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第5話

Author: アリア
あの強烈なビンタで、左耳はもう何も聞こえなくなった。

私は、いわゆる「家」には帰らなかった。

大雨に打たれながら、一番安いバスに乗って隣県の田舎へ。なけなしのお金で、家賃激安の地下室を借りた。

私が綺麗さっぱり姿を消したのに、浩はただの駆け引きだと思ったみたい。

7年も自分を愛し、3年間も犬のように尽くした私が、自分から離れて生きていけるはずがない。浩はそう確信してたんだ。

だから浩は、あっさりと咲希を連れて海外へ旅行に行った。

そこは、私が19歳で両親を亡くしたとき、浩が私を抱きしめて、約束した場所だった。

「いつか真由をオーロラを見に連れて行くよ。悪い運なんて全部吹き飛ばそうな」って、浩は言った。

今、その場所に、他の女と行った。

咲希がインスタに投稿していた写真。そこには、すらっとした脚の浩が彼女の腰を抱いていて、背景には空いっぱいの綺麗なオーロラが写っていた。

添えられた文章は、【浩が言ってた。『お前は俺の一生の人だ』って】

私はその投稿を静かに見て、そのまま咲希をブロックした。

それから鏡の前に立ち、安物のバリカンを手に取った。抜け落ちてまだらになった
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