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第6話

Author: 青月
四年前のあの夜。私とエドウィンは事故で、会社の古い倉庫に閉じ込められたことがあった。

私は閉所恐怖症で、あの時は息もできなくなるほどパニックに陥った。

エドウィンは、そんな私を「大丈夫だ」と強く抱きしめ、「必ず助け出すから怖がらないで」と、ずっと慰め続けてくれた。

なのに今、彼は私が閉所恐怖症であることなど、綺麗に忘れてしまったようだった。

私は暗く湿った地下室に閉じ込められ、携帯も取り上げられ、外界との連絡を完全に断たれた。

時間の感覚はとうになくなり、暗闇の中で眠っては目を覚まし、起きている間はずっと泣き崩れていた。

なぜ、エドウィンはこれほど変わってしまったのか。

かつては私をあんなにも深く愛してくれていたのに。ハンナが現れた途端、まるで何かに取り憑かれたように、彼の愛も信頼も、そのすべてが彼女に注がれるようになった。

それとも、彼の心の天秤は、最初からハンナの方にだけ傾いていたというの?

ただ、彼女が両親を亡くして天涯孤独だから?

何もかもが理解できなかった。私はただ、冷たい暗闇の中で膝を抱え、いつしか意識を手放した。

長い夢を見た。夢の中で、私は祖母の傍らで安心して寄り添っている。オリヴァーも隣に座り、祖母が優しく語る童話に耳を傾けていた。

だが次の瞬間、祖母もオリヴァーも、どんどん私から遠ざかっていく。彼らの穏やかだった声は、悲痛な泣き声へと変わった。

駆け寄って二人を捕まえようとしたけれど、大きな影が私の行く手を遮った。

エドウィンだった。彼は眉をひそめ、私が言うことを聞かないと厳しく叱責する。

ハンナの甲高い嘲笑も続いた。

「よく見ておきなさいよ。これが私と争った末路よ!」

はっと目が覚めた時、全身が冷や汗でびっしょりだった。

その時、地下室のドアが開いた。エドウィンが駆け込んできて、冷え切った私を強く抱きしめた。

「すまない、ソフィア。俺が衝動的すぎた。君に怒るべきじゃなかった。地下室に閉じ込めるなんて、どうかしてた」

エドウィンは、何か取り返しのつかないものを失うのを恐れるかのように、壊れ物を扱うように私を抱き上げ、地下室から連れ出した。

私は一言も発しなかった。何日も続いた極度の緊張と絶望で、疲れ切っていた。

ただ、もう、何もかもどうでもよかった。

明るい場所に戻って初めて、彼が言っていた「一週間」ではなく、まだ三日目だったのだと気づいた。

散らばっていた祖母の遺品と、引き裂かれたアルバムも片付けられ、私の部屋の机の上にそっと置かれていた。

でも、それが何だというの?

傷の深さの問題ではない。彼はもう私を裏切った。

彼がハンナを選んだあの瞬間から、私の中の彼への情は、とっくに断ち切れていたのだから。

エドウィンは私をベッドに寝かせ、私の瞼にそっとキスを落とした。

「ごめん、ソフィア。もう二度とこんなことはしない」

そう言って、彼はオペラのチケットを二枚差し出した。

「埋め合わせに、チケットを取ったんだ。明日の夜、一緒に観に行こう」

彼が手にするそれを見つめ、私は一瞬、息を飲んだ。

あれは七年前、彼が私にプロポーズしてくれた、あのオペラハウスのチケットだった。

同時に、三日間触れていなかった携帯を手に取ると、ハンナから無数のメッセージが届いていた。

男女が醜く重なり合う写真。写真だけでなく、生々しい動画まで。

すべて、私が地下室に閉じ込められていたこの二日間に、あの祖母の部屋で撮られたものだった。

まるで、私を彼女とエドウィンのいやらしい記録として利用しているのだ。

隣で私を抱きしめているエドウィンは、もちろんメッセージの中身など知る由もない。

私は静かに尋ねた。「ハンナを誘わないの?」

彼は驚いたように目を瞬かせ、少し慌てたように、そして後ろめたそうに私を見た。

「何を言ってるんだ、ソフィア。これは俺たち二人のためのデートだ。彼女は関係ないだろう?」

そして、取り繕うように続けた。「まだ怒ってるのかい?安心してくれ。ハンナと俺は本当にただの友人だ。彼女ももうすぐここを出て行くから」

私は目を閉じた。息をするように嘘をつくその顔を、もう見ていたくなかった。

「ええ」

静かに、そう答えた。いいわ。これを、この歪んだ関係に捧げる、盛大な別れの舞台にしてあげよう。

来週、私はこのすべてを捨てる。
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