驚くだろうと思っていた。それがまさか、彼らが真っ先に思いつくのは、自分が奏汰のために女装をしているということだった。どうやら、そろそろ髪を伸ばさないといけないらしい。髪が腰のあたりまで伸びた頃には、みんなはきっと女だと信じてくれるだろう。いや、結局その時も、奏汰のために髪を伸ばしただのなんだの言われるかもしれない。彼女は「受け」ポジションで、奏汰を愛しているから、彼から女性の格好をしてほしいと言われて、その願いを聞いているのだ。そこまでするほど彼を愛しているのだ、と言われるのだ。そうだとしても、別にいい。どのみち彼女は周りからどう思われようと気にしたことはなかった。彼らの好きに思わせておくまでだ。はっきりと自分は生まれつき女性なのだとすでに伝えた。それを周りがどう受け止めようが好きにすればいい。この日、パーティーを主催する家に到着すると、邸宅の敷地内にも外にも多くのさまざまな高級車がとまっていた。邸宅の正門も開け放してあった。その門の前で、駐車の指揮を執る人がいる。それに敷地内にも、今夜出席する賓客の案内をする係もいた。白山玲ほどの大物も出席するパーティーだ。つまり今夜のパーティーは特に大きなものということだ。それに、出席する人たちも、柏浜でかなり有名な大物ばかり。今日の主催者は柏浜でも、かなり高い地位にある家柄なのだ。そうでなければ、玲が顔を出すことはな
弥和は笑って言った。「携帯の電源を切っても、うちまで押しかけてくる人もいるかもしれないでしょ。そもそも、あの子は娘なのよ、別に周りから何を聞かれようが事実は事実」そうは言っているものの、弥和はやはり携帯を取り出して電源を切った。今夜パーティーに参加する柏浜の上流社会の面々が驚愕するのは目に見えているが、玲のボディーガードたちや白山家で雇われている人たちまで、ドレス姿の玲を見た瞬間、自分の目を疑っていた。執事は何度も何か言おうとしていたが、言葉を出せずにいた。ボディーガードたちはというと、暫く呆けっぱなしでやっと我に返り、執事同様何か言おうとして言葉を飲み込んだ。結局誰一人としてどういう事なのか尋ねる勇気がある者はいなかった。口には出さなくても、彼らが奏汰を不満そうに見つめる目つきから、一体彼らが何を思っているのかが、すぐに想像できる。奏汰が彼らの主人の趣向を変えさせただけでなく、女装までさせやがって、と思っているに違いない。結城奏汰のクソ野郎が、うちの坊ちゃんにひどい扱いをしている、とみんな思っていた。しかし、彼らの主人が奏汰と親しげに手を絡めている様子は、他の仲良しカップルたちとまったく同じで、ボディーガードたちも何も言えずにいた。坊ちゃんは、結城奏汰のせいで変わり果ててしまった……あまりに惜しい!白山玲という優秀な男が、結城奏汰の手によって、完全に闇に堕ちてしまった……星城から来たあの男は、本当に禍の根源だ!奏汰は紳士らしく、玲のために車のドアを開け、玲の手に自分の手を添えようとした。玲は断わろうとしたが、奏汰はそこは譲ろうとしなかった。ボディーガードたちはその光景に、瞼をピクつかせていた。彼らはこの時、本気で奏汰を一発殴ってやりたかった。彼らの男らしさ全開だったあの白山玲が、結城奏汰のせいですっかりオネエのようになってしまっているではないか!……でも実際、主人のドレス姿は、本当に美しい。その美しさに思わず見とれてしまい、虜になってしまうほどだ。傾城の美女と言っても過言ではない。もともと冷たい雰囲気を漂わせる彼が、女性の姿をすると、高貴なクールビューティである。「お前たち、そんな目で奏汰さんを睨むな。それに、心の中で彼を一発殴ってやりたいとか思ってるだろう?」玲は車に乗った後
玲は奏汰の腕に自分の手を絡めて、手提げバッグに携帯を入れてから、奏汰に言った。「奏汰さん、それじゃ、行きましょう」「ボディーガードたちも一緒に?」奏汰は尋ねた。玲は笑った。「それはもちろんです。そうじゃなかったら、私があの白山玲だと証明できないでしょう?」彼女は白山玲本人だが、今夜は女性としてパーティーに出席する。きっとほとんどの人が、彼女が白山玲だと信じられないだろうから、いつも連れているボディーガードたちを連れて歩くことで、周りが信じるだろうと考えていた。二人は腕を絡め合って家を出た。この時、まだ外で水やりをしていた茂と弥和は二人が出てくるのを見た。自分が選んだドレスを、やはり娘が着ているのを見て、弥和はホッと安心した。だが、娘がショートヘアでいるのを見ると、彼女はため息をついて、小言を言った。「あんなにたくさんロングのウィッグがあるっていうのに、一つくらい使えばいいのに」それから娘の足元に目を向けた。ドレスは結構長いから靴は目立たないとはいえ、玲が歩く時には、よく見るとどんな靴を履いているのかが見える。娘が本当に革靴を履いているのを見ると、弥和は何か言いたげにしたが、やはり言葉を飲み込んだ。どのみち、娘がパーティーで周りから笑われても気にしないというのだから、親が気にしてもしかたないだろう。義理の息子になる予定の奏汰も気にしないのだから、彼女がいちいち心配しても意味があるか?それで弥和は何も見なかったことにして、黙っていた。「茂さん、弥和さん、玲さんとパーティーへ行ってきます」この時の奏汰は人生で一番と言えるほどの、眩しいほど輝く笑みを見せていた。奏汰が周りから同性愛者で、自分を巻き添えにしたと悪態をつかれるのを見ていられず、玲は、今日絶対にドレスを着ると決めた。それはすべて彼のためだ。ここまで来てようやく、玲が彼のために女性の姿に戻ると決意してくれた。だから、奏汰が有頂天にならないはずがない。奏汰はニカッと嬉しそうに笑っていた。「いってらっしゃい」茂が温かい笑みで言った。二人が去ってから、茂は妻に言った。「見たか、さっきの奏汰君のあの満面の笑みを。きっと今一番、心から喜んでいるのは彼だろうね」弥和は言った。「玲が奏汰さんのために女性の格好したんだもの、
玲は言った。「……あなたは恥ずかしくなくても、私は恥ずかしいんです」奏汰は嬉しそうにケラケラ笑った。「俺は恥なんて捨てたからね、恥ずかしがっていたら、好きな人をしつこく追いかけたりできないよ。理仁兄さんから学んだことだ。実際、彼は今の奥さんとは交際もせずに結婚したから、口説く苦労はしてないけどね。だけど、厚かましくならないといけないって言われたんだ。彼は昔、プライドが高くてメンツばかり気にしていたけど、結婚して奥さんにぞっこんになってからは、奥さんが関わることには、だんだん恥を捨てるようになったんだよ」理仁と唯花は結婚したばかりの頃は、よく喧嘩して、二人とも話さないようなこともあった。奏汰はそれを知っているが、あまり深くは聞けていない。二人の冷戦状態が長引いた時には、祖母まで助っ人で出てくるようなこともあった。玲は我慢できずに笑った。「奏汰さんがそんなことを言っていると彼が知ったら、あなたは終わりですよ」玲が知る限りでは、結城家の御曹司たちはみんな一番年上の理仁には、特に敬意を払っているし、恐れてもいる。理仁は外ではやはり、あの冷たく偉そうな態度でいるが、妻の唯花の前では、まるで人が変わったようになるらしい。結城家は、理仁の本家、そして従弟たち分家に関係なく、一族みんな琴ヶ丘で暮らしている。みんな小さい頃から一緒に育ってきたから、本家の長男である理仁には十分に威信があり、下の弟や従弟たちが恐れる存在になっているのだ。「理仁兄さんはここにはいないし、それに、さっきの話は事実だからね。彼は唯花さんと一緒になってから、どんどん恥は捨てて図々しくなっていったんだ。俺たちはそれを真似してるんだ」玲は笑って言った。「自分の厚かましさを、他の誰かのせいにするのはどうかと思いますよ。まあ、いいです。そろそろ出発しましょう。奏汰さん、ちょっと聞きたいんですが、ドレスを着ているのに、ヒールで参加しなかったら、周りに笑われてしまいますかね?私が笑われたら、あなたは気にします?」奏汰は傍に置いてある、ヒールの靴に視線を向けて、笑って言った。「気にする?何を?俺が一体いつ、他人から笑われるのを気にしたことがある?俺はずっと自分がやりたいように行動してきたから、別に周りにどう思われたって気にしてないよ。そもそも、俺が周
奏汰は車を駐車させる時、すでに玲が普段乗っているあのマイバッハに気づいていた。「ええ、家にいるから、そのまま中に入ってくださいね」玲はさっきまで奏汰が持ってきた荷物を持って家に入ろうとしたが、少し考えて、またその荷物を彼の手に持たせて言った。「嫌だわ、私ったら、まだ夫と一緒に花の手入れをしないといけないんだった。もうすぐ暗くなるし、奏汰さん、これを持って中に入ってくださいね」どのみち奏汰はすでに常連客になっている。奏汰にとって白山家は第二の実家とも呼べるほどに、全て把握しきっている。そして奏汰は一人で家に入っていった。部屋に入るとすぐに、ある女性がソファに座って携帯からメッセージを送っている姿が目に飛び込んできた。その女性は、どうも玲に似ている。いや、玲と瓜二つだ。もし玲が女性の服を着て、ロングのウィッグをかぶっていれば、まさにこんな感じだ。玲は最初ウィッグをかぶるつもりではなかった。でも、奏汰の話し声が聞こえると、彼がどのような反応をするか見てみたくて、サッと頭につけてみたのだ。玲は以前、奏汰の前で女性の格好をしたことがある。彼女は、あの時は自分がただ一度だけ女の服を着た姿を奏汰に見せてあげるのだと思っていた。結局、今もこうやってドレスを着ている。一度例外を作れば、それは二度、三度と、どんどん例外ができてしまうものだ。そしてこの時、奏汰は気づいた。いや、瓜二つではなく、玲本人だ。すると、彼は嬉しそうにニカッと笑った。彼は歩いてきて、まずは手に持っていた袋を置いた。そして、あの花束を玲の目の前にさし出して、ニコニコ笑った。「お嬢さん、これを、あなたに」玲の視線はその花束で遮られ、彼女は携帯から目を離し、ローテーブルの上に置いた。そして顔を奏汰のほうへ向けて、ニコニコと笑う彼の目と目を合わせた。玲も彼同様に笑顔を見せた。「奏汰さんにサプライズしようと思っていたけど、どうやら、そこまで驚いていないみたいですね」「俺のために一度女性の格好をしてくれたでしょう。あの時の高貴でクールな美しい姿は頭から永遠に消え去ることはないので」奏汰は玲が花束を受け取った後、数歩後ろにさがり、まじまじと彼女を見つめて笑顔で尋ねた。「家で準備して待っていると言っていましたが、この格好で出かけるの
暫くして、弥和は口を開いた。「いいわ、お母さんはもうあなたに口うるさくしないから。あなたがやりたいようにしたらいい。イライラして寿命が減ったら元も子もないんだし」「お母さん、私は親孝行者だよ」弥和は言った。「……別にあなたが親不孝者だなんて言ってないじゃない。だけど、あなたが女の子に戻るって事に私がこれ以上口を出していれば、怒りでどうにかなってしまいそうだわ。あなたの母親を続け、まだまだ長生きして、あなたの結婚と孫を見るまでは、もう口うるさくしないと決めたわ。女の子に戻ろうが、男装し続けようが、どちらでもいい。どうせあなた達は周りからどう見られるかなんて気にしないのだから、私がやきもきしてどうなるっていうのよ。子供は大人になると親の言うことなんて聞かなくなる。あなたはもうとっくの昔に私には手に負えなくなったのよ」そう言い終わると、弥和は立ち上がって出ていこうとした。「お母さん、ちょっと、どこに行くの?」「ちょっと新鮮な空気でも吸って気晴らししてくるわ。お父さんに愚痴をこぼしてくるの」この時、夫の茂は庭で花に水やりをしていた。玲は「そっか」とひとこと返した。「じゃ、お父さんにぶちまけてきて。全部吐き出した後、きっとやっぱり私が一番だって思うはずだからね」弥和は怒りもあったが、同時に可笑しくなり、そのまま家を出ていった。水やりをしていた茂は、妻が出てきたのを見ると、尋ねた。「玲のウォーキング練習は終わった?」「はあ、言わないで。今さら教えようとしたって、難しいわよ!あの子は男装するのに二十年以上慣れてしまって、たった今日午後の時間、ちょっと練習しただけじゃ、身にしみついているものを変えられるはずないわ。名家のお嬢様らしく、なんて不可能な話なのよ」茂は笑って言った。「まあ、こうなることは最初から、わかっていたことだな」彼は水やりを続けた。「まあまあ、子供たちが幸せなら、どんな身分で生きていたって、いいじゃないか」白山玲は彼の長男だと、世間は全員そう思っている。玲が突然女の姿になれば、きっと柏浜全体が震撼するだろう。そうなれば、電話がひっきりなしにかかってくるに決まっている。茂はその前に携帯の電源を切っておきたいと少し思った。「ドレスは着るけど、ヒールは嫌だから、革靴を履くだなんて。こん