Se connecterファイヤードラゴンに別れを告げたあと。
俺とミリアは王都に戻る為に森に入っていた。 ちなみに、ローブは俺が来ている。来てた方がこの刀は背負いやすいことがわかったんだ。摩擦でかな? 骨ってツルツルだからね。「ねぇ、ナイルは一人でここまで来たの?」
『そうだぞ? まぁ、あんまり覚えてないんだけどな』
「えっ? そうなの?」
『そうなの? じゃないだろ……。ミリアの命が失われたら俺だって生きていけないんだ。今回は進化の時に生き返れる可能性があったから良かったものの』
「そっかぁ。ごめんね?」
『いや、もう仇はとったから。とりあえず安心して過ごせると思うんだ』
「うん! ありがと!」
とその時。
呼んでいない客が来た。「ねぇ、ナイルレベル1だけど大丈夫?」
『今になって聞くなよ……』
「シャーーー!」
大きなバジリスクが襲って
決闘が終わってすぐ、トウカお嬢様の両親に話を聞くべく屋敷の中にいた。『こちらへどうぞ』 爺やに案内された俺達は客間のような所に通され、ソファーに腰掛けていた。「どんな人なんだろうね?」『どんな人って、骨とゾンビだろ?』 そもそも人族じゃないから話が通じるのかどうかも分からない。 話してみないとどんな人達かも分からないしな。 ───コンコンッ『失礼致します。この度はトウカがご迷惑をお掛けしたようで、申し訳ありませんでした。私はハッコツ家当主のホワイトです』『妻のシロンです。この度は誠に申し訳ありませんでした』 深々と謝られてしまった。 両親が共に九十度のお辞儀をしながら入ってくる。「そんなことないです! 私も楽しかったですから!」 ミリアは迷惑をかけられたなんて思っていない。 純粋に勝負を楽しんだのだから。『ありがとうございます。何かお話があるとか』 話をゆっくり聞いてくれるようで二人とも向かいのソファーに腰を落とした。「実は、今回の事態になったのは───」 今までの経緯を両親に説明した。 街でトウカお嬢様が暴漢に襲われ、そこを救ったこと。 ナイルに惚れたようで結婚を迫られたこと。 トウカお嬢様はリビングアーマー族との婚約が嫌だということ。『ふぅぅぅ。そうですか。まさかそこまで嫌がっていたなんて。どうしたものか』「婚約破棄はできないんですか?」『トウカの代はリビングアーマー族と結ばれる事になっているんです。実は───』 ホワイトさんの口から語られたのはこの国ならではの文化であった。 魔族は強さを求める種族であって、色んな種族と結ばれる事で全体的な能力が底上げされると言われているそうだ。 確かに何かに特化した種族同士が結ばれれば、苦手な部分を補って生まれてきた子は高い水準の能力になるのかもしれない。 そういった風習があるから、リビングアーマー族の方も
二本目を取られたミリアは頭を抱えてしゃがんでいる。「くぅぅ。惜しかったのになぁ。もう少し早く出来るようになってたら良かったのに! もう! ナイル! アドバイスが遅い!」『はははっ。仕方ないだろ? 次頑張ろー!』「はぁぁぁ。これで勝てたら楽だったのに! くぅぅぅ。やってやるぞぉぉ!」 腕を天に突き上げて立ち上がりながら意気込みを叫ぶ。『ふんっ! 次も私が勝ってギャフンと言わせてやるわ!』 トウカお嬢様は腕を組んで勝ち誇っている。『では、次の勝負はメダル奪取にしましょう』「メダル?」『聞くのは初めてですかな?』 聞いたことがないと言うと勝負の説明をしてくれた。 これもトイロではメジャーなトレーニング方法でそうだ。 まず、メダルを背中に特殊な植物から抽出した液体で張るんだそう。それを両者に貼って奪われた者の負けということだった。「ふーん。スピード勝負ね」 ミリアは勝負の本質を分かっていないようだ。 これはスピード勝負に見せかけたフェイント、もしくは錯覚を利用するために意識を培う鍛錬といったところだろう。 右に行くと思わせて左に行く。 相手が誘いに乗れば背中ががら空きという訳だ。 いつそれに気がつくか。 そもそもそれを意識して鍛錬しているであろうトウカお嬢様に勝てるのかは疑問だ。『それでは背中に貼ります』 両者の背中に銅貨が貼られた。 この鍛錬では取るという意欲も掻き立てるために一番手頃な銅貨を使用するそうだ。 ただの金属よりは硬貨の方が意欲が上がるとのこと。『それでは、両者向かい合って。行きますよ。始め!』 トウカお嬢様が先に動いた。 右に移動しようと見せかける揺さぶりをかけている。ミリアが初めてだから引っかかると思ったようだ。 案の定、ミリアは引っかかった。 体が右に傾いた。 それを見たトウカお嬢様は左に回り込んでくる。
『では、次の勝負は的当てです!』 的当てか。 前前世でいえば銃のようなものを持って目標に当てるようなゲームを言うけど、この世界ではどんな勝負をするんたろうか?「はぁーい! 私的当てやった事ありませーん!」『では、説明致します。私が用意する的を射抜くだけでございます。射抜くのは魔法でです』「えぇー!? 魔法で?」 爺やは今度はお嬢様が有利そうな勝負にしたようだ。 爺やにはミリアの魔法の腕を知らないだろうが、トウカお嬢様の方が有利なのは俺達には分かりきっている。 何故なら────「私、魔法で狙ったりできないんですけど!?」 思い返してみると、今まででミリアはざっくりと雨をふらせてざっくりと電撃をくらわせる。そういう戦い方をしてきた。 狙いを定めて的に飛ばすなんて至難の業だろう。纏めて吹き飛ばすなら出来るかもしれないが。 繊細に的の中心を射抜くなんてそんな芸当到底ミリアにはできないだろう。『それは、この機会に魔力制御を出来るようにした方がいいですよ? どれ、少し一緒にやりましょうか?』「いいんですか?」 ミリアに魔力制御とはなんたるかを、爺やが教えてくれるらしい。「魔力を一箇所に集中して。そして球を作り、回すのです」 その言葉通りにミリアは水の球を作って浮かせた。だが、回すことまではできない。「うぅぅぅ。回せないですぅ」「集中すればできます。この水の中が渦をなすように意識してみてください」 ミリアは眉間に皺を寄せて口を歪めている。 本来、こういう細かいことは向かないタチだと思うのだが、一所懸命にやろうとする姿は可愛いものだ。「ぐぬぬぬぬ」 少しずつ、浮かせている水が渦を巻き始めた。 グルグルと水の球が回っている。「そうです! それを的に射出するのです!」「とりゃぁぁ!」 変な掛け声を上げながら水球を射出する。 射
『それでは、始め!』 ────ミシッ! 最初に聞こえていたのは両者の骨が軋む音。 ガッチリと組んだ手は二人の中央を陣取り、重さの拮抗した天秤のようにどちらにも傾かない。 両者は睨み合いながら笑っている。 その形相ははたから見たら恐ろしい程獰猛に。 そして、好戦的に見えた。『ははははっ! やるじゃない!? 人族の癖に力があるのね!?』「私だって、ナイルの力になる為に頑張ってるんだもん! こんな所で負けられないわ!」 ミリアがいつも俺の事を思ってレベルが上がる度にスキル構成に悩んでいたのは俺も見ていたよ。 相談されたら答えるようにはしようとしてたけど、一人で悩んで一人で決めている時は見守るって決めてたんだ。『私だって、自分がいいと思った人と結ばれたい! あんなゴツゴツのアーマーとなんか結婚したくない!』「じゃあ、しなければいいじゃない!?」『そんなに簡単な話じゃないのよぉぉぉ!』 魔力の出力を上げてきたトウカお嬢様。 少しテーブルに手を傾ける。 ミリアの顔が少し歪む。『お父様はスケルトンだけど、お母様はゾンビなのよ! どっちも細いのに! なんで私の婚約者だけあんなにゴツイのよ!?』 テーブルにまた少しミリアの手が近づく。 ミリアはここに来て初めて魔力を巡らせた。「だからって、私のナイルを奪わないでよ! そんなお嬢様の都合で私たちを引き裂くなんておかしいでしょぉぉぉがぁぁぁ」 また中央へと両者の手が戻り拮抗する。 両者の気迫からだろうか。 空気が重い。「私だって! ずっとテイマーとして底辺の生活をして来て! ナイルをテイムして! ナイルのお陰でようやく私は自由を手に入れたの! ナイルは私の王子様なんだからぁぁぁ!」 魔力の出力を上げたミリアが少しテーブルに手を押す。 骨なので顔には出ていないが、トウカお嬢様は今、愕然としている。 それは魔族にとって使役されること程、屈辱を感じる
ミリアを指差して決闘だと宣言したお嬢様スケルトンだったが。なにで決闘するんだ?『トウカ様! 決闘なんて何事でございますか!? お止め下さい!』『爺や! 私の言うことに文句があるんですの!? フンッ! ナイル様を手に入れるためですわ!』『そのように婚約者を力ずくで手に入れていったい何になるんです? この方達を引き離してまでしてやる事ですか?』 その諭すような言葉で、爺やはなんとかお嬢様を落ち着かせようとしている。 お嬢様は下を俯いて口ごもってしまった。 この貴族の人達は貴族とはなんたるか。という考えを自分たちで持っている人達なのだろうな。そう感じた。「その決闘受けて立つわ!」 腰に手を当てて胸を張りトウカを指さしてそう宣言した。 でたよ。せっかく話が纏まりかけてたのにややこしい話になるじゃないか。『ミリア?』「いいからナイルは黙って! これはそこのお嬢様と私の間の話よ! そうでしょ!? そこの爺やも黙ってて!」 ミリアは爺やと呼ばれた執事までもそんな扱いをしてしまう。 爺やは表情は分からないがなんだか凄く嬉しそうな優しい雰囲気で下がって後ろに控えた。 任せてくれるってことだろうか。 ミリアはこういう時に完全に自分のペースに人を巻き込んでいく人だ。 それは良い時と悪い時があると思う。 今回は相手が多分子供のスケルトン。 だから、こういう対応の方がもしかしたらお嬢様は嬉しいのかもしれない。『言ったわね!? 逃げないでよ!?』「逃げないわ! なんだってやってやるわよ!」『貧弱な人族には力比べで勝負よ!』 人族の人達は筋肉をつけないと重いものを持ったり、力を発揮したりは出来ないだろう。 だが、俺たちのような魔力で運用されている生き物は違う。 魔力の質、量で決まる。 勿論、人族も身体強化をすれば力を発揮出来る訳だが。 俺達のような魔族と呼ばれる者の身体は魔力伝導率が全然違うのだ。
「おい! 骨の分際で俺様に当たってんじゃねぇよ!?」 えっ? 俺? 声のした方を焦って向くと、ドレスアップしたスケルトンがゴツイ馬に怒鳴られていた。 なんか絵がシュールだな。『なによ! あんたがぶつかって来たんでしょ!?』「あぁ!? そのほっそい骨砕いてやろうかぁ!?」 拳を振りかぶっている。 こりゃいかん。 咄嗟に縮地を使い、ドレスアップしたスケルトンの前に出る。 振り下ろされた拳に手を添えて受け流す。「なんだてめぇ!?」『通りすがりのものです。往来の場でやめた方がいいのでは?』 馬さんは周りを見ると野次馬に「馬の恥だ」とかヤジられて顔を顰めると振り返って歩いていった。『大丈夫でしたか?』『か……』 何したんだ? か?『カッコイイわね! あなた! 私の婚約者になりなさい!』 どういう事?『お嬢様! 何をなされているんですか!? 勝手に街に出るなんて危険です!』 やって来たのはカチッとした執事風のスケルトン。『爺や、この人を婚約者にします!』 爺なのか? このスケルトン? 年齢の概念あるの?『何を言ってるんですか! お嬢様にはリビングアーマー族の許嫁が居るではありませんか!』『あんなゴツイ奴嫌よ!』 なんか、他種族国家トイロは色々と複雑なようだ。『俺はこのミリアと旅の途中でして、この国にずっと居るか分からないので』『あぁー!? 人族じゃない! そんな弱っちいやつと一緒に居ると不幸になるわよ!?』 いやー。弱いから不幸になるとは限らないんじゃ。 そんな事を思っていると横からずいっと出てきたミリア。目がつり上がって可愛い顔が台無しである。「聞き捨てならないわね! ナイルは私のパートナーよ!」『ナイル様っていうのね!? 私と結婚しましょう!?』 俺に詰め寄ってくるお嬢様。







