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第324話

Author: タマタツ
その夜、絃葉は我を忘れて創作に没頭し、夜半前から翌朝まで、ひたすら絵を描き続けた。

景はずっと本を手にしたまま静かにそばへ座り、作品が完成するまで彼女に付き添っていた。

描き終えると、景は後ろから絃葉を抱き締め、感嘆の眼差しで絵を見つめた。

「さすが絃葉。君は本当に美術界の天才だ。この『運命』には、どこかピカソを思わせる趣があるよ」

絃葉は口元を押さえてあくびをすると、振り返って彼の首に腕を回した。

「インスピレーションをくれたのは景よ。こんなふうに心ゆくまで描けたのは、本当に久しぶり」

景の目には、誇らしげな光が輝いていた。

「君の創作の源になれたのなら光栄だ。知ってる?昔初めて君の絵を見たとき、魂を直接揺さぶられるような衝撃を受けたよ」

絃葉は彼の瞳を深く見つめた。

「......今、キスしてもいい?」

景は顔を近づけ、彼女の顎に指を添えた。

瞳には甘く酔いしれるような色が浮かんでいたが、真面目な顔で首を横に振る。

「駄目だ。二人とも、まだ歯を磨いていない」

絃葉は思わず吹き出した。

「そうだったね。それに眠い。もう寝よう」

景は彼女を優しく抱き寄せ、
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