LOGIN
さあ、新緑もさわやかな4月張り切って高校生活をエンジョイしよ!
友達いっぱいで学校帰りに遊んだり、部活もいいなぁ。運動部のマネージャーとか?私なら全然OKでしょ。
中学までは学校つまんなくてヒキコモリがちでヒッキーなんて呼ばれてたけど(陰口聞こえるって)、高校デビューで高校のアイドル的な存在になるわよー‼
そのために今日の新入生代表挨拶は重要。力み過ぎず、甘すぎず適度な挨拶で行かなきゃ!話が長いのもNGよね。あと、決まりきった話とか。
さあ、真新しい制服(スカート丈とかは校則通りがいいよね?代表だし)で登校‼
「行ってきます‼」
――武士が戦に出るように家を出た。誰もいないが。私は母子家庭育ち。母は会社を経営していて忙しいのだ。朝食も自分で作るし、洗濯なんかは母の分もしている。夕飯は自分の分を作る。母は会社の付き合いで外で食べることも多々あるから。これからは、自分の分のお弁当を作らなきゃだから、もっと早起きしなきゃだなぁ。
「新入生代表挨拶!新入生代表疋田ヒカル!」
「はい」
私はすっと立ち上がり、壇上に上がった。
「この新緑の良き日に子供のころから憧れていたこの高校に入学できたことを嬉しく思います」
などと2分間くらい話し。
「新入生代表1年A組疋田ヒカル」
と話をしめて、段を降りた。我ながらよくできた方だと思う。体育館内がざわめく。
――私、何かしでかしたかな?かなりドキドキするんですけど
私の思いとはうらはらに、違うことで盛り上がっていた。「1年A組?あの子可愛い」「俺、チェック入れとこう」「スタイル良くねー?足とかキレイじゃん」「髪の毛サラサラ、ぜったいイイ匂いだよな」等々。他の女子生徒の反感を一日で買った。
教室に行くとやたらとまわりが話しかけてくる。免疫がない自分が憎い。「疋田さん困ってるよ、止めときなよ」という声も聞こえた。
タイミングよく担任登場。
「今日からクラス担任の北条だ。さっそくだが、クラス委員を決めなければならない」
――げっ、面倒なやつだ。
「女子のクラス委員は丁度いい、疋田でいいな。新入生代表だし」
「異論ありませーん」と多くの女子の声。みんなやりたがらないんだ…。当然か。
「男子のクラス委員、立候補いるか?」
なんと、5人は立候補した。自分から面倒ごとに飛び込むとは…。と思ったけど、私が目当てらしい。一緒に仕事ができるから。
「えーと、この中で一番成績のいいやつは…」
――そんな基準で決めるのかよ?クソ教師だな。
「佐伯!お前に頼む」
一部女子から悲鳴が上がる。佐伯君かぁ。成績が一番ってことは頭いいんだな(私の方がいいけど)。スタイルもいいな。顔もいい方だろう。運動神経はどうなんだろう?
「佐伯!お前が高校上がるの待ってたぞ。放課後サッカー部の部室で待ってるからな」
ということは、運動神経もいいのか。なるほどね、女子の悲鳴も納得。
「疋田さん、一年クラス委員よろしく」
「こちらこそ。私、委員とかやったことないから佐伯君の足引っ張っちゃうかもだけど(笑)」
「それは俺の方だよ。部活に出たら委員の仕事できなかったりするかもだよ」
「さっきのサッカー部に入るの?」
「そのつもりだよ、小学校のころからずっとサッカー少年」
――はあ、さわやかスポーツ少年ね。少年っていうか青少年?微妙な年齢だよね。
「私は部活どうしようかな?」
「何か得意な運動とか好きなスポーツとかないの?」
「運動神経悪いんだよね。スポーツかぁ」
「私は文化系の部活なのかな?」
「吹奏楽とか?」
「楽器はある意味体育会系だよ(笑)」
「科学部とか天文学部とか?」
「興味あるの?」
「体育会系の部活がダメなんだもん」
「マネージャーってアリだよ!」
そういうのありなのかぁ。とか思いながら、一人家路を歩いていた。制服のスカート丈、もっと短くしてもいいよね、校則違反だけど。学校に持っていくバック、何でみんな似たようなの持ってるけど何で?校則で決まってるわけじゃないんだから、好きなの持てばいいのに。『他と共有』で安心感ってタイプばっかりなのかなぁ?だと、私は異端になるなぁ。
でも実際、ランドセルとかじゃないんだから自由に好きなの持ちたいし。結果がこのバッグだけど、物は収納力あるし、小分けスペースもあって便利。色も青で、あの濃紺よりも爽やかな印象。制服とのバランスも考えた。制服、ほぼ紺色だし。トータルコーディネートってやつ?
と、のん気に歩いていたら赤信号を見落としてしまった。実に初歩的ミス!
両足大腿骨骨折で、ソッコー入院。お見舞いに来る人なんていないし、たまに母が来ると病院がざわめく。結構大きい会社の経営者だし、ルックスいいから。
私の骨折は2か月程度で治った。高校デビューならず。むしろ存在忘れられたかも。って状態になった。それからはリハビリの日々。
平行棒の間を歩く練習、往復の数をノルマとして私に告げると療法士さんは他の患者さんを見に行った。混んでるから仕方ないけどさ。
ノルマが終わると暇だ。平行棒の片側…鉄棒みたいに前回りしたらダメかな。ダメだろうけど。などと思う。
リハビリを1カ月し、退院の話をしに母が病院に来た。
「歩けるようになるだけで奇蹟的ですよ。本来なら寝たきりですから」
――私のこと?マジでそんなにやばかったの?
「そうじゃなくて、今後は車いすでの生活って伺いました。娘はリハビリは真面目にやったんですか?」
――私は真面目にやりました。信用してよー!
「もちろんですよ。車いすの手配ですが…」
「コノハ、コノハの息子ちゃんは?もう相当大人よね?」「そうよ?陸上界で頑張ってるわ。稲葉涼二よ?」「「「え~?あの人がコノハねーちゃんの息子だったの?」」」 優も秀も俺も驚いてたけど、祐一郎さんと響子さんはよくわかってなかった。 よく考えればわかることだ、この二人は世界で働く人だし、ほかの業種に興味がないみたいだ。なので、代表して俺が二人に説明をした。 この場に本人はいないけど、そうだという事だ。 陸上の選手を引退しても、何らかの資格を取得しトレーナーとしてやっていくこともできる。できれば生涯現役がいいところだけれど、筋力の衰えというものは必ずやってくるもので、そればかりは避けられない。「本当に織田家って有名人が集まるところなのね~。類は友を呼ぶみたいな?」 渡部はそう言うけど、有名になったのは結果論なんだけどなぁ。「ほら、丈一郎さんもトレーナーだったし、あの子も誰かイイ子を連れてこないかなぁ?なんて期待しちゃうのよねぇ」 父さんと母さんがうちの余ってる部屋に二人を押し込めたみたいなことを聞いたけど?「あら?あの子は織田家じゃない子ね。初めまして。ヒカルの親友の稲葉コノハです。よろしくね」「あ、私は検事をやってます渡辺キヌと申します。よろしくお願いします。ここには、織田君との縁で通ってる次第で、亨さんには分からないところなどを指導して頂いたり、ヒカルさんとはショッピングに行ったりと、良くして頂いています。よろしくお願いします!」「まぁ~検事さんなの?大変ね。ヒカルも無理に誘ったりしたらダメよ!」「だってぇ、コノハはあんまり会ってくれないし、優は中東に行っちゃうしで女同士でなかなかコミュニケーション取れなかったんだもん!」「ダメなものはダメよ!甘えちゃダメ!わかった?」 コノハねーちゃんに諭される母さんを見ると、二人の力関係がわかる。 「これからは優も響子ちゃんもいるから大丈夫!」「よろしい。とはいえ、二人は子育てしなきゃなんだから、気を使うのよ!」「は~い」「コノハちゃん、いつもありがとう。ヒカルの事大事に思ってくれて」「ギブアンドテイクですよ。ヒカルだって私を大事に思ってくれてますから」「知ってる。そしてギブアンドテイクというか依存に近いけど、これからもよろしく頼むね」「頼まれましたよ!」
俺の兄さんと姉さんが婚約者と共にこの家に来たから、ハッキリ言って混んでる……。父さんの脳みそはどうなってるんだか、サンバカーニバルなんだろうか?渡部も来るし。ハーレム……。 これで響子さんと姉さんの二人から生まれた子供が女の子だったりしたら、父さんはどこまでも大喜びをする事だろう。それで女の子の双子だったりしたら……と、考えるだけでなんかコワイ。法曹界で名を轟かしているような父さんが「ハーレムだぁー♡」と騒いでいる時点でなんだか怖いのだが、ハーレム要員は母さんに姉さんだろ?これで2人。それに響子さんで3人目。それから最近うちにきてる渡部で4人目。これでも十分だというのに、女の孫……。 父さんが女好きみたいだけど、あくまでも母さんLOVEだから放っておこう。 そういえば、父さんの仕事は俺が継ぐとして、母さんの方の疋田の家の仕事はどうするんだ?「ああ、そんなの昔から優が片足突っ込んでるみたいだから、放っておいてるのよ。そのうちどうにかなるでしょ?」 ならなかったらどうするんだよ!20才近く年が離れてる弟妹は嫌だぞ!母さん曰く、「出産なんて超痛いのもうやだよ。年齢的にももう無理があるわよ~」だそうだ。 年齢とか以前に孫と自分の子の年齢があまり変わらないってどうなんだ?そっちの方が気になるけどな、俺は。 数か月後に響子さんも姉さんも出産を経験。 二人とも「超痛かった~!!」とのこと。男はいろいな意味で楽してると思うのです。その分女性に有利と言うとおかしいけど、女性の事を考えて弁護士としてやっていこうと思ったのです。 問題の性別などですが、響子さんの方は男の子と女の子の双子。うちの兄さん・姉さんと同じだなぁと思った。姉さんの方は男の子。 響子さんは移動でもできる楽器をやらせたいなぁって言ってた。ヴァイオリン?チェロ?フルートとか? 姉さんの方の男の子はやっぱり医者にしたいのかなぁ?祐一郎さん次第だけど。姉さんの片足が疋田の家を継いでるみたいだからなぁ。その子もIT関係かもしれないし。 どの子も自分の好きな道に進めるといいなぁと思う叔父なのであります。その叔父ですが……今からお年玉あげなきゃなんないのかなぁ?などいろいろ考えています。 どう考えても響子さんの方が俺よりも収入があるし、兄さんの収入も加えれば俺の微々たるお年玉など霞んでしまうだろう
「で、帰ってきていきなりなんだけど、俺と響子と子供がしばらくここで暮らしていいかな?」「大歓迎だ」「亨~!部屋はたくさん余ってるし賑やかになるから私も賛成だけど。響子ちゃんはいいの?ホラ、私との関係って世間でいうところの嫁姑でしょ?」「え?私はお義母さん好きですよ?」「いや~ん、私も響子ちゃん好きだもの。相思相愛じゃないの!バイオリニストだもの、指に負担がかかるような仕事はしない方がいいのかしら?」「3年近くお休みをいただいたんですから、そんな贅沢なことは言いませんよ!子供の世話だってちゃんとしますし」 家が寂しいとかないから、俺が家を出てもOK?「なら、俺が家を出ても構わないのか?」「俺みたいな料理人はいないぞ。はあ、疲れた~って家に帰るとそこには風呂にお湯が!なんて事はない!休みの日には洗濯をし、風呂掃除をし、もちろん部屋の掃除も欠かさず。あ、トイレ掃除もしなきゃなぁ」「……このままいさせてください」「そうなるのが妥当な選択だろうな」「アラ、また玄関のチャイム。亨、大好きな優よ」「優―!会いたかったぞ‼」「私は妊娠してるのでお手柔らかに頼みます」「お久しぶりです。お義父さん、お義母さん」「久し振りねぇ、男っぷりが上がったんじゃないの?」「日焼けのせいですよ。アハハ。ところで、そちらのお嬢さんは?」「賢の大学の時のゼミで一緒だった渡部キヌさんよ」「こちらは優とその婚約者の田畑祐一郎さん」「中東で医療に携わっているっていう方ですか?ここは有名人が集まる家ですか?」「中東にいるの。それだと先進的に出産が出来なくて一時帰国。ところで、私とイチローと子供がしばらくこの家で暮らしてもいい?」「大歓迎!ハーレムだー」 そういう発言が渡部のイメージをぶち壊すんだろう。「いいわよ。部屋はたくさんあるし、賑やかになるわね~!」 なんだか俺は家を出るタイミングを失い、家はさらに賑やかになりそうです。渡部曰く「織田家恐るべし」。
「俺の優が…」「亨、いつまでも子離れで来てないとキヌちゃんに笑われちゃうわよ?」 一升瓶を抱えて男泣きの時点で大爆笑だけど? 俺としては、甥か姪ができるから単純に嬉しい。なかなか会えないのがなぁ。正月には帰ってくるのかなぁ?叔父としてはお年玉をあげるべきだろうか?「亨さんとヒカルさんにお孫さんができるんですか?めでたいですね!なかなか会えないのが寂しいですけど。会った時には思いっきり可愛がりましょう?私も時間が空いてたらここに来たいなぁ。亨さんとヒカルさんのお孫さんだもん、絶対可愛いですよ!いいなぁ」 そんな時、玄関のチャイムが鳴った。「は~い!アラ、久し振りね。鍵持ってるでしょ?はぁ?うちに置き忘れた?世の中に頭いいって言われてるのに、馬鹿じゃないの?響子ちゃんもいるんでしょ?いらっしゃ~い!」 エントランスの自動ドアを開けたらしい。「ココの玄関の鍵も開けて来るわね。秀と響子ちゃんが来たのよ。秀は久しぶりの里帰りね。なんか鍵忘れたんだって。抜けてるのかしら?でも海外じゃ盗まれるのかしら?だとうちに置いておくのが正解なのかしら?」「ただいま~」「秀!はともかく響子ちゃんお帰り!お腹の調子は?体調は大丈夫?」「はい大丈夫です。えーと、彼女は?秀の妹にしては成長し過ぎだし…?」「ふふふっ、賢の大学の時のゼミで一緒だった渡部キヌさんよ」「キヌちゃん、こちらは賢の兄で秀。その婚約者さんの蓮野響子さんよ」「ふあぁぁ。有名なバイオリニストの方ですよね?お会いできて光栄です!」 渡部がものすごい勢いで握手をしてるから響子さんがちょっとひいてる…。「せっかく日本に来たわけだし、日本で出産しようかと母子手帳も公布されるし。公演も3年くらいキャンセルしてるし」「そのキャンセル料って…億単位じゃ?」「俺の投資で稼いだ分から払った」「秀は投資家なのよ~。小さい頃から投資に一途でね」「私も投資されたのよ。いい楽器が秀に与えられて、音大の学費も払ってもらって。私の公演料とかから秀に投資した分がちょくちょく流れてくのよ」「はぁ、なるほどねぇ」「あと、正式に入籍しようかって話した。‘蓮野響子’はバイオリニストとしての芸名みたいなのになるのかな?正式には私も織田響子になるのよ!」 父さんが素直に喜んでいるようだ。「ああ、夢のようだ。孫にかわいい嫁。秀
「織田君のお父さんとお母さんのナレソメってどんな感じですか?」 二人は顔を見合わせた。「うーん、お見合いなんだけどねー」「私の旧姓疋田って言うんだけど、疋田家はコンピューター関係が得意なのよ。織田家は法律関係でしょ?完全な政略結婚ってやつよ。だからお見合い」「その割にはお二人ラブラブですね?」「「まぁね~♪」」 ラブラブを自慢するなよ!恥ずかしいな。もう。「お母さんの方がお若い気がするのは気のせいですか?」「若いとか言われるのは嬉しいわ。そうよ~。亨より…あれ?何才違いだっけ?忘れちゃった」「そんな感じだよ。他に聞きたいことある?」「うーん、お父さんの方には法律関係で相談に乗ってもらいたいなぁ」「ややこしいから、私はヒカル、こっちは亨って呼んでほしいな。私達も渡部さんじゃなくて、『キヌちゃん』って呼んでいいかな?」「はい、喜んで‼‼」 どこの居酒屋だよ? それから渡部は度々うちに来るようになった。 本当に父さんに法律関係の相談をしてる…。家じゃ仕事の話をしなかったから新鮮だ。母さんが父さんのことを『初めて見た珍獣』みたいな感じで見ている。 父さんも母さんも姉さんが中東に行ってしまってやはり寂しかったのかなぁ? 女の子が家にいる感じがいいみたいに見える。母さんも隙あらば渡部を連れ出して一緒にショッピングに行こうとしている。気のせいか?「はぁ~あ、そっかぁそういうアプローチで見れば答えが違ったんですね!やっぱり勉強になります。亨さんは賢いですね~」「ヒカル!俺、褒められた!」「よしよし、褒められて良かったですね」 愛犬とその主人?何で父さんが褒められてわざわざ母さんに報告を…。あ、母さんに頭撫でてもらいたかったんだな?はぁ、くだらない。今まで子供達がヨシヨシと頭撫でられているのを見て地味に「いいなぁ」って思ってたという事か。はぁ、父さんの威厳…。「ヒカルさ~ん、午後からはショッピングの約束でしたよね!出かけましょう?最近できたショッピングモールとか気になってたんですよね。なかなか行く機会がなくって」 渡部のやつ地味に俺よりこの家の子供っぽくないか?まぁ、父さんと母さんが元気になって良かったよ。 その日の夜、俺には姉さんから。母さんには兄さんから重要な話があると電話があった。時差を考えると結構なものだと思うけど。 姉さん
そいつ、渡部キヌから翌日早速連絡が来た。「突然なんだけど、今週末仕事が休みになった。会えるよ。場所はどこ?」「まずはこっちの予定も聞こう。よほど俺の父さんに会いたいみたいだけど?」「当たり前じゃない!数々の事件を担当した名弁護士よ?その息子が実態を知らなかった方が驚きよ!」 家じゃ単なる愛妻家の弁護士だからな。「ああ、コッチの予定も今週末は空いてるらしいから、OKうちにご招待します。場所はまぁ、最寄りの駅まで迎えに行くよ。迷子になってもアレだし」「バカにしないでよ!」「そのつもりはないけど、単なるエスコートみたいな?」「了解。それじゃあ、今週末楽しみにしてるわね!」「ところで、賢。重要な話だ。その渡部キヌって子は美人か?」「えーと、学生時代に俺はなんとも思わなかったけど、やたらと告白されてたなぁ。なんか知らないけど断ってた」「それは、好きな奴がいるからじゃないのか?」「父さんだろ?」「それは‘アコガレの人’だろう?好きな人とは違うよ」「そうねぇ、そういうのもありかも。甘酸っぱいわ!今回私は傍観してるわよ」 母さんの傍観宣言。自らを‘アコガレの人’という父さんの自信はどこから来るのか凄いと思う。 週末、渡部を最寄りの駅に迎えに行って、家に連れてきた。「「待ってた~!」」 大歓迎だな。渡部が法廷とかで見る父さんとのギャップに驚いてる。普段でも法廷みたいにしてたら、それはそれで辛くないか?「賢!よくやった!渡部さんは美人だ!」「恐れ入ります」 玄関先で何を話してるんだ?「まぁ、中に入って。母さんは脚が不自由なんだ。家の中でもたまに車いすかな?」「今日は元気に伝い歩きよ!」 それは元気なのか?「ねえ…壁のアレはテレビ?物凄い大きくない?皆さんの視力は大丈夫なの?」「テレビを見るためのソファとの距離はけっこうあるから大丈夫だよ。リモコンがあって良かったよね」 うちに来る人はみんなテレビの大きさにビビる。解せない。かなり長持ちしていると思う。「そうよね、家もなんか広いもの」「最近さぁ、俺の上の姉さんと兄さんが揃って海外暮らしをすることになっちゃって、家の中が寂しくなったんだよね」「こんなに広い家ならテキメンでしょうね」 特に父さんにダメージが…。「今日は俺が腕によりをかけて料理するからな。存分に食べていくといい







