LOGIN「でしょ? だからもう変えられないよ」
「……もう」
「てかアイツ、なんか気に入らない」
「ええっ!? 桜木くん?」
萌恵が目を見開く。
「だってさ、なんか怪しくない?」
「どこが? べつに怪しくないよ」
「……そうかな」
なんか怪しいと思う。絶対になんか裏がある気がするんだけどな……。
お弁当を食べ終えた後は、何事もなく授業を受けた。
そして授業が終わるチャイムが鳴り響く。
「おーい席つけー。ホームルーム始めるぞー」
担任が教室に入り、ホームルームを始める。
「明日は集会があるから、絶対に遅刻するなよー。じゃあ帰っていいぞー」
ホームルームが終わり、みんな各々で帰る準備をはじめる。
ふう……終わった終わった。 疲れたから今日は、寄り道しないで帰ろうかな。
「萌恵、私もう帰るけど、彼氏と帰る?」
「あ、うん。ごめんね」
「ううん、じゃあね」
「うん。バイバーイ」
私は萌恵と別れて、そのまま学校を出た。 そして歩いてる途中で……。
「……ん?」
転校生の桜木の姿を見つけた。
あれ?あれって桜木だよね? なにしてんだろ……?
「言われなくてもわかってるって。ちゃんと見つけ出す。……俺はちゃんと役目を果たすだけだ」
ていうか桜木、なんか口調違くない? さっきまで遠慮がちだったのに、なんかちょっと俺様って感じの喋り方だ。
さっきとなんだか、雰囲気が違う。まあいっか、私には関係ないし。
「わかってる。なんせ俺は、"吸血鬼(ヴァンパイア)"だからな」
「っ……!?」
えっ、ええっ……。今の何!? ば、ば、ヴァンパイア……!?
ど、どどど、どういうことぉ……!? あっアイツ、吸血鬼なの……!?
う、ウソだ……! これって、幻聴……!?
「どっ……どうしよう」
私はそこから動けなくなってしまった。 そして私は……アイツのヤバイ秘密を知ってしまった。
アイツがヴァンパイアだなんて……信じられない。だって、だって、アイツ見た目は人間だよ? アイツを見て、誰が吸血鬼だと思うのか。
そんなこと、誰も思わないし、思うわけがない。
吸血鬼……ヴァンパイア……。え、これって現実?
ダメだ……頭こんがらがる。
「……とりあえず、逃げなきゃ」
だってここにいたら、今の話聞いてたのバレちゃう。 でも、足が動かない……!
「ああ、わかってる。じゃあな」
電話を切った桜木が、私の方に振り返る。 そして驚いたように目を見開き、私を見た。
「あれ、金森さん……だっけ?」
でも桜木は、何事もなかったように口調を変える。
「……ねえ、今の話、どういうこと?」
「なんの話かな?」
「とぼけないでくれる。……それとその口調、気持ち悪いからやめてくれない?」
私がそう伝えると、桜木は「もしかしてさっきの話、聞いてた?」と私に聞いてくる。
「イヤでも聞こえてきたのよ。 それより、さっきの話はどういうこと?」
「……ここじゃなんだから、別のとこで話そうか」
「そうだね、それがいいかもね。 アンタは聞かれたくない話だろうし」
私は桜木を連れて、近くの空き地へと向かった。
「ここなら誰も来ないでしょ。……さてと、一体どういうことか話してくれる?」
「……わかった。 まあバレちったもんは、仕方ねぇからな」
桜木は近くのベンチに座り込む。
「それより、一体どういうことか説明して? アンタ一体何者なの?」
「俺が何者かって?ーーー吸血鬼(ヴァンパイア)だ」
「……ヴァンパイア?」
ウソでしょ……。あれってやっぱり、本当?
コイツ、本当に……"吸血鬼(ヴァンパイア)"なの?
「俺は吸血鬼(ヴァンパイア)だ。見た目は人間だが、心と中身は、吸血鬼そのものだ」
どんな時も俺は、この子の父親として、真琴に寄り添っていきたいと思う。例えこの子が吸血鬼(ヴァンパイア)の子供だったとしても、この子の未来を俺たちならきっと変えていけると、そう信じている。そう信じて、二人で歩き始めたいんだ。「……俺、真琴も子供も幸せにしたい。 三人で、幸せになりたい」「うん。幸せになろう、絶対にさ」「……ああ、なろう。必ず」これが俺が決めた道だ。 俺はこの先、吸血鬼としてではなぐ人間゙として生きていく。例え俺が吸血鬼だとしても、俺はこの世界では人間として生きている。 この世界にいる限り、これからも人間として生きていきたい。この子がもし大人になって、吸血鬼になってしまったとしても……必ず俺が助けてやりたい。人間の母親と、吸血鬼である父親の元へと生まれてきてくれたこの小さな命。 もしこの子に吸血鬼の血が流れていたとしても、必ず俺は人間として育ててみせる。この子には絶対、辛い思いはさせたくない。「……ねえ、ユズル?」「ん?」「この子の名前……私決めたよ」真琴が嬉しそうに俺に微笑みかける。「……実は俺も、この子の名前、考えてきたんだ」「え? ユズルも……?」色々と調べてみたりして、いい名前がないかを考えてみた。 よく考えると悩んでしまい、すごく大変だったけど。でもどうしても、俺は子供に付ける名前をこの名前にしたかった。真琴が気に入ってくれると、いいんだけど……。「ウソ……考えてくれたの?」「……ああ。俺たちの子供だから、俺も一緒に考えたかった」真琴は「ユズル、ありがとう」と言ってくれた。「私が考えた名前は……これだよ」真琴が見せてくれた紙には、子供の名前が書いてあった。その名前にはーーー。「……え? 一緒だ」「えっ?」それは俺が考えた名前と、同じ名前だった。まさか、同じ名前を考えているなんて……。「俺も、同じ名前にしたんだ」「ウソ……?」「本当だ」まさか真琴も、同じ名前にしていたなんて……。こんな奇跡はないな。 そんな、この子の名前は……。「……歩夢(あゆむ)」「いいな、歩夢か。……桜木、歩夢」 明るい未来へと真っ直ぐ歩いていってほしいと願いを込めて、歩夢(あゆむ)と名付けた。桜木歩夢(あゆむ)。 これが、俺たちの子供の名前だ。とても素敵な名前だ。この子にぴったりな名前だ
【sideユズル⑩】 「ユズルくん!? 大変!真琴が産まれそうなの!」 「えっ!? 真琴が……?!」昼休みに屋上で寝転がっていると、真琴のお母さんから電話がかかってきた。「すぐ行きますっ!」 俺は急いで屋上を飛び出し、先生の元へと走った。「先生……!」「桜木? そんなに慌ててどうした?」俺は先生に「俺早退します! 真琴が赤ちゃん、産まれそうなんです!」と話すと急いで走り出す。「えっ!? あ、おい、桜木!廊下は走るなっ!」待ってろよ、真琴! 今行くからな……!俺は急いで病院まで走った。 ✱ ✱ ✱ 「ユズルくん!こっちよ!」「お母さん! あの、真琴は……!?」「今、産まれたわよ」「えっ……産まれた?」病院に着いた時にはすでに、真琴は出産したばかりだった。「本当……ですか?」「あ、お父さんですか?」看護師さんらしき人が分娩室から出てきた。「あ、はい……」「おめでとうございます。元気な男の子ですよ!」第一子は、元気な男の子だ。 待ち望んでいた子供が、ようやく産まれた。 俺は今とても、嬉しい気持ちでいっぱいだった。「ユズルくん、おめでとう」「……ありがとう、ございます」まだ信じられない。……でも、俺たちの子供は確かにここにいるんだよな。 なぜだかわからないけど、自然と涙がこぼれた。 「っ……俺、本当に父親になったんだ……」きっと嬉しい気持ちと、ホッとした気持ちが入り混じっているのかもしれない。「ユズルくん、真琴すごく頑張ってたのよ」真琴のお母さんは優しく微笑んでくれた。「っ……真琴、ありがとう」真琴が頑張ってくれたおかげで、俺にも大切な宝物が増えた。 すごく嬉しい。……俺、父親として頑張らないと。「母子ともに健康だって。良かったわね」「はい……良かったです」 その後俺は、初めて自分の子供に対面した。「この子が……俺たちの子供」「そうだよ。……可愛いよね」「ああ……可愛いな」俺たちとの子供は……フニフニしていて、とても柔らかくて、温かかった。 そんな子供の寝顔を見て、とても愛おしかった。 こんなにも愛おしいんだな……子供って。スヤスヤと眠っている子供を見て、とても微笑ましかった。 とにかく、可愛いんだ。目は真琴に、似てる気がする。 鼻は……俺なのかな? 口元は真琴に似て
あれから時は流れ、臨月を迎えたある日のことだった。ソファから立ち上がろうとすると、急にお腹が痛くなり動けなくなってしまった。「……い、たいっ………痛いよ……っ」あまりにも痛すぎて泣きそうになった。 座り込んでても痛くて、どうしようもなかった。「ただいまー。……え、真琴、大丈夫っ!?」帰ってきたばかりのお母さんが、しゃがみこむ私に駆け寄る。「お母さん、お腹が、痛いっ……」「大変……! 陣痛が始まったのね。 すぐ病院へ行きましょう!」お母さんは慌てて準備を始める。 「っ……痛いっ……」そっか。これが、陣痛なんだ……。ということはつまり……もうすぐ産まれるってことなの?「い、痛いよお……。お母さん、どうしよう……」「大丈夫よ。すぐに病院へ行きましょう。 恐らく陣痛が始まってるから、出産準備に入るかもしれないわね」「痛いっ……お母さん、痛いっ!」お母さんは「大丈夫よ、真琴。お母さんがついてるから」と手を握ってくれる。「お母さん、どうしよう!……う、産まれそう、かもっ……!」「いきんじゃダメよ、真琴! 力を抜いてっ!」「そ、そんなこと言われても……。お母さん、もうダメかもっ!」いきんじゃダメだと言われたのに、いきんでしまって、急に産まれそうな感覚になってしまう。このままだと、本当に産まれてしまう気がした。「真琴、落ち着いて。深呼吸しなさい」「う、うん……」 病院に着いてすぐ分娩室へと運ばれた。 産科の先生が優しく手引きしてくれる。 「桜木さーん、子宮口開いてるから、出産準備始めますからねえ」看護師さんの言葉が聞こえるけど、痛みに耐えることに精一杯でどうしたらいいのかわからない。「桜木さーん、ごめんね。今はまだ力抜いててね」 「ううっ……!!」 「ごめんね、痛いよね。 でももう少し頑張ってっ!」 力の抜き方もわからない。え、 どうすればいいのだろうか……。 もう少しって、どのくらい……!? 痛みに耐えながら、そんなことを考えてしまう。「はい!いいよー、いきんで!」 助産師さんの言う通りに、いきんだり力を抜いたりしていく。「桜木さん、はい!もう一回いきんで!」これを何度繰り返すのかわからないまま、時間だけが過ぎていく。「そうそう。上手だよ! そのまま頑張って!」「桜木さん、赤ちゃんの頭見えてきたよー!」先
「おかえり、桜木」「真琴、これもらってきた」「えっ?」桜木が帰ってきてそうそう、先生のサインが書かれた婚姻届を私に見せてきた。「え……先生!?」桜木ってば、先生に頼んだの!?「先生に、書いてほしいって頼んだ」「……先生、よくOKしてくれたね」ビックリした。まさか先生に頼むなんて……。「俺たちの幸せのためならって、書いてくれた」「それは、ありがたいけど……」でも先生がまさか、書いてくれるなんて……。「真琴、日にちを決めて、これ一緒に出しに行こう」「うん」桜木と私は、もうすぐ夫婦になる。 まだ十八歳と若い夫婦だけど、私たちには家族になる理由がある。だからこそ私は、子供のために、桜木のために頑張る。「桜木、アイス買ってきたの。食べよう」「ああ。 俺着替えてくる」「うん」私は桜木と一緒に、ソファに座ってアイスを食べた。✱ ✱ ✱それから数日が経ち、私たちは役所へ行って婚姻届を提出した。私は金森真琴から桜木真琴となり、桜木と夫婦になった。十八歳という若い夫婦だと思うけど、私たちはこれから夫婦としての人生(みらい)を進んでいく。「ねえ、桜木」「真琴、お前も今日から桜木だろ?」そう言われて「あ、確かに……」と思った。「そっか、私も桜木……なんだよね」「そうだよ。お前は今日から゙桜木真琴゙。俺の妻だ」「桜木……真琴」すごく言い慣れない。いつか慣れるのかな……「なあ、真琴……?」桜木と手を繋いで歩いていく。「うん、なに?」「夫婦になったんだから、俺のことはユズルって名前で呼べよ」「え……?」確かによく考えたら、私は桜木のことを下の名前で呼んだこと、一度もなかった。お母さんはユズルくんと呼んでいるけど、私はずっと桜木と呼んでいたので、呼ぶのに少し照れがある。「今日からユズルって、呼んでほしい」「え? は、恥ずかしい……!」ものすごく照れる。 ユズルという名前を呼ぶのにちょっと抵抗がある。「ほら、ユズルって呼んでみろ」「ゆ、ユズ、ル……」は、恥ずかしい……。「もう一回言って」「ゆ……ユズル……」照れるけれど、ユズルと呼んでみる。「もう一回」「ええっ、もう、恥ずかしいから無理っ!」私は桜木の手を離すと、恥ずかしさから手で顔を覆う。「名前で呼ばれるって……いいな」「……え?」「やっぱり真琴
俺も真琴が切迫早産になりかけて入院している間に誕生日を迎え、人間の年齢で言う十八歳になっていた。 俺はこの時をずっと待っていた。 ようやく、その夢が叶って嬉しいんだ。「真琴、婚姻届……書いてくれるか?」俺は婚姻届を取り出し、真琴に見せる。「……うん」真琴とこうして家族になることが、俺にとってどれだけ幸せなことなのか。「お母さん……婚姻届の証人の欄、書いてほしい」「もちろん、いいわよ」真琴のお母さんが、婚姻届の証人の欄にサインを書いてくれる。「桜木は……婚姻届の証人、誰にするの?」「俺? 俺は、もう頼んであるから大丈夫」「え……?」俺はとある人に、婚姻届の証人をお願いしていた。「俺も書いてもらう。 そしたら、一緒に出しに行こう」真琴は嬉しそうに「うん、わかった」と微笑む。「さ、今日は真琴の好きなものを用意したの。たくさん食べましょう」「うん」真琴の誕生日をこうして祝えるのは、本当に嬉しい。 「いただきます」「いただきます」「……ん、美味しい」 真琴のこの美味しそうに食べる姿も、俺は好きだ。 ✱ ✱ ✱ 俺は翌日の放課後、担任である片倉先生を呼ぶ。「あの、先生」「桜木? どうした?」俺は先生に「俺、先生にお願いがあるんですけど」と告げると、先生は「お願い? なんだ?」と俺を見る。「あの……これにサインをください」「え、サイン? なんのだ?」 俺は先生に婚姻届を見せる。「桜木、お前、これって……」 先生は俺を見つめる。 そんな先生に俺は「お願いします。……先生、俺の結婚の証人になってください」とお願いした。「桜木……本気か?」俺はそう聞かれて「はい。もう、真琴にプロポーズもしました」と即答した。「俺は、先生に見届けてほしいんです。……俺と真琴の幸せを、見届けてほしいです」先生は迷っているみたいだった。 だけど「……わかった。俺が、お前たちの証人になるよ」と言ってくれた。「本当ですか……?」「お前も金森も、俺にとって大事な生徒だ。 お前たちが幸せになれるなら、それを願うのが……担任である俺の教師としての願いだ」先生は俺に「桜木……金森のこと、守ってやるんだぞ。子供も、ちゃんと守ってやるんだぞ」と言ってくれた。「……はい」俺にとって先生は、最高の先生だと思った。「桜木、貸してみろ」先
【sideユズル⑨】それから数週間が経ったある日。「真琴、お誕生日おめでとう」「お誕生日、おめでとう真琴」「ありがとう、二人とも」今日は真琴の十八歳の誕生日だ。 真琴がようやく、十八歳になった。「真琴、これ……誕生日プレゼント」「え?……いいの?」 俺は真琴に誕生日プレゼントを渡した。「これは俺とお母さんからの、誕生日プレゼント」「えーなんだろう」真琴は「開けてみてもいい?」と聞くので「ああ、開けてみ」と返した。 真琴は「開けてみようかな」とラッピングを解いていく。「これ、なに……?」 真琴はそのプレゼントを見て、驚いている。「ん? 誕生日プレゼント」「いや、そうじゃなくてっ……」真琴は「そうじゃなくて……これって、どういう意味?」と俺に問いかける。 俺は真琴のそばへ歩み寄ると、「こういう意味」と真琴の左手を手に取る。「えっ……?」俺は真琴の左手の薬指にそっと触れると、その薬指にそっと指輪をはめる。「え、え……えっ?」真琴は驚いているのか、目をクリクリとさせている。「真琴……俺と結婚してくれる?」「……え?」実は真琴が十八歳の誕生日を迎えたその日、俺は真琴にプロポーズすることをずっと前から考えていた。 それは真琴のお母さんにもひっそりと相談していて、真琴のお母さんにも協力してもらっていた。 真琴にはバレないかハラハラしていたが、なんとか当日までバレなかったので安心した。「真琴、俺と……家族、になってほしい」真琴はそんな目を見つめると、涙目で微笑む。「家族……?」「そう、家族」俺は、真琴と家族になりたい。 本気で、そう思ってるから。真琴は静かに俺の手を取り「……はい。 こちらこそ、家族にしてください」と笑ってくれた。「もう。ずるいよ、こういうの……」真琴はボロボロと涙を流し始める。「真琴、おめでとう」真琴のお母さんが真琴を優しく抱きしめる。「お母さん、もしかして、このこと知ってた……?」「ええ。ユズルくんから、前々から相談されてたからね」「ええ……。知らなかったの、私だけ……?」真琴は「もう、こういうサプライズ……ずるい」とふてくされているけど、「でも……すっごく嬉しい」と笑っていた。「ちなみにその指輪……安物なんだ」本当はもっといいものを買ってやりたかっ
【Sideユズル②】「つまり俺のニオイがわかるってことか。……だとしたら、俺を知ってるヤツなのか?」「どうだろうな。可能性はなくもないだろうけど」俺を狙ってるが女だってことがわかっただけでも、収穫ありだな。「なあ、その女のこっちでの名前はわかるか?」「いや、残念ながらそこまでは」さすがに名前まではわからないか……。「……わかった。サンキュー」「とりあえず女子には気を付けろよ、ユズル。……またなんかわかったら、連絡する」「ああ、頼んだ」俺は電話を切った。「……女のヴァンパイアか」女のヴァンパイアは珍しくはない。 だが特徴もわからないし、名前もわからないと。 となると後
同じヴァンパイアでも、能力も違うしニオイも違う。 簡単には見抜けない。「……つまり私たちの周りにいる人間の中に、その強力な血のニオイを持ったヴァンパイアが、いるってこと……?」「ああ、だが見た目は人間だ。……ヴァンパイアの俺でも、一発でそれを見抜くのは難しいだろうな」俺がそう話すと、真琴は「そんな……じゃあどうするの?」と俺に問いかける。「わからない。ヴァンパイアだっていう確信がねぇからな。……とりあえず、向こうから何かを仕掛けて来ない限り、どうすることも出来ない」真琴は何かを考えるような表情を見せた後、「……ねぇ、今は人間の姿をしてるってことはさ」と話し始める。「ん?」「……
「さあな。 とりあえず普通に生活するしかねぇだろうな」「そう。 ていうかその強い血のニオイって……一体どんなニオイなの? それって私たち人間にもわかるものなの?」「は?わかるわけねぇだろ。 それはヴァンパイアにしかわからないニオイなんだから」真琴はなにを言っているんだ。「そうなんだ。……でも、どんな感じで強いの?」「んー……人間がそのニオイを嗅いだら、間違いなく死ぬだろうな」俺がそう話すと、真琴は立ち上がって「はっ!? 死ぬっ……?!」と驚いている。「ヴァンパイアは人間のニオイがわかる。 だからむやみに近付けば、人間は一発で俺たちヴァンパイアの"餌食"になる」「餌食って……つ
【sideユズル➀】「なあ、悪いんだけど調べてほしいことがあるんだ」「ああ、なんだ」俺はヴァンパイアの世界の友人に連絡を取り、「今こっちの世界にいる、俺以外のヴァンパイアを調べてほしい」と伝えた。「……何かあったのか?」「実はついこの前から、誰かが俺を狙ってるみたいなんだ。 この間からずっと、強い血のニオイがしてる」「血のニオイ……? 本当か?」連絡を取っているのは俺の友人である榊原《さかきばら》だ。「ああ、しかもすげぇ強力な血のニオイなんだ。……だが誰が俺を狙ってるのかがわからねぇ。 だから調べてみてくれねぇか」「わかった。 にしてもなんで、お前がこっちにいるってわかった







