LOGINガジルさんの所を出てアーノルド家には何も言わずに王都を出ることにした。
会ってしまうとミリアを思い出してしまうから。ギルドの前を通った時だった。
「きみ! ナイルさんだっけ?」
何故わかったのか?
こんなにわかりづらい格好をしていたはずなのに。『あなたは……アーサーさん……でしたか?』
「あぁ。覚えていてくれて感謝する。君のマスターであるミリアさんがあのモンスター襲撃の際に亡くなってしまったんだって? 僕が指揮をしていながら……すまなかった」
頭を下げられた。
俺は別にあなたに頭を下げて欲しいなんて思ってない。『あれは、俺の判断ミスでした。だから、アーサーさんには非はありませんよ。では』
そう言い残してその場をあとにする。
人のせいにする気は無い。 あの時の判断で間違えてたのは俺だ。そのまま王都
王都に入るとまず、アーノルド家だなと思い、貴族街に向かう。「貴様ら何者だ!」『アーノルド家に用があってきました』「伯爵様に何の用だ!?」『ミリアが帰ってきたと伝えて貰えますか?』「ふんっ! おい! 伝えてこい! どうせ拒否されるだけだ! こんな怪しいヤツ!」 俺は入口の前でミリアと待つことにした。「わー! リンスちゃんに会えるの楽しみぃ。でも、そんなに久しぶりな感じしないんだよねぇ?」『まぁ、ミリアからしたらそうかもな』「実際どれくらいだったの?」『あー。武器の受け取りまで待って出発して魔境を突っ切ったから、ひと月ちょっとぐらいか?』 それを聞いたミリアは何やら腹をかかえて笑いだした。ひとしきり笑った後になんで笑ったか聞くと。「だって、そんなに寂しかったら日数とか数えてるのかと思ったらすごく曖昧なんだもん! あはははは! そんなでも無かったんじゃない?」『それは……たしかにな。でもすっっごくさび────』「ミリア!」 貴族街から現れたのはリンスさんであった。 慌ててきたのだろう。左右の靴が違っている。普段はそんな事絶対ないのに。余程慌てていたことが分かる。「本当にミリアですわ!」「リンスちゃーん!」 俺の前でガッチリと抱き合う。「もう! 死ぬのはやめて欲しいですわ!」「そりゃあー私も死にたくなかったよ? あんまり実感無いんだぁ。うっすらその時のことは覚えてるんだけどねぇ」 リンスさんはバッとミリアを離すと口に物凄い力を入れているためひょっとこみたいな顔になっている。「その殺したやつは何処ですの!?」『俺が片付けたよ』 こちらを見るとリンスさんの目から滴が溢れた。急なことで俺もオロオロとしてしまう。 スっとハンカチを渡したのはダンテさん。ダンテさん、居たのね。「ナイルさんが一番辛かったですわよね……よくぞ、よくぞ、ミリアを生き返らせてくれた
ファイヤードラゴンに別れを告げたあと。 俺とミリアは王都に戻る為に森に入っていた。 ちなみに、ローブは俺が来ている。来てた方がこの刀は背負いやすいことがわかったんだ。摩擦でかな? 骨ってツルツルだからね。「ねぇ、ナイルは一人でここまで来たの?」『そうだぞ? まぁ、あんまり覚えてないんだけどな』「えっ? そうなの?」『そうなの? じゃないだろ……。ミリアの命が失われたら俺だって生きていけないんだ。今回は進化の時に生き返れる可能性があったから良かったものの』「そっかぁ。ごめんね?」『いや、もう仇はとったから。とりあえず安心して過ごせると思うんだ』「うん! ありがと!」 とその時。 呼んでいない客が来た。「ねぇ、ナイルレベル1だけど大丈夫?」『今になって聞くなよ……』「シャーーー!」 大きなバジリスクが襲ってきた。『ミリア左!』 二人で左に避ける。 我流 刀術 『雷霆《らいてい》』 雷の如くジクザクに繰り出された斬撃はバジリスクをブツ切りにした。 身体がピカピカと光っている。 いきなりレベル1で倒したから凄いレベルの上がり具合だ。ピコンッ『取得条件が満たされましたので、スキル下克上《ジャイアントキリング》を獲得しました。』『あれ? なんかスキルを覚えたか?』 ミリアがウインドウを操作する。「ホントだ! あっ! 私が前に無理やりとらされたスキルとかが全部リセットされてる!」『そうなのか? じゃあ、魔法とかとれる?』「とれるとれる!」『いいじゃん。好きなのとってみな?』「うん!」 ウインドウを嬉々としてタップする。 ミリアは荷物持ちをしていた際に、パーティーに入れてやるからと言ってある時は盾術のスキルを取らせては盾を
ほっとしたのもつかの間。 体から光が溢れ出した。『ん? なんだ? これ?』「グルルア(進化だ)」『えっ!? レベルが100になったのか!?』「グルルグルルア(そのようだな)」 俺の問いに答えてくれたのはファイヤードラゴンであった。 昨日までの意識が無くなるまで狩りを続けていた事と邪竜の討伐で大幅にレベルが上がったみたいだ。 体が光り出すと世界の声が聞こえてきた。『個体名ナイルのレベル100到達を確認しました。進化を試みます』 ブンッと表示されたウインドウには、進化先多岐にわたる進化先がある。 一番いいのはヴァンパイアだろうか。肉体も手に入るし。リビングアーマーは食べれなさそうだからなぁ。『はっ! そんなこと考えている場合じゃない!』 ウインドウに出てくる選択肢を全て確認する。確認したんだが……。『ない。……なんでだ!?』 ウインドウに縋り付く。 ────可能性がある。 ゴッツさんがそう言ってたよな? なんで無いんだよ!『進化なんてどうでもいい! だから! だから……ミリアを……前のマスターを生き返らせてくれよぉ……』 俺の声に世界の声が反応した。 『前マスターの情報を確認………………削除されている為、確認できません。固有名ナイルはネームドモンスターです』 見当違いのことを言っている。 俺の事はどうでもいい! ミリアのことを! 削除されているだと? このペンダントにミリアの髪が入ってるじゃないか!『おい! これは前マスターの髪の毛なんだ! 使えないか!?』 ペンダントを差し出すと、光を放ち始めた。『遺留品の情報を元にアーカイブから情報を検索………………発見しました。進化の為のエネルギーを前マスターの復活に使いますか? またレベル1からのスタートになります』『助けてくれるのか!? 頼む!
意識が戻った俺は少し進むと、竜の谷のそばまで来ていることに気がついた。『ここは……』 目の前は崖になっており、対岸までは確認できるがかなり距離がある。 崖は一応人が来ることを想定しているのだろう。下りれるように降りていく道が出来ている。 下を見下ろすと底が見えないくらい深い。 ゆっくりと下におりて行く。 あの時のファイヤードラゴンの親子は元気だろうか。少し進化について知ってたら聞きたいものだな。 底の方が近づいてくると、だんだんと全容が見えてきた。崖には大きな穴が空いていて、その中に竜達が寝ているようだ。 その光景はさながら、カプセルホテルのようであった。俺の歩く音に少しのドラゴン達が反応して起き上がった。「ガルルガルガルルァ?(人間が何の用だ?)」 そう声をかけていたのは緑の鱗の竜であった。 フードを外す。 すると、目を見張って身を引いた。『俺はスケルトンです。ファイヤードラゴンの友人親子に会いに来ました』「グルグルアグルルルアグルルルルァ!?(スケルトン風情が友人だとぉ!?)」「グアア! グルルアグルルルル!(おい! 私の友人だ!)」 後ろから一回り大きいファイヤードラゴンが姿を現した。 すると、頭を下げてどこかに飛び立っていく。「グルルルア。グルルルア?(久しいな。娘はどうした?)」『それが、人間に殺されました』「グルル。グルルルア……グルルグルルア?(そうか。それで一人で……何が聞きたい?)」『進化についてなんです。俺はある人に進化する時にマスターを生き返らせることができるかもしれないと聞きました。今はそれを信じて行動しています。しかし、確実ではないんです。何か知っていることがあれば教えて欲しいんです』 それから、ミリアに対しての思いと絶対に生き返らせるという意志をファイヤードラゴンに伝えた。「グルルルルア……(そういえば……)」 そこからファイヤードラゴンは昔聞いた竜騎士の話を
ガジルさんの所を出てアーノルド家には何も言わずに王都を出ることにした。 会ってしまうとミリアを思い出してしまうから。 ギルドの前を通った時だった。「きみ! ナイルさんだっけ?」 何故わかったのか? こんなにわかりづらい格好をしていたはずなのに。『あなたは……アーサーさん……でしたか?』「あぁ。覚えていてくれて感謝する。君のマスターであるミリアさんがあのモンスター襲撃の際に亡くなってしまったんだって? 僕が指揮をしていながら……すまなかった」 頭を下げられた。 俺は別にあなたに頭を下げて欲しいなんて思ってない。『あれは、俺の判断ミスでした。だから、アーサーさんには非はありませんよ。では』 そう言い残してその場をあとにする。 人のせいにする気は無い。 あの時の判断で間違えてたのは俺だ。 そのまま王都をでた。 奴も西に進んだようだし丁度いい。 俺も西に進んでレベルを上げる。 そういえば、スキルとか自分でとれるのかな? そう思い、「ステータス!」と念じてみればウインドウが表示されたのであった。 まだスキルをとれるほどのポイントは貯まっていないようだ。 レベルは62だ。モンスターの大群を倒したことてレベルがかなりあがったようだ。 よし。あとは、敵を倒すのみ。 魔境の森へと足を踏み入れていく。 踏み入れた瞬間。 空気が変わった。 濃い魔力が大気に含まれている。 あれ? これって俺にも凄くいい場所だな。 革鎧の内側にある胸の炎へと魔力が供給されて力が漲ってくる。 これは、いける。「グルルルル」 出てきたのはシルバーファングの群れ。 群れだとBランクに匹敵する。 魔境の浅い所で生活しているのだろう。 餌だと思
ゴッツさんはその情報を俺に教えた後に、冒険者カードとミリアの髪を一本抜いて渡してきた。「これをお守りに持っておけ」『……はい。これを持って、俺は絶対ミリアを生き返らせます!』「あぁ。なにか手伝えることがあったら言ってくれ。俺が契約してあげたい所だが、ミリアに聞いたところ、ナイルの場合は専属契約なようだ。クーガを見捨てる気は無い。すまないが……」『いいんです。貴重な情報をありがとうございます』「ナイル、しっかりな」 ゴッツさんは肩を叩くと去っていった。「マスター、モドルトイイナ」 クーガさんも肩を叩くとゴッツさんの後を追って行く。 ミリアを布で包むと持ち上げて街から少し離れたところに埋めた。そして、俺の手に残った剣のグリップを刺す。『ミリア、守れなくてごめんな。俺、必ず生き返らせるからな。またあったら……俺と契約してくれよ?』 俺の言葉は虚しく宙に消えていく。 日が落ちかけてきた頃。 噂を聞いたのだろう。 リンスさんとダンテさんがトボトボと歩いていらるのが見えた。『ここにミリアは眠っています』「ナイルさん、話せましたの!?」『実は、今日念話をミリアがとってくれていたんです』「それはなんですの!? 自分の死ぬのを予見していたとでも言いますの!? ミリア! どうなんですの!?」 その声も闇に消えていく。「グスッ……なんでなんですの……グスッ…………せっかく仲良くなりましたのに……グスッ」 ミンスさんは墓の前に膝をつき空を見げながら涙を流していた。「ナイル様。お辛いことでしょう。これからはどうされるんですか? 念話も取得した事ですし、宜しければウチで護衛でもして余生を過ごされては……?」 ダンテさんは俺を気遣ってそう提案してくれた。『お気遣いありがとうございます。けど、俺は旅に出ます。レベルを100まであげればミリアを復活させる事が出来るかもしれないんです! 俺は、その情報に望みを掛けてみよう







