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第4話

Author: 大食いかぐや姫
湊は朝になっても帰ってこなかった。

翌朝、見知らぬアカウントからフレンド申請が届いた。

アイコンを開くと、結衣のあのか弱く無害そうな顔があった。

彼女とは、湊の「仲の良い女友達」であること以外、何の接点もない。

彼女が何のために申請してきたのか分からなかったが、私は何かに憑かれたように「承認」を押した。

承認した途端、相手は挨拶一つなく、いきなり写真を送りつけてきた。

ホテルの部屋で撮られた写真だ。

湊は上半身裸でベッドに横たわり、熟睡している。

そして結衣は彼の白いシャツを着て、彼に寄り添い、カメラに向かってピースサインをしていた。

その笑顔は、勝ち誇ったような挑発に満ちている。

背景の大きな窓の外は、すでに明るい。

時間、場所、人物、すべてが明白だ。

その写真を見て、心臓が一瞬で凍りつき、無数の破片に砕け散るような感覚を覚えた。

昨日はバーで、今朝はホテル。

本当に隙がない。

スマホを閉じ、無表情でキッチンに入り、氷水を一杯注いで一気に飲み干した。

冷たい液体が喉を滑り落ちていくが、心の中の炎は消えない。

午前十時、湊が帰ってきた。

彼からは微かな酒の匂いと、知らない香水の匂いがした。

私がリビングに座っているのを見て、彼は一瞬驚いたが、すぐに機嫌を取るような笑顔を浮かべた。

「澪、まだ怒ってるのか?」

私は静かに彼を見つめ、最後の一回のチャンスを与えることにした。

「湊、昨夜はどこに行って、何をしていたの?」

彼の視線が一瞬泳ぎ、私と目を合わせずに手を取ろうとしてきた。

「昨日は飲みすぎて、隼人の家に泊まってたんだ。

澪、マジ喧嘩はやめようよ。

明日は結婚式だろ?些細なことで不機嫌になるのはやめよう」

まだ嘘をつくんだ。

私は完全に諦め、彼の手を振り払って立ち上がった。

「湊、疲れたわ。結婚式のことは自分でなんとかして」

部屋に戻り、鍵をかけた。

彼が困惑し、苛立ちながらノックする音が聞こえたが、私は耳を塞いだ。

スマホを取り出し、結衣のラインを開いてメッセージを送った。

【午後三時、市中心部のショッピングモール一階のスタバで会いましょう】

相手からはすぐに一言だけ返ってきた。

【了解】

午後三時、結衣は時間通りに現れた。

私を見ると、彼女は申し訳なさそうな笑みを浮かべた。

「澪、ごめんなさい。湊ったら昨夜飲みすぎちゃって、どうしても私と話したいって言うから、一晩中介抱してて」

口では謝っているが、目の奥の優越感は隠しきれていない。

「そう」

私は目の前のコーヒーをかき混ぜながら、淡々と言った。

「それはご苦労様」

彼女は私がこれほど冷静だとは予想していなかったようで、一瞬ぼうっとしたが、すぐにまた口を開いた。

「澪、誤解しないでね。私と湊はただの友達だから。

二人が結婚するのは知ってるし、心から祝福してるわ。

ただ……湊は心に苦しみを抱えてて、私にしか言えないこともあるの。彼が言うには、人生最大の後悔は……」

「あなたに結婚式を挙げてあげられないこと、でしょ?」

私が彼女の言葉を引き取った。

結衣の顔色が一瞬で変わった。

私は彼女を見て、ふっと笑った。

「あなたたちが一緒に埋めたタイムカプセル、掘り出してきたわよ」

彼女ももう猫を被るのをやめた。

「全部知ってるなら、どうしてまだ彼にしがみついてるの?

澪、湊が愛しているのは、最初から最後まで私なのよ」

私はカップを置き、彼女の目を真っ直ぐに見つめた。

「そういうことなら、二人の想いを遂げさせてあげる」

結衣の目が大きく見開かれ、信じられないという色が浮かんだ。

「え……何言ってるの?」

「明日の結婚式、新婦はあなたがやりなさいって言ってるの」

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