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第2話

작가:
修平の瞳には、心配の色なんてなくて、ただの軽蔑だけがあった。

「さっさと片付けろよ。料理まだ?みんな腹減ってんだけど」

背後で、ドアが閉まる音がした。

修平は知らない。私のお腹に、赤ちゃんがいることを。

そして、今日、知ってしまった。私の結婚が、全部嘘だったってことを。

笑えるね。

私の人生なんて、修平を好きになったあの瞬間から、全部がくだらないジョークみたいなものだったんだ。

次の日は週末。修平は朝早くから出かけていった。急ぎの用件で、大事な依頼人に会うんだって。

もちろん、葵も一緒だった。

部屋の中は、静まり返っていた。

その時、ふいにスマホの画面が光って、インスタの通知が一件、表示された。

どこかで見覚えのあるアイコン。盗み撮りされた男の後ろ姿だ。

でも、その男性がつけている腕時計には見覚えがあった。修平がいつもつけているものだ。

私はそれをタップした。

投稿の数は多くなかった。でも、その一つ一つが、全身から血の気を引かせるのに十分だった。

一番古い投稿は5年前。私と修平が結婚してすぐの頃だった。

お揃いの結婚指輪をはめた二つの手が、婚姻届の上に置かれている写真。そこには、英語でこう添えられていた。

【今はまだ内緒だけど。法律に認められた永遠こそが、本当の『永遠』よね。ありがとう、小川先生】

3ヶ月前。【あの人が私のために、市民権取得の最終手続きを進めてくれている。これが通れば、私は名実ともにこの国の人間になれる】

2ヶ月前。【誰かさんがまた内緒で、最新のスマホに替えてくれた。『一番いいものを使わなきゃだめだ』って。いらないって言ったのに、『君にはその価値がある』なんて言われた】

その投稿には、コメントが一件ついていた。【例の、旦那さんにしつこく付きまとってる女、まだ諦めてないの?】

彼女の返信はこうだ。【まだいるわよ、ストーカーみたいにね。大学時代に寮まで追いかけてきて、今度は海外までついてきたの。鏡で自分の顔を見てから出直してほしいわ。釣り合うとでも思ってるのかしらね?】

私はスマホを握りしめたまま、リビングの真ん中に立ち尽くした。

3月の暖かい日差しが差し込んでいるのに、体は凍えるように冷たかった。

葵の言う通りだった。

修平を追いかけていたのは、私の方だ。

大学1年生の入学式の日。私はカメラを手に、キャンパスの風景を撮っていた。その時、ふとファインダーの中に、一人の男性が飛び込んできたんだ。

白いシャツが、逆光に照らされていて。

シャッターを切った瞬間、私はその人にときめいてしまった。

それから私は、修平のことを追いかけてキャンパス中を駆け回った。

法学部の憧れの存在である彼と、カメラを抱えただけの芸術学部の「ベッタリちゃん」。

周りはみんな、私じゃ釣り合わないって言った。でも、私にはまっすぐな情熱だけがあったから、ついに修平の隣に立つ彼女になることができた。

卒業する頃には、私のカメラマンとしての仕事も、ようやく軌道に乗り始めていた。賞を二つもらって、いくつかの雑誌から仕事の依頼も来るようになっていたんだ。

でも、修平がリバティニア市に行くって言った時、私は迷わず荷物をまとめて彼と一緒に行くことを決めた。彼は私の手を握りしめて、目を赤くしながら言った。

「夏美、一生君を大切にする。海外で結婚する手続きは複雑だから、先に国内で籍を入れよう」って。

リバティニア市に来てからも、私は写真の仕事を続けたかった。でも、言葉の壁があって、何をやってもうまくいかなかった。

一度、なんとか仕事をもらえたのに、相手の要望が聞き取れなくて、台無しにしてしまったことがある。

帰宅して修平に泣きつくと、彼は眉をひそめて言った。

「英語もろくにできないのに、無理するからだろ?もう変なことしないで、俺が養ってやるから」って。

それ以来、修平は毎月私の口座に生活費として2000ドルを振り込んでくれるようになった。

それは、暮らしていくのに、ギリギリの金額だった。

私が実家に帰りたいって言うと、修平はいつも渋い顔をした。

「重要な案件を抱えていて、しばらく離れられないんだ」

「じゃあ一人で帰る」って言うと、修平はこう返した。「一人で帰ってどうするんだ?俺が暇になるまで待てよ。そしたら一緒に行こう」

そうして、5年が経った。

そうか、この5年間の「忙しい」も「ちょっと都合が悪い」も「仕事柄、仕方ない」も、全部ただの言い訳だったんだ。

本当の理由は、修平が最初から、私のことなんて妻だと思っていなかった、ただそれだけのこと。

スマホが震えた。病院から、手術予約の確認メッセージだった。

手術は、3日後。

修平は知らない。この5年もの間、私が自分の道を諦めていなかったことを。

英語の勉強はずっと続けた。言葉につまることもなく、現地の人と何時間でも議論できるようになった。

それに、こっそりネットで小さな撮影の仕事も受けていた。

修平は、私が昼間何をしているかなんて、一度も聞いたことがなかった。

手術の前日、以前一緒に仕事をしたことのある雑誌の編集者から、電話がかかってきた。

リバティニア市で活躍する優秀なアジア系エリートの特集を組むらしくて、今回のインタビュー相手が、偶然にも修平だったのだ。

編集者は、私がリバティニア市に住み、いい作品を撮れることを知っていて、今回の撮影を好条件で依頼してきた。
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