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入籍しないなら…兄嫁になります!~冷徹社長に溺愛される日々~
入籍しないなら…兄嫁になります!~冷徹社長に溺愛される日々~
ผู้แต่ง: おミカン

第1話

ผู้เขียน: おミカン
「なぁ和也、今日は絵里と籍を入れる日だろ?すっぽかして、あいつ怒らねえの?」

「絵里が和也にベタ惚れなのは周知の事実じゃんか。和也が寧々のために行かなかったって知っても、怒る度胸なんてあるわけねえって」

「そうよ。絵里なんかが寧々に勝てるわけない。和也は昔っから寧々を溺愛してるんだから……」

……

彼らが口にする「寧々」という少女は藤原寧々(ふじはら ねね)、藤原和也(ふじはら かずや)の義妹だ。

ホテルの個室のドア前に立ち尽くす水原絵里(みずはら えり)は、全身の血液が凍りつくような感覚に襲われていた。

これが、長年愛し続けた男の正体だというのか。あまりにも浅ましい。

彼女は拳を固く握りしめる。爪が掌に深く食い込むが、胸を焼く絶望に比べれば、そんな生理的な痛みは万分の一にも満たなかった。

深く息を吸い込むと、扉を押し開けた。

バンッ!

喧騒に包まれていた個室が、瞬時に静まり返る。

「絵里……」誰かが息を呑んだ。

扉の前に立つその美貌に、誰もが目を奪われた。透き通るような白い肌、引き締まった腰のラインを強調するピンクのワンピース。ハーフアップにまとめた髪が、優美さを際立たせている。

だがその瞳は、氷のように冷徹だった。彼女の視線が、和也と寧々を射抜く。

「和也。これが、役所に行けない理由?」

和也の端正な顔に、一瞬だけ気まずさが走る。だがすぐに絵里のそばへ歩み寄った。

「入籍なんていつでもできるだろ。寧々が久しぶりに海外から帰ってきたんだ。兄として、歓迎会を開くのは当然のことだろう?」

絵里は冷ややかに笑う。

「一年に一度の交際記念日も、あなたにとっては『どうでもいい』ことなの?

今回を逃せば、来年まで待たなきゃいけないって分かってるくせに」

それは二人の約束だった。

交際記念日を結婚記念日にする。一石二鳥で、特別な意味を持たせるはずだったのだ。

だが明らかに、和也には結婚する気などない。

彼が真に娶りたいのは寧々なのだ。

彼の、幼馴染であり義妹である寧々を。

何かを感じ取ったのか、和也が絵里の腕を掴もうとする。

「騒ぐな。帰ってから説明するから」

絵里はその手を乱暴に振り払った。

その時、寧々が口を開いた。

「絵里、ごめんなさい。私が悪いの。今日が入籍日だなんて知らなくて……」

うつむいて謝るその姿は、いかにも被害者といった風情だ。

絵里は常日頃から彼女を嫌悪していたため、無視を決め込む。すると寧々は顔を上げ、涙を浮かべた瞳で訴えかけてきた。

「許して。私、絵里と兄さんの幸せを心から祝福してるのに……」

祝福?絵里は鼻で笑った。

「猫かぶるのはやめてくれない?本気で祝福してるなら、わざわざ戻って来たりしないでしょ」

和也の表情が曇る。

「そんな意地悪な言い方はやめろ」

「何よ、大事な大事な妹を言われて不機嫌?」

絵里の目は、他人を見るように冷え切っていた。

和也は顔をしかめ、低い声で叱責する。

「絵里、場所をわきまえろ。滅多なことを言うもんじゃない!」

見ろよ。どれほど妹を庇うのか。

彼がそこまで肩を持つのなら、望み通りにしてやろうね。

「やったことは事実でしょう?何を怖がってるの?」

寧々の目元が赤くなり、傷ついた表情を作る。

「私と兄さんはそんな関係じゃないわ。どうして昔みたいに誤解ばかりするの?

二人の喧嘩の原因になるって分かってたら、私、帰って来なかった……」

寧々の涙声は、聞く者の庇護欲をそそるものだった。彼女が虐げられていると見た取り巻きたちが、一斉に絵里を非難し始める。

「絵里、それは言い過ぎだよ。和也と寧々は兄妹だぜ?そんなことにまで嫉妬するのか?」

「そうだよ。この三年間、あなたが寧々を受け入れないから、彼女は身を引いて出国したんだろ?また同じことを繰り返す気か?」

「調子に乗ってると、和也に捨てられるぞ!」

……

絵里は彼らの義憤に満ちた顔を、冷徹な目で見つめ返した。

かつては和也のために、こうした友人たちにも我慢を重ねてきた。どんな冗談を言われようと、陰で笑われようと、聞こえないふりをしてきたのだ。

だが、もう終わりだ。

絵里の言葉は鋭利な刃物のように響いた。

「妹が兄に毎日べったり張り付いてるのが、正当だとでも?

あんたたちの頭はどうかしちゃったの?それとも、そういう禁断の愛がお好み?

私が身を引いてあげるから、存分に見せつけてもらえばいいわ」

一同は呆気にとられた。

和也の前では従順だった絵里が、これほど辛辣になろうとは予想もしていなかったのだ。あまりにも言葉が過ぎる。

「絵里、どうしてそんなに私を侮辱するの?」

寧々は今にも泣き出しそうな顔で、あざといほどに哀れっぽく言った。

「私のことが嫌いなのは仕方ないけど、兄さんはあんなに絵里が好きなのに。こんなに尽くしてるのに、まだ不満なの?」

絵里は眉をひそめた。

他人は知らないだろうが、彼女は寧々の本性を熟知している。

和也と知り合って十年、交際して五年。

一年目の絵里の誕生日に、寧々は「事故に遭った」と嘘をついて和也を呼び出した。

二年目のバレンタインには「失恋した」と言い出し、自殺をほのめかして和也に泣きついた。

三年目、四年目……

寧々は無限に理由を作り出し、そのたびに和也は絵里を見捨てて駆けつけた。

そして三年前、寧々が突然出国を申し出た時も、周囲は「絵里が追い出した」と決めつけたのだ。

絵里の冷ややかな視線が、寧々をじっと捉える。

「まともな兄妹関係なら、入籍なんていう一大事を蔑ろにしたりしないわ。

どっちもどっちのクズとあばずれが、被害者ぶって私に寛容さを強要するなんて、笑わせないで。どの面下げて言ってるの?

恥を知りなさいよ」

寧々は顔を真っ赤にし、言い返すこともできずに涙をポロポロとこぼすだけだ。

和也は堪忍袋の緒が切れ、顔を紅潮させて怒鳴った。

「いい加減にしろ!自分が惨めだと思わないのか!

たかが入籍だろ。記念日が無理なら、お前の誕生日に変えればいいだけじゃないか。どうしてそれくらい大目に見られないんだ!」

大目に?

ええ、もちろん。

絵里の心は、凪のように静まり返っていた。

「和也。別れましょう」

室内がどよめく。

和也は数秒呆然とした後、苦々しい顔になった。

「また別れるとか言うのか?三年前もそうやって騒いで、寧々に気を遣わせて追い出したくせに。まだ飽き足らずに彼女を追い詰める気か?

お前はどうしてそんなに性格が悪いんだ。籍を入れてやるって言ってるのに、まだ寧々が許せないのか?これ以上悪辣な真似をするなら、俺だって考えがあるぞ!」

和也に庇われ、うつむいた寧々の口元が微かに歪み、勝ち誇った笑みを浮かべるのを、絵里は見逃さなかった。

それを目にした絵里は、まるで大輪の薔薇が咲いたような、艶やかな笑みを返した。

「ええ、いいわよ。入籍はやめましょう。結婚もなし」

言い捨てて、絵里は踵を返す。

背後から和也の怒号が飛んだ。

「今ここから出て行ってみろ。寧々にちゃんと謝らないなら、絶対に許さないからな!」

周囲は皆、絵里が折れて謝罪すると高を括っていた。

あれほど和也に惚れ込んでいたのだから。

だが、予想は裏切られた。絵里は足を止め、振り返って彼らを一瞥すると、宣言した。

「ちょうどいいわ、証人になって。私、水原絵里はここに誓います。今日限りで藤原和也とは他人。復縁なんて天地がひっくり返ってもありえない。

もし私がこの誓いを破ったら、その時は藤原和也が、一生女に縁がないまま、野垂れ死ねばいいわ!」

「……っ!」

捨て台詞を残し、絵里は呆気にとられる人々を尻目に、毅然と個室を後にした。

どうやってタクシーを拾ったのかも覚えていない。ホテルを離れた車内で、絵里はひたすら和也に関する連絡先を削除し続けた。

突然の着信音が、彼女の意識を現実へと引き戻す。

ディスプレイに表示された、見知らぬ、けれどどこか懐かしい番号を見て、心臓が止まりそうになった。

通話ボタンを押すと、鼓膜をくすぐるような、甘く低い声が響いてきた。

「結婚したいなら、俺を検討してみないか?」

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