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#33『ありがとう』

last update Tanggal publikasi: 2026-11-06 21:03:06

※

 帰り道。

 傾き始めた陽を浴びるリンデンが、鼻を啜りながら「今日も楽しかったな」と呟いた。

「ちっちゃい子の可愛さは無限大だよね。赤ちゃん、もっと抱っこしたかったなぁ」

「テメェが昼寝時に真っ先に寝なけりゃ、触るぐらいは出来ただろうよ」

「やだぁ、言わないでぇ?」

 年長者達と共に先を行くクミンが、後ろから付いてくる二人に時折振り返る。

 手を繋いで一緒に歩いてくれるユズリハと、彼とは反対側の隣を歩くローズマリーは、自分を挟んで明日の予定を話し合っている。

「………………」

 クミンは、先程に見た副院長の笑顔を思い出した。

 彼女の様な清らかさは己に無くとも、彼女の『真似事』なら自分にも出来る筈だ。

 貰った『愛』を、『愛』で返す。彼女は決意に視線を上げ、ユズリハの手をすり抜けて後ろへ走った。

「クミンさんっ?」

 驚いて振り返ったユズリハの声に、ローズマリーもクミンを視線で追う。

 駆け出した彼女が行き着いた先に、二人は思わず目を見張る。

「っ!」

 誰よりも驚いたのは、フェンネルだった。

「お、どしたの?」

 リンデンはフェンネルの前で立ち止まったクミンに声を掛ける。

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